カテゴリーアーカイブ:社会の見方

インド 西洋への遺恨

2021年11月15日   岡本全勝

11月7日の読売新聞言論欄、歴史家のサンジャイ・スブラマニヤムさんの発言「インド 西洋への遺恨と打算」から。

・・・国民会議派は80年代以降、長期政権の腐敗と疲弊、経済政策の失敗などで衰退し、90年代に入ると権力を掌握できなくなります。
権力の空白を埋めたのがポピュリズム(大衆迎合主義)をテコに伸長したインド人民党です。ヒンズー教の栄えた古代インドを理想郷とし、古代インドは飛行機を発明するなど全能だったという虚妄を吹聴している。同党によれば、インドの不幸は11世紀以降の中央アジアからのイスラム勢力の襲来で始まり、15世紀末のポルトガルの航海者バスコ・ダ・ガマ到来後の西欧列強の侵略で不幸が募り、18世紀半ば以降の英国の支配でどん底に落ちたのです。

ヒンズー至上主義には反ムスリム・反西洋という排他性がある。
インドは英国支配で歴史の断絶を被りました。古代インドは歴史をサンスクリット語やペルシャ語で記していた。英国はそれを「神話・空言」と断じ、インド社会に歴史の概念はないと決めつけた。統治を容易にするためでした。

大衆は過去との真のかかわりを失いました。そこから三つの反応が起きます。まず劣等感、その裏腹の過激な民族主義。次に歴史の忘却。そして冒頭で言及した、西洋に対する遺恨。ありもしない理想郷の再生を掲げるインド人民党が支持される社会心理です・・・

インターネットを使った授業での悪用

2021年11月14日   岡本全勝

11月7日の読売新聞「学習端末トラブル ネットモラル 悩む学校」から。

・・・閲覧制限の突破、アダルトサイトを視聴、不正にログイン——。政府の「GIGAスクール構想」により公立小中学校で1人1台の学習用端末の配備・活用が進む中、学校現場では、教員たちが想像しなかったようなトラブルが起きていた。

「インターネットを調べれば解除方法も出ているし、これ以上の規制は難しい……」。大津市の小学校で起きた事例について、同市教育委員会の担当者は困惑した様子で打ち明けた。
学習用端末には通常、不適切なサイトを閲覧できないようフィルタリングがかけられている。しかし、同市が9月に各学校に行った調査の中で、フィルタリングを突破して、児童がわいせつ動画を閲覧していたことが明らかになった。市教委担当者は「子供たちにはネットのモラル教育を進めたい」と話す。
九州のある自治体の小学校では今夏、友人のIDとパスワード(PW)を何らかの形で知り、無断でこの友人の学習ドリルにアクセスする事例があった。接続履歴をたどって、不正アクセスした児童を割り出した。教委担当者は「こうした行為は犯罪であることをしっかりと周知したい」と語気を強めた・・・

・・・文科省の2020年度「問題行動・不登校調査」によると、いじめの認知件数は小中高と特別支援学校で51万7163件と前年度比15・6%減だったが、ネットいじめは同5・3%増で過去最多の1万8870件。特に小学校は同32・1%増の7407件だった。
学習用端末の配備がほぼ完了し、文科省が先月、全国の教委に出した通知では、GIGAスクール構想が進む中、「1人1台端末等を使ったいじめが発生する可能性がある」との懸念も示された。
教育現場も対応に追われている。
教員や子供たちに端末の使い方を教えるICT支援員を派遣する企業の男性社員は「小学校低学年だと、アルファベットの入ったPWの入力は難しい。覚えられない子供のために、PWを書いた紙を子供の端末に貼り付けている教員もいるが、それは危険だ」と指摘する・・・

監視社会と見守り社会

2021年11月12日   岡本全勝

11月2日の日経新聞私見卓見、森健・野村総合研究所未来創発センター上席研究員の「監視を見守りに転じるには」から。

・・・デジタル技術は監視社会を生み出しているという議論がある。町中に設置された監視カメラや、スマートフォンなどのデジタル機器を通じた、国や民間企業による市民の移動履歴やウェブ閲覧履歴の把握。そして、その情報を利用した思想・行動のコントロールだ。
しかし、デジタル技術を使って似たようなことが行われていても、それが「見守り」になるケースもある。たとえばセコムなど民間企業が提供する見守りサービスは、子供や高齢者の所在地の把握を通じて安心を提供する。また公共サービスのデジタル化が世界最高水準であるデンマークでは、国民の満足度は極めて高い。どちらのケースも企業や国家がユーザーの膨大な個人データを把握しているにもかかわらず、である。

この違いを生み出す要因は何か。まずセコムの例のようにユーザーが自らお金を出してサービスを受ける場合は見守りになる。我々は監視対象ではなく顧客だからだ。しかしこの解決策では、お金のある人だけが「見守り社会」を享受できることになってしまう。
そうではなく、市民全体が「見守り社会」に属するためのヒントはデンマークにある。デンマークは国民の「一般的信頼」、つまり他者一般を信頼する度合いが高い。データ活用でいえば、自分の個人データは国や企業によって悪用されないと人々が信頼していると言い換えてもよい・・・

高齢化先進国日本の経験を輸出

2021年11月10日   岡本全勝

10月31日の朝日新聞に「老いる中国、挑む日本式介護 保険や人材の壁、進出に苦戦も」という記事が載っていました。

・・・高齢化が急速に進む中国で65歳以上の人口が1・9億人となり、日本の総人口を超えた。介護需要はますます高まる見通しだが、課題は未整備の介護保険と人材不足。一足先に日本でノウハウを蓄積した日系企業も進出するが、苦戦している・・・

詳しくは、原文を読んでいただくとして。アジア各国に先駆けて経済発展し、高齢化した日本の経験は、他国の見本となります。産業として輸出することも考えられます。

お寺の塔

2021年11月9日   岡本全勝

日本のお寺にある古い三重塔や五重塔。全国に、いくつあると思いますか。
11月3日の日経新聞文化欄に、「古塔を巡って南へ北へ 上層から眺める絶景も魅力」という、浜野孝雄さんの記事が載っていました。
それによると、明治以前に建立された塔は、全国に153もあるそうです。これは、びっくりしました。

奈良法隆寺の五重塔薬師寺の東塔興福寺の五重塔。京都東寺の五重塔などが有名です。創建当時の東西両塔残っているのは、奈良の当麻寺だけです。
奈良や京都だけでなく、各地に残っているのですね。

どの塔も美しく、よくぞ材木を組み合わせてこのような建築物を造ったものだと、驚きます。世界に誇れる日本の美です。