カテゴリーアーカイブ:社会の見方

会社による社会保障国家の限界

2023年3月24日   岡本全勝

3月14日の朝日新聞夕刊、浜田陽太郎記者の「休職体験への指摘 「正社員」の私、分断を自問」から。

・・・やはり来たか――。予想はしていたが、グサッと刺さった。
「55歳の『逃げ恥』体験」という記事を、朝刊リライフ面で連載している。
「自分は会社で役立っていないのでは」と悩んだ私は「自己充実休職」という制度を使って1年間、九州・大分で過ごした。その体験を軸にした記事だ。デジタル版では昨年末、同じストーリーをより詳しく書き込んで配信している・・・
・・・「正直、共感するポイントを探すことが難しい」。私の記事にこんなコメントを寄せたのは、人類学者の磯野真穂さんだった。
任期無しの正社員に一度もなったことがない磯野さんにとって、落下しても「ふかふかの羽毛布団と高級マットレス」が待ち構えている人(つまり私)と、「冷たいコンクリート」がある人(任期付きで働く多くの非正規労働者)が存在することをあらわにされた気持ちはぬぐえないという厳しい「感想」だった。
ただし、磯野さんは、こうした思いを言葉に出すことの危うさへと論を進める。「あなたよりもっと大変な人がいる」という語り口を進めれば「不幸の総量」が発言力を決める事態に陥るからだ。個々人の感じる苦しさを重量のように比べる議論は分断しか生まない……。・・・

・・・ 最近、ある有識者から、子育てや住宅の分野で日本の社会保障が立ち遅れたのは「それはカイシャ(会社)が面倒をみるべきもの」という規範意識が岩盤のようにあるからだ、と指摘された。
カイシャが面倒をみるのは正社員のみ。その枠から漏れる非正規労働者には「冷たいコンクリート」しかない状況を変えるため、政府にお金を預け(税金を払い)、社会保障を充実すべきだとの主張はこの岩盤を崩せていない、という。
正社員にも切実な不安や苦しみはある。だが、その吐露を批判されるのは嫌。黙って岩盤を守っている方が得策。そんな気分が自分にないか、自問自答するところから始めている・・・

人は何に従うか

2023年3月22日   岡本全勝

3月13日月曜日から、マスク着用についての政府の推奨が、「着用が望ましい」から「いくつかの例外を除いて個人の自由」に変わりました。新聞テレビでも報道されていますが、ほとんどの人は依然としてマスクをつけているようです。政府の要請は、無視されているのでしょうね。着用の推奨は、受け入れられたのに。
面倒を増やす呼びかけが受け入れられ、楽にする方の呼びかけが無視されるという、不思議な現象です。

駅のエスカレーター、「右側を空けずに、立ち止まって2列で乗ってください」という放送は、ほとんど無視されています。右側が空いて、左にエスカレータを待つ長い列ができているのは、誰が考えても非効率ですよね。
「スマートフォンを操作しながら歩くのは危険なのでやめてください」という放送も、かなりの人が無視しています。これは効率の問題ではなく、安全の問題です。でも、無視されています。

ルーヴル美術館展

2023年3月21日   岡本全勝

先日、国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 愛を描く」に行ってきました。
「愛を描く」という主題で、作品が選ばれています。なるほど、このような展示もありますね。ルーブル美術館などは古今東西、膨大な数の美術品を集めていますから、そこから展示品を選ぶとなると難しいです。ごった混ぜになると、見る方も疲れます。

「愛」と言っても、西欧の歴史では大きな変遷があります。
古典古代の時代は、ギリシャ神話やローマ神話での愛で、神々の愛です。生身の人間は出てきません。しかし、男女の愛を神様に仮託して描いたのでしょう。
中世は、キリスト教の愛です。これは、男女の愛ではありません。
ルネッサンスのあと、かなり時代が経ってから、現実社会での男女の愛が絵に描かれるようになります。
共通するのは、女性の美しさを表現することです。そして中世以外は、裸像です。
ところで近世では、理想的な愛だけでなく、俗な愛も描かれています。娼婦や不倫と思われる絵です。注文した人がいたのです。これらは、どこに飾られたのでしょうか。お客さんが来る応接室や、子どもたちもいる食堂や居間には掛けなかったでしょうね。

国立西洋美術館の「憧憬の地 ブルターニュ」もよかったです。祝日の上野公園は、大変な人出でした。

高校野球の入場行進

2023年3月17日   岡本全勝

3月18日から春の高校野球が始まります。17日のテレビニュースで、入場行進の予行演習風景が報道されていました。
でも、この入場行進と予行演習って、誰のために、何のためにやっているのでしょうか。きちんと整列して行進することは、球児たちにさほどの意味があるとは思えません。さらに、そのために前日に予行演習をするとは。軍隊を連想させます。
観客のためでしょうか、大会役員の自己満足でしょうか。

夏の大会では、あの炎天下で野球をすることも、非人道的ですよね。
私も野球は好きですが、これらの行事は、目的をはき違えているように思えます。ほかの競技や、他国ではどのようになっているのでしょうか。

日本市場の魅力、世界197位

2023年3月17日   岡本全勝

3月4日の日経新聞「日本株はよみがえるか⑤」「日本市場の魅力、世界197位」から。

・・・海外企業にとって日本の魅力は北朝鮮以下――。一見、冗談に思える。投資の世界では事実だ。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、各国の国内総生産(GDP)に対する海外勢による累積の投資額(出資や設備投資、融資などの合算)の割合は、2021年時点で日本は5.2%。北朝鮮(5.9%)を下回り、200カ国・地域中197位だ。

1990年代後半まで他の先進国と比べて外資参入の規制が厳しかった影響はある。とはいえ、21年単年の投資額のGDP比でも日本は0.5%と、主要7か国平均の1.3%を下回る。
日本企業も国内より海外に投資の軸足を置いている。日本政策投資銀行(DBJ)の調べでは、日本企業による22年度計画の国内の設備投資水準は02年度比で8割にとどまるのに対し、海外は2.4倍に増えている。
市場としての日本の魅力が海外に見劣りしているためだ・・・