カテゴリーアーカイブ:社会の見方

近藤和彦先生「『歴史とは何か』の人びと」

2023年2月24日   岡本全勝

近藤和彦先生が、岩波書店のPR誌『図書』に、「『歴史とは何か」の人びと』」を連載しておられます。2月号は、「R・H・トーニと社会経済史」です。
9月号トリニティ学寮のE・H・カー 、10月号謎のアクトン、11月号ホウィグ史家トレヴェリアン、12月号アイデンティティを渇望したネイミア、1月号トインビーと国際問題研究所。

これは面白いです。20世紀前半のイギリス歴史学を担った人たちの「肖像画」「舞台裏」です。学者は書き上げた論文で評価されますが、それは機械が作るのではなく、血の通った人間が作るものです。彼らが置かれた環境、育った経歴、意図したところが、論文を作り上げます。新しい歴史学を作った人たち、新しい見方を作った人たちには、もちろん時代背景もありますが、それだけではなく、それを生み出す個人的な背景があります。人間くささが、私たちを引きつけます。

雑誌『図書』は、1冊100円、年間1000円で、ほかにも興味深い文章を読むことができます。大きな本屋では、ただでもらえます。お得です。
近藤和彦訳『歴史とは何か』

学ぶべき既存知識の増加が技術革新を阻む

2023年2月24日   岡本全勝

2月16日の日経新聞経済教室「イノベーション起こすには」、リー・ブランステッター カーネギーメロン大学教授の「能力開発・国家間協力が必須」に、次のような記述があります。

第二次世界大戦後、科学技術の飛躍的進歩とともに、経済も成長しました。ところが、1970年代以降、成長は減速します。今後、技術革新は難しくなるとの見立てがあります。
それは、「知識の負荷」が増えているからです。知識のフロンティアを進めるためには、まず既存の知識を習得しなければなりません。しかし、既存知識はどんどん増えて、個人一人ではすべてを習得することが難しくなったのです。

学校でもそうですよね。私が学生だった頃に比べて、地学ではプレートテクトニクス論が、生物では分子生物学などが「追加」されました。少し異なりますが、管理職の必須知識も増えました。

「土地は公のもの」への一歩

2023年2月23日   岡本全勝

2月15日の日経新聞オピニオン欄、斉藤徹弥・上級論説委員の「「土地は公のもの」漸進的改革を」が勉強になりました。

明治初めの地租改正が、近代日本の強い土地所有権をつくりました。日本の土地所有権は、何をしてもよい絶対的土地所有権といわれます。これに対して、厳しい建築規制で街並みを保つ欧州は、相対的土地所有権といわれます。日本でも、土地公有化論や私権制限を強める議論もありましたが、進みませんでした。

かつては、土地は重要な財産で、一坪の土地を巡って争いがありました。ところが、山林も田畑も富を生まなくなり、管理されない土地が増えています。弥生時代以来続いてきた「土地への執着」が、崩れつつあります。
日本には、土地を放っておく「自由」もあるのです。しかし、放置されたままの土地は地域に悪影響を及ぼします。自治体では、空き家対策や、危険な空き家を取り壊す取り組みも進んでいます。政府も、所有者不明土地問題で、公共の福祉を優先した所有権の抑制に乗り出します。相続登記を義務とし、国庫帰属制度を始めます。

なかなか進まなかった、「土地は公のもの」という認識が進むきっかけになるかもしれません。

ボランティアと現地を結ぶ活動

2023年2月22日   岡本全勝

2月17日の朝日夕刊夕刊、兼子佳恵・特定非営利活動法人やっぺす元代表へのインタビュー「石巻は復興しましたか?」から。

東日本大震災を契機に復興団体を立ち上げた宮城県石巻市の兼子佳恵さん(51)。ボランティアと現地をつなぎ、住民同士が支え合う取り組みは全国的に注目され、組織や形を変えながら今も活動を続けている。

《数日後に電話がつながると、防災の専門家から連絡が入った。神戸市の田村太郎さんだった。阪神大震災を契機にボランティアや多文化共生の活動を始め、復興庁の復興推進参与になった人だ。東日本大震災の前に石巻で講演し、兼子さんと旧知の仲だった。兼子さんは田村さんたちと避難所を回り始めた。》
避難所には医療など様々なケアを必要とする人がいます。ボランティアと現地を結ぶ活動をしました。避難所や仮設住宅では、課題が次から次へと出てきます。田村さんたちは活動のノウハウを持っていますが、地元のことは知りません。私たちだからできることがあると知りました。
仮設住宅は知らない人の集まりです。一からコミュニティーをつくらないといけません。この時期、全国からたくさんのボランティアが来て、仮設住宅で支援物資を配り、炊き出しをしてくれました。でも知人がいるところや、人がたくさん集まる場所など偏りが生じていました。

ここで生きる人がつながる必要があると考え、2011年5月18日、私たちは「石巻復興支援ネットワーク」を設立しました。通称「やっぺす(現在は正式名称)」。石巻の方言で「いっしょにやろうよ」の意味です。ボランティアの受け入れ窓口となり、地元の方にも協力してもらってお茶会、絵手紙、カラオケ大会、フラワーアレンジメントなどの講座を開きました。仮設でも「ここに住んで良かった」と思ってほしかったのです。

まんが「寺田寅彦エッセイ集」

2023年2月17日   岡本全勝

鎌田浩毅先生が監修された「これから科学者になる君へ 寺田寅彦エッセイ集」(2023年、KADOKAWA)を紹介します。
角川まんが学習シリーズ」は、小学生に向け、学習まんがです。
寺田寅彦は、「天災は忘れた頃にやってくる」で有名ですよね。
内容は、リンクを張ったホームページを見ていただくとして。大人でも楽しめます。小学生には少々難しいかな。