カテゴリーアーカイブ:著作と講演

行財政東海懇談会で講演

2022年2月8日   岡本全勝

今日2月8日は、行財政東海懇談会で講演するため、名古屋市まで行ってきました。このコロナ感染拡大なので実施できるか心配したのですが、対策を取って対面で行うことができました。
参加者は、東海地方の自治体首長や幹部の方です。

主催者の要望は、「令和時代に期待される公務員」でした。
連載している「公共を創る」で述べているような、日本社会の大きな変化と行政への期待。そして「明るい公務員講座」で述べているような、公務員への期待を話してきました。
考えていることをすべて話そうとすると、盛りだくさんになるので、どこを強調するか、どこを捨てるかが難しいです。また、この内容では画像や映像がないので、何を見てもらって、記憶に残してもらうかも、一工夫必要です。

久しぶりの対面講演で、具体例や笑い話などもたくさん盛り込むことができました。皆さん熱心に、そしてメモを取りながら聞いてくださいました。

連載「公共を創る」107回

2022年2月4日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第107回「政府とコミュニティーの関係」が、発行されました。
前回まで、政府による経済への介入を説明しました。今回からは、社会(狭義)への介入を説明します。19世紀に支配的だった近代市民社会の理論では、市場との関係と同様に、社会への政府による介入も最低限にするべきと考えられました。しかし実際には、政府はさまざまな介入をして、役割を広げてきました。

まず、公共秩序の形成と維持があります。民法が、日常生活に必須の財産関係と家族関係を規定しています。関係者間に合意があれば問題はありませんが、もめ事が起きた際の基準を決めておくのです。また、国民の安全を守り、生活の向上を目指すことは、国家の主要な役割です。
これらは、多くの人たちが政府の役割として納得するでしょうが、次に示す項目は政治学や行政学の教科書では詳しくは取り上げられません。
それは、倫理、慣習、国民の共通意識(社会意識)などへの関与です。ここでは、それらを包括して「この国のかたちの設定」と表現しましょう。

倫理は善悪の判断です。それは個人の内心の問題だから、国家は関与すべきでないという意見もあります。慣習は社会で自然とできるもの、社会意識も国民の間で共有されているものなので、政府が関与するものではないという考えもあります。
しかし、政府は、これらにも関与せざるを得ません。また、「公共を創る」という本稿の趣旨からは、これらも私たちが安心して暮らしていく上で重要な要素です。そのような主張から、これまでも「この国のかたち」について、いろんな場面で取り上げてきました。というか、「これまでの行政学や公共政策学が対象としている範囲が狭い」というのが、この連載のもう一つの趣旨なのです。

連載「公共を創る」106回

2022年1月28日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第106回「産業政策の転機」が、発行されました。前回に引き続き、産業政策について振り返っています。

日本産業が世界最高水準になると、追い付き型の産業政策は終焉を迎えました。政府主導ではなく、企業が自由に行動できるように、各種の規制を撤廃することが求められました。各省が業界を指導する事前調整型行政から、事後監視型行政へと、政府と民間の在り方の変更が進められました。これ自体は必然的であり、必要なものでした。
しかし、先進国も後発国も日本の成功を見て、産業振興策に力を入れたのです。国家主導経済の中国だけでなく、アメリカもヨーロッパもです。そして、日本の経済力は相対的に低下しました。
もっとも、産業政策だけに経済の停滞の責任を負わせるのは良くないでしょう。新しいことに挑戦しない企業と社員、生産性の低い職場なども問題です。

生産性では、農業や中小企業の低さも指摘されています。農家と中小企業を保護する政策は、生産性の低さを温存したと指摘されています。
産業政策を広げて見ると、科学技術振興、通商政策などもあります。
さらに、政府による経済への介入、国民を豊にする政策には、雇用確保や労働者保護もあります。

私がここで主張したかったのは、大学で教えられている公共経済学が扱っている範囲が狭いことです。主に市場経済の欠陥是正としての財政の3機能と外部不経済を説明し、市場経済が機能する基盤整備、産業政策、国民生活の向上まで視野を広げた説明がないのです。
経済学の目的は、市場経済の分析ではなく、国民生活の向上でしょう。

公明新聞に寄稿しました。

2022年1月21日   岡本全勝

1月16日付の公明新聞に、「社会的弱者への支援」を寄稿しました。「潮流2022」という、さまざまな社会情勢について識者が執筆する欄だそうです。

私への依頼は、コロナ禍で深刻化する孤立・孤独対策や貧困対策など行政だけでは手が行き届かない支援を行政、企業、非営利団体などの民間とどのように進めていけばいいのか、震災復興を通じて得た経験も踏まえ、課題や提言を書いてほしいとのことでした。

この問題は、行政より先に非営利団体が活躍しています。
日頃考えていること、連載「公共を創る」で主張していることを述べました。すなわち、行政だけでなく企業や非営利団体の役割が重要だということ、これまでの社会保障のようなサービス提供では支援にならず、寄り添い型の支援が必要だということです。

連載「公共を創る」105回

2022年1月20日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第105回「産業政策と日本の発展」が、発行されました。
前回から、政府による市場経済への介入を説明しています。今回はその3番目「国民を豊にする」政策です。そこには、産業政策、科学技術振興、雇用確保と労働者保護、社会の持続などがあります。

まず産業政策です。財政の経済安定化機能とは別に、特定の産業について計画や規制、財政や税制などの手法を用いて支援が行われます。
1991年のバブル経済崩壊後、幾度となく巨額の経済対策が打たれました。それは景気低迷を抑える効果はあったのでしょうが、日本の産業が世界の競争から落後することを防ぐには効果がありませんでした。この30年間、先進国や中進国が経済成長を続けたのに対し、日本は停滞しました。1人当たり国内総生産(GDP)で米国などに差をつけられ、韓国に抜かれました。景気刺激策と産業政策とは別なのです。

日本は明治以来、産業政策を重要な国家政策として進めてきました。それが、一時は世界第二位の経済大国を実現したのです。