カテゴリーアーカイブ:社会の見方

変な人たち、地下鉄編

2022年7月5日   岡本全勝

朝の地下鉄丸ノ内線、新高円寺駅です。
ホームドアが設置されたので、扉の前で次の電車を待つ人が並びます。間隔を空けて並ぶので列が長くなって、その後ろを通り抜けて先に進むことが難しくなります。なぜ間隔が空くのか。コロナ対策もあるのでしょうが、ほとんどの人がスマホを操作に熱中しています。列が長くなっていることや、後ろを通り抜けたい人に気がつかないのです。私は、「通してください」と声をかけて、通ります。

四谷駅での乗り換えを考えて、最後尾の車両に乗るのですが、一番後ろの扉付近がとても混みます。私は少し離れて、中程で吊革につかまります。そのあたりは、がら空きです。後ろから二つ目の扉付近も、比較的すいています。
駅に着く度に、一番後ろの扉から乗ってくる人が増えて、ぎゅうぎゅうになります。みなさん無言で、多くの人はスマホを見ながら、背中やおしりで乗っている人たちを押し込んで乗ってきます。この暑いのに、体が隣の人とくっついています。それでも、空間を確保してスマホを操作しています。
奥に入れば、すいているのに、隣の扉付近は、すいているのに。

大国主命の逸話「内はほらほら、外はすぶすぶ」を思い出します。大国主命が野原で火を放たれ困っていると、鼠が来て「内はほらほら、外はすぶすぶ」(穴の内側は広い、穴の入り口はすぼまって狭い)と告げます。大国主命がその場を踏んでみると、地面の中の穴に落ちて隠れることができ、火をやり過ごすことができました。少し違うかな。

生涯未婚、男性25%・女性16%

2022年7月4日   岡本全勝

6月11日の読売新聞解説欄「日本人の結婚への関心、依然高いが…男性25%・女性16%が「生涯未婚」」から。

・・・2021年の婚姻件数が戦後最少を更新するなど、「結婚離れ」が進んでいる。かつては男女とも9割超が1度は経験する人生の節目のイベントだったが、男性のほぼ4人に1人、女性の6人に1人が「生涯未婚」とされる時代を迎えている・・・

・・・もっとも、日本では結婚自体が減っている。厚生労働省が公表した21年の人口動態統計(概数)によると、婚姻件数は戦後最少の約50万件だった。ピークは団塊世代(1947~49年生まれ)が25歳前後となった1972年で、半分以下の水準だ。少子化による若年層の減少だけでは説明できない急減ぶりだ。
「日本人の結婚に対する価値観は、この40年間で大きく変化した」。リクルートブライダル総研の落合歩所長は語る。
国立社会保障・人口問題研究所によると、50歳までに一度も結婚しない人の割合を表した「生涯未婚率」は、1980年に男性が2・6%、女性が4・5%。それが2020年には男性がほぼ4人に1人の25・7%、女性が16・4%にまで上昇した。
仕事でのキャリアアップなど、結婚よりも、自分の時間を大事にしたいといった価値観が広まったという。さらに、かつては地域や職場の世話好きな人が縁談を持ってきたが、今や「おせっかい」扱いされかねない。

「婚活」という言葉に象徴されるように、「結婚に意欲を持ち、自分から機会をつかみにいかなければ後押しは得にくい」(落合氏)という。こうした意識の変化が、少子化による若年層の減少と相まって婚姻数の急減につながった。
ただ、海外の先進国などとの比較では、別の側面も見えてくる。OECD(経済協力開発機構)加盟の7か国を対象とした5年ごとの意識調査で、18年度に「結婚したほうがよい」とした割合は日本が50・9%だった。
前回調査よりも11・6ポイント低下したが、米国(52・7%)に次いで高く、英国(47・4%)、韓国(46・1%)、ドイツ(45・9%)、フランス(41・5%)などを上回った。逆に「結婚しない方がよい」は日本が35・4%で、7か国中最も低かった。日本人の結婚への関心は依然として高いともいえる。

直近の婚姻数の動向は長期にわたる減少傾向に、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた結果だ。結婚式の延期や中止、結婚自体を取りやめる人が相次いだ。外出や会食の自粛で、結婚につながる出会いや、交際の機会が失われた影響はしばらく続くとみられている・・・

原研哉著『低空飛行 この国のかたちへ』

2022年7月3日   岡本全勝

原研哉著『低空飛行 この国のかたちへ』(2022年、岩波書店)を紹介します。先日「知ってる、知ってる」で、一部分を取り上げました。原さんの主張は、私たちが気がつかない日本の生活文化の良い点を取り上げるので、うなずくことが多く、このホームページで、しばしば取り上げています。「日本式生活を輸出せよ

