カテゴリーアーカイブ:社会の見方

手形交換所終了

2022年11月22日   岡本全勝

11月3日の朝日新聞が「消えゆく、紙の手形 交換所、143年の歴史に幕 取引電子化進み、利用減少」を伝えていました。

・・・企業が代金の後払いに使う「約束手形」などを取り扱う全国179カ所の交換所が2日、業務を終了した。金融機関が受け取った手形を持ち寄り、交換する場を担ってきた。古くは明治時代に設立され、日本の近代から現在までの経済成長を「裏方」として支えてきた。金融取引の電子化が進んだことで、その役目を終えた。
日本最古となる1879(明治12)年に開所した大阪の交換所では2日、最後の交換が行われた・・・

私は2011年の東日本大震災発災直後、政府がつくった被災者支援本部の事務方責任者に任命された際に、「何をするのか」「何ができるのか」を考えました。被害が大きく現地の情報も把握できていません。そこで幹部と議論して、「暗闇の灯台」「手形交換所」になることを目指しました。
「暗闇の灯台」は、どこにどのような情報があるのか、誰が何を求めているのかという情報を集めることです。「まずは、ここに持ってきてください」と明かりをともすのです。
「手形交換所」は、その寄せられた要望と支援できる人や組織をつなぎ合わせることです。この表現はわかりやすく、好評だったのですが。

鎌田浩毅著『知っておきたい地球科学』

2022年11月21日   岡本全勝

鎌田浩毅著『知っておきたい地球科学 ビッグバンから大地変動まで』(2022年11月、岩波新書)を紹介します。出版社の紹介文には、次のように書いてあります。
・・・宇宙や生命はどうやって生まれたのか。地球のエネルギー資源はどう作られているのか。気候変動や災害の原因は何か。ミクロからマクロまで、地球に関わるあらゆる事象を丸ごと科学する学問=地球科学は、未来を生きるための大切な知恵を教えてくれる。大人の学び直しにも最適な知的刺激に満ちた一冊・・・

私が半世紀前に高校で学んだ自然科学の物理、化学、生物、地学の4つのうち、当時は生物学と地学が「古くさく、つまらないもの」でした。ころが、その後の研究の発展で、生物と地学ががぜん面白いものになりました。
「はじめに」にも書いてありますが、数学は17世紀までに発達した微積分など、化学は19世紀までに発見された内容、物理学は20世紀初頭に展開された原子核物理学までが教えられます。
それに対し、生物学はその後、遺伝子や生物多様性の研究が進み、地学はプレートテクトニクスや地球温暖化という現在進行形の研究が教えられています。また日本列島は東日本大震災以来、活動期に入り、国民の関心も高まりました。

目次を見ていただくと、壮大な話と身近な話が載っています。鎌田先生のわかりやすい語り口で、最新の研究が書かれています。岩波新書にふさわしい内容で、これは売れるでしょう。

高松塚古墳壁画発見 50 周年記念フォーラム

2022年11月20日   岡本全勝

今日は、東京大手町で開かれた「高松塚古墳壁画発見 50 周年記念 第26回 明日香村まるごと博物館フォーラム」に行ってきました。大勢の人が参加していました。村長をはじめ村職員が飛鳥時代の服装だったのも、よかったです。
1972年に壁画が発見されて50年を記念して、さまざまな催し物があります。「3月のシンポジウム

話を聞き、写真を見て、あらためてこの発見の意義を考えました。登壇者が発言したように、それまでは一部の人しか知らなかった考古学が、広く国民に知られ興味を持ってもらえるようになった大きなきっかけでした。新聞の1面に発掘結果が載ったのも初めてで、カラー印刷で紹介されたのも初めのことでした。
私は「明日香村の出身です」と自己紹介すると通じるという恩恵を受けています。

村では、近年も新しい発見が続いています。牽牛子塚古墳も整備され、見学できるようになりました。つくられた当初は、こんな形だったのですね。牽牛子塚古墳は、近くにある岩屋山古墳、真弓鑵子塚古墳とともに、私のお気に入りの古墳で、何度も自転車で行きました。岩屋山古墳と牽牛子塚古墳は加工された石室がよく見えて、鑵子塚古墳は巨大な石室に入ることができました。壁と天井に積み上げられた石が崩れてきそうで、怖かったです。いまは立ち入り禁止のようです。

日本人の身長、伸びが止まった

2022年11月20日   岡本全勝

11月5日の日経新聞に「170.9センチの壁 日本人、すでに「身長の限界」に?」が載っていました。

・・・日本人の身長は戦後一貫して伸びてきた印象がある。しかし実際は30年近く横ばいが続き、すでに低下が始まっているという調査もある。日本人はもう大きくならないのだろうか。
文部科学省の学校保健統計調査によると、17歳の平均身長は1994年度に男性170.9センチ、女性158.1センチを記録して以降、2021年度まで30年近く横ばいが続く。平均身長は右肩上がりというのは思い込みのようだ・・・

男性平均は、縄文人159.1センチメートル、弥生人161.4センチ、古墳時代163センチ、江戸時代157.1センチだそうです。1896年から1996年の100年間に、男性が14.6センチ、女性が16センチ伸びました。これは、世界でも5指に入るのだそうです。
しかし、この30年間は伸びていません。経済成長と同じ傾向を示すのでしょうか。

外国語の本

2022年11月15日   岡本全勝

神田の古本市に行って、次のようなことを考えました。
外国語の本が少ないのです。いわゆる洋書(英語やフランス語)はいくつか並んでいました。ここで取り上げるのは、中国語(古典漢文ではなく)や韓国語をはじめとするアジアの本です。

一つには、日本人は、アジアの国々のことを勉強していないのか、ということです。もちろん、たくさんの本が翻訳されていますが、原書を読む人はいないのでしょうか。
明治以来、欧米先進国から学ぶことを「国是」としてきたので、アジアの事情は一部の関係者と関心ある人だけが勉強しました。英語は必須としても、大学で学ぶ第二外国語はフランス語やドイツ語が多かったのではないでしょうか。

もう一つは、日本にたくさんの定住外国人が来ています。その人たちは、どこで本を入手しているのでしょうか。古本市で求める人は少ないでしょうが、ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語などを母語とする人たちは、どこで本を買っているのでしょうか。
その方面に詳しい知人に聞くと、各国の食材店に雑誌や本が置いてあると教えてくれました。
各地の図書館には、どの程度、外国語の本が置いてあるのでしょうか。全国各地にいる外国人が母国語の本を手にとって見ることができるには、どうすればよいのでしょうか。「日本に来たのだから、日本語を勉強せよ」でよいのでしょうか。

11月9日の日経新聞1面には、「日本語教室「空白地域」46% 教師の4割、東京に集中」が載っていました。
・・・外国人労働者やその家族らが通える日本語教室がない「空白地域」が自治体の46%に上ることが文化庁の調査で分かった。教師の4割超が東京都に集中し、地方では指導者が不足。山形・三重両県は教師1人当たりの生徒数が東京の約9倍に上る。日本語を学ぶ機会の確保をうたった日本語教育推進法の施行から3年たったが、環境整備がなお進まない現状が浮かんだ・・・