7月23日の日経新聞に「技術交流の盛んな日本を始めよう」が載っていました。そこで、田中陽・編集委員が、次のようなことを書いておられます。
・・今から15年ほど前、ハーバード・ビジネススクールが、「味の素」の経営をケーススタディーとして取り上げたことがあります。主力の調味料に始まり甘味料、加工食品、飼料用アミノ酸、医薬品など多岐にわたる事業領域の是非について、ビジネスエリートたちが下した結論は「選択と集中。多くの事業から撤退すべき」というものでした。味の素の幹部もこの議論に参加し、多彩な事業展開の必要性を説明しましたが、彼らを納得させることはできなかったそうです・・
その後、味の素の事業領域は香粧品、電子材料なども加わり、さらに拡大しています。その大半は同社の中核であるアミノ酸やバイオ技術に裏打ちされた事業であり、それぞれが切っても切れない関係にあります。そこで培われた長年のR&D(研究・開発)の蓄積が今、さらに多様な分野でいかされようとしています。株式時価総額も15年前の6400億円が現在は7500億円まで増えました。あの時、ビジネスエリートたちの言うことに従っていたら、新しい価値を生み出すベンチャー精神の芽も摘み取られてしまっていたことでしょう・・
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ソーシャル疲れ
7月30日の読売新聞オピニオン欄、鈴木謙介関西学院大学准教授の発言から。
・・ツイッターやフェイスブックをはじめとするソーシャルメディアの普及とともに、「ソーシャル疲れ」と呼ばれる現象が目に付くようになってきた。ソーシャルメディアをしじゅうチェックしていないと不安になるとか、人間関係の維持が面倒になってしまうとか、そういった出来事の総称だと思えばいいだろう・・
友達といっても、職場の同僚や学生時代からの付き合いの親友、恋人や配偶者に紹介された人など、いろんな領域に広がっているものだ。それらの領域がお互いに切り離されているからこそ、相手との付き合い方をコントロールすることができるのだ。しかしソーシャルメディア上では、友人は皆同じように自分の書き込みを読む。それでも私たちは、学生時代の友人と職場の同僚では異なった顔で接しているから、ソーシャルメディア上でもその使い分けを意識しなければならない。そうしたところに「ソーシャル疲れ」の一因がある。
また、ソーシャルメディアでは、自分の友人たちがいま何をしているのか、リアルタイムで知ることもできる。そのことが、ユーザーにとってある種の孤立感を生む原因になっているのではないか。
私たちが行った若者向けの携帯電話の調査からは、携帯電話を手放せなくなってしまう原因として、幅広い交友関係を持ちながらも、自分がその人たちから仲間はずれにされているのではないかという孤立感があることがわかっている。もしも、ソーシャルメディア上で、自分の友達が別の友達と仲良く遊んでいる書き込みを見たとしたら、おそらく携帯電話以上に孤立感を覚えることになるだろう・・
所有者規制か運営規制か
7月30日から8月3日まで、日経新聞夕刊「人間発見」は、山口洋さんでした。山口さんが社長を務める(株)JPホールディングスは、保育を主たる事業とする会社で、ジャパンポスト(日本郵政)ではありません。保育所など160施設を運営しています。
かつて保育園は、市町村の直営か社会福祉法人だけに限られていました。2000年に規制緩和され、株式会社も保育所を運営できるようになりました。もっとも、「慣習」の壁は厚く、2万3千ある保育所のうち、株式会社の運営するものは、まだ1%だそうです。
・・「うちは株式会社をお断りしています」。保育所を開設しようと自治体の担当窓口を訪ねても、そう言われることがいまだにあります・・「利益優先でコストを削り、保育の質が悪くなる」と真顔で力説する方もいます。冷静に考えれば、矛盾に満ちた主張です。認可を得るには保育士の人数などいくつもの基準順守が求められます。誰が運営しようと質は守られる仕組みです・・
