カテゴリーアーカイブ:社会の見方

弱い者が発展する

2009年11月23日   岡本全勝
吉村仁著「強い者は生き残れない-環境から考える新しい進化論」(2009年、新潮選書)を読みながら、かつて議論した次のようなことを、思い出しました。この本の内容からは、ずれるのですが。
強い者と弱い者の、どちらがその後、発展するかです。条件が変わらなければ、当然、強い者が勝ち残ります。しかし、同じ条件や環境は、長くは続きません。すると、弱い者が次の時代の勝者になるのです。
暮らしやすい森を追われた哀れな猿が、その後、人類に進化しました。森に残った強い猿は、そこで進化を止めました。追い出された方は、二本足歩行を始め、様々な生き残り戦略を、工夫しなければなりませんでした。
ヨーロッパで暮らしにくかった人、食っていけなかった人は、新大陸に追い出され、そこで今日の発展を作り上げました。
NHK朝の連続ドラマ「おしん」では、兄は家に残り貧しい農家のままでした。口減らしに追い出されたおしんは、努力して豊かになりました。
資源に恵まれなかった日本は、技術を発展させ、経済大国になりました。日本よりはるかに資源に恵まれた国は、そんなことをしなくても豊かでしたが、技術は日本より後れました。
弱い者が、従来の場所を追い出されます。そして、次の場所は、必ずしも暮らしやすい場所ではありません。条件が良い場所ならば、強い者が先に行くはずです。そして、その条件の悪い場所で、適応し、能力を伸ばした者が、発展するのです。会社や組織でも、同じような例はたくさんあるでしょう。会社や学問にあっては、従来の場所はそのうちに飽和します。新天地を開拓しない限り、次なる発展はないのです。
もちろん、追い出された者が、すべて成功したわけではありません。努力とともに、運も必要でしょう。

持田先生の財政学教科書

2009年11月21日   岡本全勝
持田信樹東京大学教授が、「財政学」(2009年、東大出版会)を出版されました。大学での教科書です。
財政支出において社会保障費を、また租税論の中で社会保障負担を取り上げておられることが、一つの特徴です。近年の財政構造を、反映しています。また、財政赤字と、財政システムの将来として福祉国家を論じておられます。これもまた、新しい時代を反映したものです。地方政府の役割と政府間財政関係にも、1章を割いておられます。
わかりやすい教科書です。私が大学で学んだ財政学は、貝塚啓明先生と林健久先生でした。30年以上も前になるのですね。その後、地方財政を専門とすることも、経済財政諮問会議に関わることも、夢にも思いませんでした。

社会保障制度、前提とした社会の変化

2009年11月18日   岡本全勝
17日の日経新聞経済教室は、貝塚啓明先生の「構造変化への対応遅れる社会保障」でした。1950年代、60年代に設計された日本の社会保障制度が、日本社会の変化によって現実にそぐわなくなっていることを、簡潔に整理した論文です。
当時は人口も経済も右肩上がり、終身雇用制や年功賃金制を前提としていました。今は、経済は停滞し、少子高齢になり、非正規雇用が多くなりました。
介護保険は、その社会の変化に対応するためにつくられたものです。しかし、健康保険や年金制度は、財源と給付の前提が大きく変化しました。これについては、少しずつ手直しを、してきています。しかし、生活保護が大きな機能を期待されることは、この近年のことです。
詳しい内容と改革の方向は、原文をお読みください。

日本経済の生きる道

2009年11月9日   岡本全勝
日本が今後、活力を持ちつつ、国民が幸せになり、また世界で一定の地位を保つために、適度の経済成長は必要です。そして、これまでのような、先進国への追いつき型経済は無理であり、安価で大量の製造業もアジア各国に太刀打ちできません。
新しい成長を切り開いていった欧米諸国を参考に、日本は独自の道を探さなければなりません。政府は、この春に、日本の優位な点を3つに絞って、成長戦略を打ち出しました。「未来開拓戦略」(平成21年4月17日、内閣府・経済産業省)。
一つは、長寿社会です。日本は、世界に例を見ない早さで、高齢社会になりました。とかく暗いイメージ語られる高齢社会を、活力ある明るい社会にすれば、世界各国のお手本になります。二つ目は、低炭素社会です。日本は、世界一の省エネ・環境技術を持っています。これを伸ばすことは、地球環境を救うことにもなります。三つ目が、日本の魅力を伸ばすです。これはこのHPでもよく書いていますし、昨日も書きました。
もちろん、この分類に収まらない成長分野もあるでしょう。でも、このようなスローガンは、3つが良いのですよね。