カテゴリーアーカイブ:社会の見方

星を見て1000キロ飛ぶガ

2026年3月27日   岡本全勝

3月15日の日経新聞に「動物に驚異の「超能力」 星を見て1000キロ飛ぶガ、馬は感情読む?」が載っていました。へ~と、びっくりすることばかりです。

・・・地図や全地球測位システム(GPS)を使わずに毎年夏に約1000キロメートルも旅をする昆虫がいる。オーストラリアのボゴンモスというガだ。スウェーデンのルンド大学などは2025年にこのガが方角を探る仕組みを突き止め、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
ボゴンモスは約40億匹もの大集団を作り、涼しい山地まで飛んで眠りにつく。秋になると元の繁殖地に戻る。渡り鳥と同様に季節に応じてすみかを変えるわけだ。このガの寿命は約1年しかなく、遠大な旅に出るのは生涯で一度きりだ。どう方角を知るのだろうか。

ルンド大などは100匹以上のガを採取して胴体を棒に固定し、実験室に星空の映像を写して飛ぼうとする方角を調べた。映像を動かすとガは追従して正しい方角を向いた。研究チームはボゴンモスが星空や月を目印にすると考えている。地球の自転で夜空の星の位置は変わるが、それを織り込んで正しい向きに飛ぶ。
ルンド大のエリック・ワラント教授は「星を頼りに移動するのは人間や特定の鳥類だけだとされてきた」と話す。研究チームは小さなガが同じ能力を持つと証明し、常識を覆した。
ボゴンモスは曇りの日には地球を南北方向に走る磁場の地磁気を使って方角を知る。ルンド大などの実験で地磁気を鋭く捉えた・・・

子への性暴力防止、教えない大学

2026年3月24日   岡本全勝

文科省調査で、子への性暴力防止、教えない大学が14%あることがわかりました。各紙が伝えています。例えば、3月17日の朝日新聞「子への性暴力防止、教えない大学14% 文科省調査」 。

・・・教員免許取得を目指す人が学ぶ「教職課程」がある大学のうち、子どもへの性暴力防止の理解を深める授業などをしていない大学が14%あった。文部科学省の調査で16日、明らかになった。
教職課程がある大学では性暴力防止の理解を深める措置をするように、「教員による性暴力防止法」で定められている。文科省は調査結果を「非常に重く受け止めている」とし、厳しく対応する構えだ。
調査は昨年11月~今年2月に実施。教職課程がある819校すべてから回答を得た。防止法の内容などを、教職課程の授業で扱っている619校(75%)、教職課程外で扱っている89校(11%)、扱っていない111校(14%)だった。このうち、扱っていない23校は「1年以内に扱う予定がない」とも答えた。担当できる教員がいないという理由が多かった・・・
・・・性犯罪や性暴力などで懲戒処分とされた公立学校教員は、昨年度は281人。このうち子どもへの行為は134人だった。内訳は性交38人、盗撮やのぞき34人、体に触る31人、キス18人など。昨年は、教員グループがSNSで女児の盗撮画像を共有したなどとして起訴される事件も起きた・・・

教員による性暴力防止法は、2022年に施行されたとのこと。
この教職課程での教育だけでなく、現役教員への研修なども必要です。教員だけでなく、公務員や会社員にも、新しい知識やしてはいけないことが増えています。
私が気がついたのは、管理職に求められる知識に、かつてはなかったものが増えていることです。セクハラ、パワハラ、カスタマーハラスメント、個人情報保護、コンプライアンス(法令順守)、サイバーセキュリティ、職員のメンタルヘルス対応・・・・。市町村職員中央研修所では、管理職の必須知識という講座を作りました。社会はどんどん変化しています。

日本人は沈黙に強い?

2026年3月23日   岡本全勝

3月7日の日経新聞に「日本人は沈黙に強い? 気まずさ感じるまで7.8秒、世界平均より長く」が載っていました。

・・・上司や初デートの相手などと話している時に会話が途切れ、気まずい思いをした経験がある人も少なくないだろう。だが、日本人は世界的に見ると沈黙に強い方なのだという。どんな背景があるのだろうか。
オンライン語学学習サービスを手掛ける米プレプリーは2024年、世界21カ国・地域の約3万人を対象に「予期せぬ沈黙から気まずさを感じるまでの時間」を調査した。日本人の回答の平均は7.8秒で、世界平均より1秒長かった。調査対象のうち最も沈黙に強いのはタイ(8.1秒)で、最も弱いのはブラジル(5.5秒)だった・・・

その理由として、日本では沈黙時間が何も起きていない時間ではなく、意味がやりとりされている時間と見なされるからだという説が紹介されています。
欧米人との1対1の会話の際に、沈黙はよいものとは受け止められないことも、指摘されています。無言で黙り込むのではなく、「考える時間をください」と一言伝えてから間を取るのが良いそうです。
また、講演でも一方的に話すだけでなく、参加者に質問を投げかけた後、3~5秒の間を置いて考えるための沈黙を作ると、共感が生まれるとも指摘されています。