・・保育は通常夕方までですが、残業などで遅くなる保護者のために、夜8~9時まで延長保育をしています。子どもはおなかがすきますので、夕食を出していました。すると、ある自治体の担当者から、注文が付きました。「食事ではなく、おやつ程度にしてください」。夕食は親と食卓で囲むもの。保育所で食べてしまうと、その機会が失われるという理由です。
でも、ひもじいも思いをさせては、かわいそうです。そう詰め寄ると、本音を明かしました。地域の他の保育所は延長保育でもおやつ程度しか出しておらず、うちだけが夕食を出すと、その園に保護者から苦情が出る恐れがあるというのです・・行政も事業者も、どこを向いて保育をしているのかと姿勢を疑いました・・
いろんなところに、「消費者ではなく、内輪を向いたムラ」があります。ムラをなくす一つの手法が、競争です。そのために、規制緩和をして参入をしやすくします。もちろん、守るべき基準を定め、厳しく監視する必要があります。
話が広がりますが、かつて空港などの運営主体を緩和する際に、所有者が問題になりました。昔は、公共空港は国か自治体の直営でしたが、株式会社も可能にしました。中部国際空港や関西国際空港がそれです。さらなる規制緩和を議論した際に、「その会社を、外資が買ったらどうするか」が議論になりました。
空港に限らず、電力やガス、通信などの公共インフラを運営する会社の株が外国資本に買われ、経営を支配されては困る事態が出ることも予想されます。その際の議論は、誰が所有してもサービスの提供を義務づけること(運営規制)と、どうしても外資を排除するならば株式の一定割合を国またはそれに準ずる者が保有すること(所有者規制)の二つがあるということでした。
ゴミと資源の分類
今朝は、近くのスーパーの店先まで、牛乳パックとペットボトルキャップを回収箱まで入れに行きました。そのホームページによると、13店舗で年間牛乳パックを48トンも回収しているのです。
先日、「地元のゴミ分別状況」(7月22日)を書きました。杉並区の資料によると、年々資源回収量が増え、ゴミが減っています。特に近年、ペットボトルとプラスチック包装の回収を開始したので、不燃ゴミが激減しています。平成19年度の2万3千トンから、20年度の5千トンへと。
日本のゴミの分別は、世界一の水準だと聞きました。ちなみに、区のホームページには、様々なゴミの分け方と捨て方が載っています。確かに、このような「指南書」が必要ですね。学校では教えてくれない、移住者がわからない暮らしのルールです。明治時代の日本人が現代に来たら、とまどうでしょう。便利になった産業社会に必要なルールです。
情報化社会を支える暗号
辻井重男著『暗号―情報セキュリティの技術と歴史』(2012年、講談社学術文庫)が、勉強になりました。私たちが「暗号」と聞いて思い浮かべるのは、軍事・外交での暗号です。第2次大戦での、ドイツのエニグマ暗号、日本の紫暗号など、その解読が戦争の勝敗を決めたという評価もあります。
そのような「暗い暗号」ではなく、近年は「明るい暗号」が社会で活躍しています。キャッシュカードの本人確認、インターネットでの本人確認、文書の本物であることの確認など、ITの発達・情報化社会で、秘密にする事柄と本物であることの確認作業が増えたのです。それを、「明るい暗号」が支えています。
「公開鍵暗号」といいます。鍵を秘密にせず公開するのです。しかし、その鍵は本人しか開けることができません。う~ん、私には「たくさんの桁の数字の掛け合わせで暗号にし、それを元の(ある一つの)掛け合わせに分解できるのは本人だけ」としか理解できませんでした。パスポートやクレジットカードの署名(公開済み)と、本人が目の前で書く署名が合致しているかを確認する例が出ています。この場合は、コピーで直ちに複製ができてしまいます。それを数学で複雑にして、簡単には複製できないようにします。
個人情報や企業情報が大量かつ瞬時に交換され、しかも他人には見られないようにする。大変な技術が使われているのです。