今度の本は、旅行とホテルという観点から、日本列島の良さを取り上げたものです。「低空飛行」と聞くと、元気がなく高いところを飛べないのか(成績が悪いときに、この表現を使いますよね)と思いましたが、低い視点で日本列島を見るという意味のようです。

宣伝文には、次のように書いてあります。
「日本各地をみずからの足で歩く。そしてデザイナーの目で、さながら高い解像度をもって自然に迫る。そこに発見されたのは、世界に開かれるべき日本の新たな価値である。かならずしも成長が見込めない成熟の時代にあって、自分たちの財産・資源となるのはその風土にほかならない。」
この本も、お勧めです。

スカートの制服

2022年7月3日   岡本全勝

6月11日の朝日新聞夕刊1面「ジェンダーレス制服、心も快適に 性自認の確認廃止「好きな方を」大阪の中学、校則変更」から。

・・・4月に大阪市立中学に入学した女子生徒は、スラックスタイプの真新しい制服を身につけて登校した。理由は「動きやすいから」。入学前の2月、地元の制服店で購入した。
入学式当日。スラックスをはいているのは自分だけ。後日、担任教諭から母親の携帯に電話があり、こんなことを聞かれた。
「LGBTなど特別な配慮が必要な生徒だけにスラックスを許可している。娘さんには学校が把握していない特別な事情があるのですか」
女子生徒は制服店で「スラックスも選べる」と説明を受けて選んだ。「女性の先生はみんなズボンをはいているのに。なんで私はダメなんだろう……」
校則では女子はスカートと決まっていた。性自認などについて本人や保護者から相談があったときだけ、どちらかを選べる運用にしていた。だが、制服店がこの運用を知らず、生徒にスラックスを販売したことで行き違いが生じたという。
保護者は「教諭が生徒にLGBTかどうかを問うこと自体が人権侵害ではないか」と抗議。学校側は校則を変え、すべての女子生徒がスカートかスラックスの好きな方を選べるようになった・・・

・・・数年前、大阪府内の別の中学でも似たような事例があった。男性教諭が当時を振り返る。
ある年の春、一人の女子生徒が前触れもなくスラックスの制服で入学した。
「どうする?」
戸惑った教員たちは対応を話し合った。校則の規定を確認すると、「制服を着用すること」としか書かれていない。女子はスカート、男子はスラックスという明確な決まりがあるわけではなかった。教員たちは「問題なし」と判断。そのまま女子生徒のスラックス着用を認めることにした。
このとき教員たちは、女子生徒に対し、性自認の確認もしなかったという・・・

制服があることを否定はしませんが、自主性のない生徒を作る仕組みですよね。そして、先生はその制服を着ていないのです。学校の一体性を保つなら、先生も生徒と同じとは言いませんがよく似た制服を着たらどうでしょうか。女性教員は女生徒と同じようにスカートだけで、スラックスはダメだとするのでしょうかね。

中立でない、いじめ調査の第三者委員会

2022年7月2日   岡本全勝

6月16日の日経新聞に「いじめ調査委、揺らぐ中立 大半で教員ら学校側関与」が載っていました。
・・・重大ないじめに対応する調査委員会の信頼性が揺らいでいる。外部有識者だけで構成される例は少なく、中立性が疑問視され、経緯調査の進め方が問題になるケースが目立つ。原因究明が不十分では被害者保護や再発防止もおぼつかない。文部科学省は15日、いじめ対策を協議する有識者会議を開催。調査を担える人材のデータベース整備などの改善案を示し、対応を求めた。

2013年施行のいじめ防止対策推進法は、心身に重い被害を受けたり、長期欠席を余儀なくされたりしたケースを「重大事態」と規定。被害者側への丁寧な説明や再発防止策の検討をするため、学校や教育委員会が調査委を設けて原因を調べるよう義務付けた。
文科省は17年のガイドラインで調査委を第三者で構成するか、教員らを含むか、事案に応じ判断するよう求めた。実際は大半で教員らが加わっている。20年度の心身などに重い被害があった233件の調査のうち、第三者のみで調べたのは45件(19%)だった。
教育現場からは「学校の事情に詳しい教員らも参加した方がスムーズに進む事案は多い」(教委担当者)という声もある。しかし加害者を知る立場の教員らが調査主体に加わることに対し、被害者側が不信感を抱くケースも少なくない・・・

このような対応が、その場は切り抜けても、徐々に信頼をなくすのですよね。第三者委員会のいかがわしさについては、八田進二著『「第三者委員会」の欺瞞-報告書が示す不祥事の呆れた後始末』 (2020年、中公新書ラクレ)が参考になります。