私は会話時の沈黙が怖いので、すぐにしゃべってしまいます。だから、大勢の前で話すより、1対1の方が疲れます。ただし、講義講演の際には、話の転換の際に、一呼吸置くことを心がけています。

アメリカ、戦争通じ国家形成の歴史

2026年3月22日   岡本全勝

3月18日の読売新聞「デイビッド・シルビー米コーネル大准教授に聞く」「米、戦争通じ国家形成の歴史 武力行使多発「特異でない」」から。

・・・米国の第2次トランプ政権の武力行使が甚だしい。現行のイラン戦争、年頭のベネズエラ攻撃、昨夏のイラン核施設攻撃の他にも、イエメン、イラク、ソマリア、ナイジェリア、シリアの反米武装組織への空爆を重ねてきた。トランプ大統領は米国史上、特異なのか。軍事史に詳しいデイビッド・シルビー米コーネル大学准教授に聞いた・・・

―第2次トランプ政権の武力行使が目立つ。米国史上、突然変異なのか。
「否。米国人には米国を平和国家とみなす傾向があるが、実際は独立革命(1775~83年)以来、戦争に終始してきた。19世紀は白人入植者が先住民を排除して西部開拓に邁進(まいしん)する一方、メキシコ戦争で領土を一気に獲得し、太平洋岸に到達する。南北戦争(1861~65年)は75万人もの戦死者を出した。1898年に太平洋のハワイを併合し、米西戦争でスペインの植民地フィリピンを得た。20世紀は二つの大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争。戦争の他に軍事作戦を数多く遂行してきた。21世紀初頭に米同時テロを被り、アフガニスタン戦争、そしてイラク戦争に出た」

―米国の国柄の本質を戦争とする指摘もある。
「米国は戦争を通じて『国のかたち』を作ってきたといえる。建国は独立革命の成果だ。南北戦争を経て奴隷制を廃止し、連邦制を定着させた。第2次大戦は米国を世界の超大国にした。米国の国柄を南北戦争は国内的に、第2次大戦は世界的に定めたといえる」
「第2次大戦は多くの米国人にとって、米国がナチスドイツと軍国日本を負かして民主主義を防衛し、文明を救った正しい戦争だ。1945年9月2日の戦艦ミズーリ号での日本の降伏式典の映像がある。米国人はそれを正義の祝賀式典として記憶している」
「無論、美化がある。米国の参戦は日本の真珠湾攻撃とドイツの対米宣戦布告を受けた決定。民主主義擁護が理由ではない。米国には国益のために、民主主義を拒む多くの独裁政権を支援してきた歴史もある」

―米国は20世紀後半、ベトナム戦争を経験する。
「大きな転換点だった。米国は南ベトナムを支援し、北ベトナムを空爆した。戦争は長引く。米政府は戦況の悪化を隠し、米軍の住民虐殺事件を伏せた。米国民はウソを見抜き、政府を信頼しなくなった。世界における米国の役割、そして米政府の唱える『正義』『善行』は怪しくなった」
「結局、南ベトナムは崩壊し、米軍は撤退した。敗戦にも等しい介入失敗の始まりだった。21世紀のアフガン戦争、イラク戦争はベトナム戦争の延長線上だ」

墨の生産量、80年で3%に

2026年3月22日   岡本全勝

3月5日の読売新聞夕刊「伝承のサイエンス」は「奈良墨 黒の秘密 小さい芯・炎から良質の煤」でした。

・・・1400年前の飛鳥時代に中国から朝鮮半島を経て製法が伝わったとされる墨。神社仏閣の多い奈良では伝統的に墨の需要が高く、今では全国の固形墨の9割以上が奈良県で生産され、「奈良墨」は国の伝統的工芸品に指定されている。その原料に科学の光を当て、墨への理解を深める取り組みが行われている。
墨は610年に朝鮮半島の僧・曇徴が日本に初めて製法を伝えたとされる。写経や文書の作成、学問に欠かせず、奈良の地で墨作りが発展した。興福寺(奈良市)の灯明を使って作った墨は、黒みが強く光沢を放ち、高い評判を集めた。
昔ながらの固形墨は、菜種油や松材などを不完全燃焼させた時に出る黒い微粒子の凝集「煤(すす)」と、動物の骨や皮を煮出したコラーゲンなどを含む天然の接着剤「膠(にかわ)」を、10対6ほどの割合で混ぜて作る。香料を加えて練り、型に入れた後、数か月かけて乾燥させる・・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして、私が気になったのは次の文章です。小学校と中学校では書道を習いましたが、その後は筆を使いませんねえ。
・・・奈良製墨組合によると、1935年に2265万丁(1丁=墨15グラム)だった固形墨の生産量は2013年に70万丁となり、たった80年で3%にまで落ち込んだ。書道人口の減少に加えて手軽に使える液体墨の普及が拍車をかけ、組合員数も減少した・・・