4月4日の朝日新聞「日産社外取締役「全員留任」の波紋 業績不振で社長交代、監督役に「何してきたのか」」から。
・・・日産自動車は、1日にイバン・エスピノーサ新社長が就任し、新体制に移った。同社では今春、前任の内田誠社長や3人の副社長らがそろって退任した。一方、「内田体制」を支えてきた社外取締役は全員が留任の方向だ。経営の監督役である社外取締役のあり方を巡り、議論を呼んでいる・・・
・・・ 一方、取締役会の監督責任については「責任の重大さは理解しているが、新体制を構築して皆さんに判断してもらうことを選択した」と説明。12人の取締役のうち、日産と筆頭株主の仏自動車大手ルノー出身者を除いた8人の社外取締役の全員が留任する方針を明らかにした。
この方針について、企業統治に詳しい牛島信弁護士は「内田社長ひとりに責任を押しつけているように見える。一人も辞めずにどうして改革ができるのか」と批判する。さらに、「業績は一日二日で悪くなったわけではない。社長を代えることもできたのにしなかった」として、取締役会の3分の2を占める社外取締役が監督責任を果たさず、機能していなかったと分析した・・・
・・・一方、社外取締役全員の留任が「ベストではないがベターな判断」とするのは、早稲田大学ビジネススクールの池上重輔教授だ。日産のような世界的企業の取締役に適した人材が見つけにくいことや、経営再建の重責を担わなければいけないことなどから、「辞めたところで人が見つからず、これまでより悪化する可能性もある」と話す。
近年の金融庁などの指針改定で、東証プライム上場企業は独立社外取締役が取締役会の3分の1以上を占めるようにすることが求めらている。そのため、社外取締役の要件を満たす人材が不足しているという・・・