カテゴリーアーカイブ:寄稿や記事

コメントライナー寄稿第26回

2026年1月13日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第26回「省庁再編から25年 これまでとこれから」が1月5日に配信され、1月13日のiJAMPにも転載されました。
2001年1月6日に新府省が発足してから、ちょうど25年が経ちます。私は、省庁再編を実施するために内閣に置かれた中央省庁等改革推進本部で参事官を務め、組織の減量を担当しました。あれから四半世紀が経ちました

省庁の再編は、23あった府省庁を13にほぼ半減するものでした。大胆な改革でしたが、再編後は大きな変化なく現在に至っています。府省については、防衛庁が防衛省に昇格し、大臣が置かれるものとして復興庁とデジタル庁が設置されました。府省に置かれる庁や局・統括官などについては、多くの再編が行われています。課題の変化と新しい事務を飲み込みつつ、総数は大きく増やさず柔軟に対応しているようです。

内閣機能の強化の面では、予想を超えて内閣官房が膨張しました。国家安全保障局、内閣人事局などが新設され、首相や官房長官が主宰する本部や会議は88にもなっています。職員定数も大きく増えました。首相指示の政策の企画と、各省にまたがる案件の調整が増えているからでしょう。性格上、内閣官房をどのように組織し運用するかは、官邸主導の在り方と連動した課題でしょう。

もう一度、省庁再編を行おうという議論は少ないようです。省庁の再編は、各府省の機能をどのように括るかの議論です。それだけならばあまり意義はありません。議論するなら、どのような哲学で行うかが論点です。
私は、「生活者省」を設置すべきだと考えています。明治以来、政府は産業振興と公共サービス提供を任務として、省庁の多くが生産者と提供者側に立っていました。しかしその使命を終え、政府の役割は国民生活の安全と安心に重点が移っています。消費者庁、こども家庭庁、内閣府男女共同参画局、内閣府政策統括官(共生・共助担当)、厚生労働省社会・援護局など、これらの部局を集めて一つの省にするのです。そして、政府の使命を明らかにするのです。

市町村アカデミー機関誌2026年冬号

2026年1月5日   岡本全勝

市町村アカデミー機関誌「アカデミア」2026年冬号が発行されました。拙稿、学長連載「これからの時代に求められる自治体職員像」第3回「職場を支えているという自覚-中堅職員の役割」が載っています。前学長なのですが「学長連載」となっています。

今回は、「中堅職員の役割」についてです。
職員としての経験を積み、中堅と呼ばれる立場になりました。あなた自身は、まだ一職員の気持ちでいるかもしれませんが、同僚や後輩だけでなく、上司や他の部署からも頼られています。そして、管理職を目指す位置にいます。毎日、忙しく仕事を処理していることでしょう。しかしそれだけでは、もう一段上の能力は身につきません。立ち止まって、あなた自身を見直してみましょう。

あなたに期待されていることの一つ目は、職場の中心になることです。あなたは、職場の中心となっています。自分の仕事を手早く処理することとともに、同僚や部下たちの仕事ぶりに気を配ることも必要です。期待されていることの二つ目は、上司を支えることです。
今の職位で満足せず、さらに上を目指しましょう。今のあなたに、管理職になるには欠けている要素は何でしょうか。長所を伸ばすためにも、欠点を修正するためにも、あなたが自分自身を見直すことは重要です。一人で満足したり悩んだりせず、他人の意見を聞きましょう。

第2回「管理職の役割-はまるな四つの落とし穴
第1回「これからの自治体職員像ーあなたに求められていること

コメントライナー寄稿第25回

2025年11月4日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第25回「官製雇用格差を止めよ」が10月27日に配信され、11月4日のiJAMPにも転載されました。

職員の3人に2人が非常勤という役場を想像できますか。
政令指定都市を除くその他の市区町村(1721団体)では常勤92万人に対し非常勤47万人で、合計に占める非常勤の割合は34%です。実に3人に1人が非常勤です(2024年4月現在。会計年度任用職員で任用期間が6か月以上かつ1週間の勤務時間が常勤職員の半分以上の職員に限る)。
最も比率が大きい町では68%(常勤126人、非常勤262人)ですから、3人に2人です。60%を超える町村は8団体、50%以上は117団体、33%以上だと1000団体を超えます。
政府は国地方を通じて行政改革を進め、職員数を削減し、給与を据え置きました。その結果です。

民間企業は30年以上の間、リストラという名の従業員削減を行い、ベースアップを止め、業務を外部化して非正規労働者に切り替えました。各企業の業績は回復したでしょうが、日本全体としては勤労者所得が増えないのですから消費は増えません。「結婚できない、子どもを持てない」という若者の悲鳴は、社会全体の不安につながっています。日本の長期停滞の原因にもなったのです。
景気を回復させるには個人に回るお金を増やし、社会の不安を減らすには雇用格差を減らす必要があります。

現場では仕事がきつく、悲鳴が上がっています。対応策として、まずは会計年度任用職員のうち、能力があり希望する者を常勤職員に切り替えて、安定して働けるようにすべきです。しかし、財源手当や制度見直しは各自治体では限界があり、政府が取り組むべきです。

コメントライナー寄稿第24回

2025年8月19日   岡本全勝

時事通信社「コメントライナー」への寄稿、第24回「英語が国語になる日」が8月18日に配信されました。

解説には「日本語には、ひらがなとカタカナと漢字3種類の文字があります」と書かれていますが、アルファベットも使っていますよね。
外国語を翻訳せずカタカナ語で取り入れることも多いですが、最近では日本語にある単語も、カタカナ語に置き換えることが進んでいます。「行事」をイベント、「手助け」をサポートなどです。ところがさらに進んで、アルファベットのまま入れるようになっています。例えばSNS、LEDとか。

1500年ほど前に漢字と音読みを取り入れ、その後の日本語ができあがりました。それを考えると、現在は英語を取り入れているということです。いずれ、イベント、サポートは、event、supportと書かれるようになるのでしょう。そして、英語が国語となり、現在話している日本語は古語になるのではないでしょうか。
理由の1つ目は、英語が必須になりつつあることです。タクシー運転手や和風旅館の従業員も、英語を話しています。
2つ目は、言葉が変わる体験です。40年前に私が鹿児島で勤務したときは、言葉が通じなくて苦労しました。ところが最近は、沖縄の人も鹿児島の人も、ほとんど東京共通語を話しています。急速に変わったのです。
これを考えれば、3世代もあれば、日本語は英語に取って代わられるのではないでしょうか。文法や発音が異なりますが、英語教育と生活での必要性は、それを乗り越えるでしょう。

言葉だけでなく、広く考えると、文明の乗り換えと見ることができます。
1500年前の漢字の導入は、言葉だけでなく、中国思想の輸入でした。古事記の世界から、論語や仏典や史記の思想に乗り換えたのです。そして、江戸末期の開国以来、今度は西欧思想を輸入することに転換しました。法学、科学、医学などなど。この150年あまりを文明の乗り換えとみれば、翻訳とカタカナ語は転換期の手法だったのです。その完成が、日本語から英語への切り替えでしょう。

文明の乗り換えは、明治以来150年をかけてやってきましたから、多くの日本人にとって違和感ないでしょう。憲法をはじめとするこの国のかたちを、西洋風に変えたのですから。しかし、国語の転換は、私にとって悲しいことです。紫式部や夏目漱石はこの事態を見たら、何と言うでしょうか。国語学者に、意見を聞いてみたいです。