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講演

市町村職員研修機関所長会議で講演

今日の午前は、市町村職員中央研修所で開かれていた、市町村職員研修機関所長会議で講演をしました。
表題は「電子化が変える役所の流儀」です。デジタル変革や人工知能が入ってくることで、役所の仕事が変わることを整理して話しました。

「ルンバ問題(効果)」という言葉を知っていますか。業務を電子化しようとすると、まずはその業務を電子化しやすいように合理化する必要があることです。ルンバ(自動掃除機)を入れようとすると、まずは床の上を片付けないと、ルンバは動けないのです。
また、機械の導入によって便利になりますが、良い面ばかりではありません。この変化は進行中であり、日に日に変わっていきます。それをどう捉えるかが、私の問題意識です。日頃考えていることをお話しして、皆さんの意見を聞きました。

あわせて、社会での電子化の影響も、お話ししました。有名な経済学者のケインズは約100年前(1930年)に、「100年後は、一日3時間労働ですむようになるだろう」と話しました。大外れです。
かつてより、現代人は忙しくなっています。機械が人に代わって仕事をしてくれるはずが、人は機械に使われています。
スマートフォンを持つようになって、人は常に「つながり」「つながれ」て、緊張状態に置かれています。休日でも夜でも、メールが来て仕事が入ります。朝起きても、歩いていても、電車の中でも、布団の中でも、スマートフォンを見ている人がいます。「スマホ疲れ」「つながらない権利」が話題になっています。
参加者にも、共感してもらえたようです。

関西学院大学シンポジウム「霞ヶ関は今」に出演

今日11月13日は、関西学院大学丸の内講座特別シンポジウム「霞ヶ関は今」に出演しました。黒江哲郎・元防衛次官、矢野康治・元財務次官と一緒です。会場には80人、オンラインで130人の方が聞いてくださいました。

次のようなことを、話してきました。
私が公務員になった40数年前に比べ、官僚に対する社会の評価が大きく低下しました。官の比重が軽くなってきたという面はあるでしょうが。原因の一つは、1990年代の度を過ぎた接待などで「官僚バッシング」が起きたこと。もう一つは、社会の課題に的確に答えていないことです。30年間の経済の停滞、社会の不安に答えていないのです。
かつて、官僚の評価が高かったのは、清廉潔癖であることと、国家の発展に大きく貢献したからでしょう。その二つを、損なってしまったのです。このような状態を後輩たちに残して、申し訳ないと感じています。

優秀な若者が、官僚を選ばなくなったことも問題です。
その理由の一つは、やりがいがないことでしょう。仕事が増えているのに職員数が増えず、業務量が増えています。かつては係長がやっていた仕事を課長補佐がしているという声があります。それで、政策を考えることが少なくなっているようです。
もう一つは、給料など処遇が悪いことです。国会待機などに時間が取られ、働き方改革が実現していません。そして、大学時代の友人に比べ、給料がはるかに少ないのです。

官僚は、日本の将来を考える、ほかにない集団です。この集団を、上手に使ってほしいです。
参考「日本記者クラブ登壇「政と官」」(2021年5月27日)

JICA「強靱な国・社会づくり」講師

今日11月7日は、国際協力機構(JICA)の「強靱な国・社会づくり」の講師を務めました。
対象国は、ブルキナファソ、ブルンジ、コソボ、モルドバ、パキスタン、ソロモン諸島、南スーダン、スーダン、ウクライナ、イエメンの10か国です。11月6日から20日までの研修です。講義のほかに、広島市と石巻市の現地視察が組み込まれています。

今回は、主催者との企画の打ち合わせで、私は「日本の発展を支えた行政機構」を担当することになりました。で、内容を考え、資料を作りました。先日書いた「日本の発展の写真」は、そのために準備したものです。これは、よく分かってもらえたようです。

英語の通訳付きです。資料も英語で作ってあり、私でもわかります。図や数値は興味を持ってもらえ、通じるのですが、文章になると難しいですね。具体事例を入れないと。
途中でも質問や感想を受け付けました。やはり、日本の発展の基礎に社会の信頼と個人の倫理があったことについての議論がありました。そこで、日本も昔からこのように社会関係資本が強くはなかったことを説明しました。

休憩を挟んで3時間は、疲れました。まあ、今日の講義は成功したと評価しましょう。「第2回

「ふくしま復興とSDGsを考える県民シンポジウム2024」に出演

今日11月4日は、「ふくしま復興とSDGsを考える県民シンポジウム2024」に出演のため、郡山市に行ってきました。アドバイザーを仰せつかっているので、毎年呼んでもらっています。

発表された4つの取り組みには、感激しました。若い人たち、女性が3人と男性が1人、失敗しつつも、志を遂げようと頑張っています。この熱量は、地域のそして社会の財産です。
畳屋の若旦那は、ニューヨークやパリに、単身、畳を売り込みに行きます。最初は、やはりうまくいきません。それが今や、週に1つは海外から注文が来るそうです。最初話を聞くと、外国でどこに畳を使うのかと、疑問に思います。

「今どきの若者は元気がない」とか「社会への関心が少ない」との批判がありますが、どうしてどうして。社会は地域から変わりつつあると実感します。
望むらくは、スマートフォンやゲームに熱中している若者が、このような取り組みを見て、参加してくれるとうれしいのですが。
福島県も、良い企画をしますね。

「病院の経営を考える会」に出演

今日11月1日は、品川で開かれた「病院の経営を考える会」に出演しました。「災害からの復興と創造」の題で、講演と討論です。神野正博先生(社会医療法人財団董仙会理事長)、植田信策先生(石巻赤十字病院副院長)とご一緒しました。

この会は名前の通り、病院関係者を対象に経営を考えるものです。今回の主題が、能登半島地震での医療の役割と復興でした。私の話が通じるのかと思いましたが、主催者から「広い視野から話してください」とのことなので、引き受けました。

100人を超える医療関係者が、聞いてくださいました。人口減少、そして災害、そこでの病院の役割と復旧は、皆さん切実な話題だったようです。地域の人口が減り、患者が減る見通しで、病院経営をどうするかです。鋭い質問も出ました。