カテゴリーアーカイブ:社会の見方

企業が進めるデジタル化

2022年4月23日   岡本全勝

世の中、デジタル化の話が大流行です。デジタル庁もできました。やや言葉が先に走り、具体的にどうなるかはよく見えないようです。この手の話には、良くあることですが。
三井住友海上が取り組んでいるデジタル化について、担当幹部が解説しています。「三井住友海上が本気で挑むDX戦略の未来図」『日経BP』4月20日

・・・MS&ADインシュアランスグループホールディングスの傘下で損害保険事業を営む三井住友海上火災保険。
同社でDXを推進してきた執行役員ビジネスデザイン部長の本山智之氏と、コンサル会社A.T. カーニーの日本法人会長であり、イノベーション創出の拠点・CIC Japan会長の梅澤高明氏が語り合う。三井住友海上が2022年3月までの4カ年の中期経営計画で取り組んだDXの成果を踏まえ、保険業界の未来図を展望する・・・
▼業務効率化と顧客体験価値の向上を同時に進めるDX
▼KPIを追うのをやめ、DX、DI、DGという3つの領域に分類
それぞれの領域で、途中で一喜一憂しない仕組みを作る
▼自社の持つ情報と技術を活用し、社会貢献につなげていく
▼保険会社が持つ情報を事故防止に役立てる「RisTech」

業務の効率化だけでなく、顧客にとって便利になること、さらには社会貢献につなげています。これなら、分かります。

消費としての批判、建設的な批判

2022年4月17日   岡本全勝

人や組織が失敗をした場合、他人がそれを批判します。失敗したのだから、批判されても仕方がない場合があります。ところが批判には、建設的なものと消費でしかないものとがあるようです。

失敗の問題点を分析して改善案を提案するような批判は、建設的です。批判された人も関係者も、次回は失敗しないように参考にするでしょう。しかし、失敗をあげつらうだけの批判は、建設的ではありません。特に匿名の批判は、無責任ですよね。間違った批判でも、反論や議論のしようがありません。

反省とおわびも、建設的なものと消費としてのものがあります。「ひとまず謝っておけばよい」という風潮があるようです。直ちにおわびしないと、批判が強くなることがあるからです。世間もおわびを求めます。
ところが、おわびだけでは物事は終わりません。損害を与えたならその穴埋めと、原因究明・再発防止策がないと、反省は意味がありません。おわびより、その後の対応が重要です。「責任を取る方法2

「批判をしてすっきりした」「おわびをしてひとまず切り抜けた」「おわびをしたから、水に流す」で終わっては困るのです。
報道機関にも、おわびの記者会見を伝えることより、その後どのように対処されたかを、追いかけてほしいです。時に「詳しいことが分からないので、コメントできない」なんていう会社の説明で終わっては困ります。3日後に再取材に行って、「あの件はどうなりましたか」と質問してください。

年代別の悩み一覧

2022年4月15日   岡本全勝

4月4日の朝日新聞に「人生100年あなたの悩みは」が、図とともに大きく載っていました。

「7日から「人生100年」面(毎週木曜掲載)が始まります。くらしの中で直面する一人ひとりの悩みや困りごとを取材して読者と共有し、解決への道筋を探ります。スタートとして、全国の8歳~100歳の28人に、今悩んでいることを聞きました。人生100年時代のリアルな悩みとは」

10歳ごとに、その世代の悩みが3つずつ載っています。例えば10代は、コロナ禍の学校(入学式も運動会も中止で楽しくない)、日本語の壁(在日外国人)、同性婚(自分がバイセクシュアルカモしれない)です。80代だと、詐欺被害(詐欺に遭って長年ためた貯金を失った)、取り残される不安(やたらと横文字が使われ分からない。ワクチン予約などインターネットでは困る)です。

