カテゴリーアーカイブ:社会の見方

日米構造協議

2007年6月17日   岡本全勝
朝日新聞16日の変転経済は、「改革の源流、日米構造協議」でした。1989に始まった日米構造協議で、90年1月にはアメリカが対日要求リストを提示しました。大規模小売店舗法の撤廃、独占禁止法の強化の他、公共投資の増額まで入っていました。それまで、日米交渉に縁のなかった自治省までが、巻き込まれました。日本は渋々ながら、これらを受け入れました。
アメリカは、財政赤字と経常赤字の双子の赤字に悩み、プラザ合意で為替調整をしても縮小しない日米貿易不均衡にいらだっていました。一方日本は円高不況を乗り越え、バブルに入っていました。
日本でも、前川リポート(1986年)などで、改革の必要が提唱されていました。しかし、自発的には進まず、外圧によって進んだのです。当時、日本で主張しても実現しない政策は、アメリカに「告げ口すると」実現すると、揶揄する人がいました。佐々木毅先生は、この政策過程を「横からの入力」と分析しておられました。「いま政治になにが可能か」(中公新書、1987年)、「政治はどこへ向かうのか」(中公新書、1992年)。

持ち株会社解禁

2007年6月11日   岡本全勝
6月6日の日経新聞経済教室、小寺彰教授の「東アジア統合、非経済的利益も注視を」から。
わが国がEPAやFTAの締結に取り組み始めて、丸7年が経った・・EPAでは経済的な利益のみを追求すべきなのかという点である。モノの貿易やサービス貿易、投資ルール、知的財産権、競争政策など、確かにEPAのカバーする範囲は広い。どんな協定が最も経済の成長・発展につながるか議論するのは当然だ。一方で、経済状況が選挙の重要な争点になるように、経済は社会生活や政治状況、さらには外交関係に大きな影響を与える・・
構成国間の友好関係増進の手段と考えれば、どの程度の自由化要求にするか、相手国の状況を踏まえて適度な線で抑えるという方向はありうる。それはまさに、政治的判断の問題なのである・・
従来の対ASEAN外交の軸は政府開発援助(ODA)供与で、それを支えてきたのは協力を通した日本の国益実現である。手段がODAとEPAとで違っても、対ASEAN外交の基本哲学を変える必要はなく、EPAにおいて協力関係の増進にシフトしてきたのは自然の流れといえる・・

持ち株会社解禁

2007年6月9日   岡本全勝

9日の朝日新聞「変転経済」は、1997年の持ち株会社解禁でした。持ち株会社禁止は、戦後改革の財閥解体以来、独禁政策の憲法でした。それがバブル崩壊後、不採算部門をリストラするための切り札として、大方向転換をしたのです。ただし記事を読むと、そう簡単ではなく、公取事務局の強化、NTT分離分割と労組の意図などが重なって、実現したようです。

骨太の方針の歴史

2007年6月8日   岡本全勝

7日の日経新聞夕刊「永田町インサイド」は、「安倍色骨太、改革力に陰り?」として、2001年からの「骨太の方針」の歴史を、簡単な表にして解説していました。

政府の仕事、民間の仕事

2007年6月6日   岡本全勝

毎日新聞5日夕刊「時をよむ」田中均さんの「日本のガン対策から考える。すべて政府任せより民間主体の社会へ」から。
・・米国ではガン対策の重要な部分を民間が担っている。米国のガン協会はアトランタに本部を置き、全米3400か所に事務所を持ち、200万人のボランティアーが働く。ガン撲滅のための啓発や患者支援を行っているが、年間1000億円を超える活動経費は企業寄付、個人の献金によりまかなわれている。ガン患者に対するケアは最も大事な仕事である。患者は24時間いつでもガン協会のコールセンターに電話し、精神的な面を含め相談することができる。このための専門相談員は240名、教育訓練を受けた100名のオペレーターが常時待機している。このような活動は政府が行うものではない。民間資金でボランティアーの協力を得て、民間が行うものである・・
日本対ガン協会は存在するが、活動は細々としたものであり・・規模を拡張したいが、資金が集まらないという。先般成立したガン対策基本法や付帯決議にも、患者支援は盛り込まれている。ところが問題なのは、政府への支援要求一本やりであることである。
・・すべてが国家の仕事であり、税金で対策を講じてきた時代は終わった。米国は格差の大きい社会である。しかしながら同時に、民間が主体の社会であり、富裕な人々はその資金を民間の公的活動に寄付することにより、資源の再配分を行っているのである・・