これは、わかりやすいです。「公共を創る」で社会の不安を軸に議論を続けています。年代別で悩みが違うことは当たり前ですが、意外とこのように整理はされていません。

特別支援学校生の増加はよいことか

2022年4月10日   岡本全勝

4月1日の朝日新聞オピニオン欄、菅原麻衣子・東洋大学教授の「特別支援学校生の増加 共生社会の視点で検証を」から。

・・・3月2日付の本紙で、全国の公立特別支援学校で3740教室が不足していることが報じられた。特別支援学校に在籍する子が10年前から16%増えたことを、文部科学省の担当者は「特別支援学校への理解が深まっているからでは」とコメントしたが、これには疑問を感じる。
なぜなら、世界の潮流は日本の逆をゆくからだ。障害のある子とない子が共に学ぶ「インクルーシブ教育」の進展が評価されている国では、特別支援学校・学級の設置は抑制の方向にある。通常の学校・学級で、いかに個別に支援し、学びやすい環境を提供できるかが追求されている。障害者の定義は国によって異なる面があり一概に比べられないが、日本はこのまま特別支援学校・学級の増加傾向に合わせて、施設の総量を増やすことに注力するのでよいのだろうか・・・

・・・問題なのは、日本ではなぜ特別支援学校・学級を選択する子が増え続けているのか、十分に検証されていないことだ。友達や先生に負担をかけるかもしれない、学校にエレベーターがないから……。それなら支援が手厚い特別支援学校・学級に行こう、と消去法や諦めから選択させていることはないか。増加した要因分析や評価が急務であると考える・・・

やめる勇気、スポーツを楽しむ

2022年4月9日   岡本全勝

3月30日の朝日新聞スポーツ面「勝利ばかり評価、日本社会の問題 山下会長が語る、小学生の柔道全国大会廃止」から。

・・・行き過ぎた勝利至上主義が散見される――。そんな理由で、小学生の柔道の全国大会が廃止されることになった。大会を主催する全日本柔道連盟(全柔連)の山下泰裕会長(64)に決断の理由を聞いた・・・

――大会にはどのような問題があったのですか。
「柔道の楽しみは、練習した技で相手を投げること。この大会では、勝つために組み手争いばかりしている試合もある、と聞いていた。そうすると、柔道の試合で勝つことだけが好きになってしまう」
「強いチームにもしっかり基礎を固め、子どもの自主性、安全に配慮しているところはある。だが、全体的には勝利志向が強すぎる。これは指導者の問題だけではない。試合に勝つことばかりを評価する日本社会の問題でもある。子どもたちにはのびのびと柔道をやってもらい、魅力を実感してもらいたい。柔道を好きになってもらいたい」
――全国大会の問題点はどこですか。
「トーナメントでは、勝者は優勝者1人。あとはみんな敗者となる。体が丈夫になった、友達ができた、新しい技を覚えた、と柔道をしたことがその子の人生にプラスになれば、全員が勝者になれる。小学生の全国大会があまりにも勝利にフォーカスされている状況はマイナスだ」
「苦しさを克服してトップを目指すのもスポーツの一部。もっと高みに挑戦したいと希望する人は、自らチャレンジすればいい。ただ、それは小学生のころに決める必要はない」

――廃止の決断は、他競技からも賛同の声が上がっています。
「同じような問題意識を共有しているのでしょう。世の中にスポーツ嫌いの人はいる。勝ち負けで、常に優劣をつける。それがスポーツ嫌いになる理由の一つではないだろうか」
「日本スポーツ界では、スポーツは若い人がやるもの、勝ち負けが大事、きつく苦しいもの、というイメージが強い。それを打破していかないといけない。スポーツは楽しいもの、自らやるもの、人生を豊かにするものになっていってほしい」

――そうした考えになるきっかけはありましたか。
「現役引退後にイギリスに留学した経験が大きかった。イギリスではスポーツが人々にとって身近だった。当時、私はまだ20代後半。時々通っていた柔道場には様々な人が来ていた」
「ある日、50歳くらいの方に練習の相手を頼まれた。軽く襟をつかんで、技をかけないでいると、『もっと真剣にやってくれ』と言う。けがをしないように足払いや腰技で軽く投げると、『きょうは最高の日だ。世界チャンピオンの技を体で感じることができた。受け身が気持ち良かった』と言われた」
「練習が終われば、パブ(酒場)でいろんな話をした。『なぜ、柔道をしているのか』と聞くと、『終わった後のパブが楽しいからだ』と。彼らのほとんどは、試合に勝つためにやっていない。だけど、みんなお金を払ってクラブに行く。それぞれの感覚で、スポーツを楽しんでいた」

――日本と欧州の違いを感じますか。
「日本ではコロナ下で『スポーツは不要不急』と言われた。我々のこれまでの努力不足、力のなさが原因だ。人はスポーツで人生の勝者になれる。そのために、まず楽しむことを知ってほしい。今回の廃止の決定が、その第一歩になってほしい」