カテゴリーアーカイブ:社会の見方

電話による勧誘

2023年11月12日   岡本全勝

勧誘の電話が、かかってくることがあります。先日は、契約している通信会社と名乗り「お得な料金で・・・」とか説明を始めるので、「電話だとわかりにくいので、メールで送ってくれたら読むわ。あるいはホームページを教えてくれ」と言ったら、「この話は電話だけで、メールはないのです」との回答。「新手の特殊詐欺ですか?」と質問したら「いいえ」と言っていましたが。
ほかの商品の勧誘でも、そんな経験があります。なぜ電話で勧誘して、メールやネットではやらないのでしょうか。

知人たちに、聞いてみました。皆さん、似通った経験があるそうです。「0120から始まる電話番号が多いので、それには出ないことにしています」という人も。彼ら意見は次の通り。
・勧誘に引っかかる人がいるから、続けるのでしょう。
・契約関係が続いている人には、電話で話しした方が反応がいいんじゃないですか。
・たまには引っかかる人がいて、メールよりも歩留まりが良い。
・メールなどだと記録が残り、重要なことを説明していないなど、あとで問題になるけど、電話だと記録が残らないからです。
・たいてい平日の昼休み・夕方、週末にかかってきます。かけてくる方からすれば、電話に出てもらうことを前提にして、反応がある分、勧誘活動の効果が分かる。電話させる人の業務管理が楽。どこにどれだけ電話をかけたか、契約実績、相手への受け度合いなどについて、会社側が比較的容易に把握ができるという、売り込み会社側の手前勝手な理由ではないかと思っています。

遺伝による能力や性格の違い

2023年11月11日   岡本全勝

10月28日の朝日新聞別刷り「サザエさんをさがして」「双生児 似ているのに、どこか違う」に、次のような記述がありました。

安藤寿康・慶応大名誉教授は、欧米の研究成果を踏まえた上で仲間たちと分析した結果、知能82%、学業成績52%、外向性や神経質46%などと、遺伝の影響を受けていることを突き止めた。
「遺伝の研究が進んだことで、同じ親からでも非常に多様な子どもが生まれる確率が高く、『トンビがタカを生む』は十分あり得るとわかった。科学的知見を知らないまま自分の無能さを嘆くよりも、『これは遺伝の影響』と受け止め、真正面から向き合う時代になった」。

訂正し歩み寄る

2023年11月9日   岡本全勝

10月27日の読売新聞夕刊、東浩紀さんの「訂正し合い 歩み寄る」から。詳しくは原文をお読みください。

—『訂正可能性の哲学』(ゲンロン)とその入門・実践編の『訂正する力』(朝日新書)と出版が相次いでいます。今、なぜ「訂正」をテーマにしたんですか。
東 とにかく今の日本社会は訂正をしない。政府は公文書を隠し、質問にも正面から答えず、批判勢力も一度方針を決めたら、それを曲げない。そのため変化に対応できず、社会が停滞しているという問題意識がありました。

—「君子豹変(ひょうへん)す」といい、論語の「過ちを改むるに憚(はばか)ることなかれ」といい、訂正は本来いいことなのに、なぜ嫌がられるようになったのか。
東 「論破」したら勝ちという風潮が強まり、意見を変えると矛盾を糾弾するなど訂正に不寛容な社会になっている。SNSの発達で、過去の発言が全部記録できるようになり、意見を変えると叩かれやすくなったことも影響しているでしょう。
—もの言えば唇寒し、では対話する気が失せますね。

東 一方で、批判されることを恐れ、口当たりのいいことばかり言う風潮にも疑問があった。対話というのは、みんながわかり合うことが見えない目標ですが、そこにたどり着くには「ここは違うよ」とか、お互いの発言を訂正しあうことが大事です。だから、東日本大震災が起きた3・11以降、「寄り添う」という言葉が流行したときには違和感がありました。
—というと?
東 相手の言い分を聞いて、「その通りだね」「わかる、わかる」とうなずくだけでは事態は何も動かないじゃないですか。もちろんケアは大事だけど、ここぞのときには、「それは違うよ」と言わないと、対話にはなりません。

再読『リシュリューとオリバーレス』2

2023年11月8日   岡本全勝

「再読『リシュリューとオリバーレス』」の続きです。
長期の目標と短期の対策。改革には、反対がつきものです。それを乗り越えないと、目標は実現できません。二人の目標は、それぞれの国を強国とすることです。そのためには、軍隊を強くする前に国家機能を強化し、経済を発展させ、国民を豊かにする必要があります。

しかし、貴族や教会と地方が大きな力を持っていて、中央集権は完成せず。スペインにあっては、スペインの名の下にある各独立国家を束ねる苦労もあります。政府幹部の貴族は既得権益を確保することに躍起になり、役人は言うことを聞きません。財政は破綻状態にあり、借金を重ねます。敵国と戦う前に、国内の敵や政治構造、経済構造、社会風土、伝統などと戦う必要があります。

そして勝者か敗者かを判断する際に、当時の結果による判断とともに、後世への影響をも考えると、さらに難しくなります。スペインが新世界から獲得した金銀などの財を、産業発展に投資せず、文化野生活などに費やして(浪費して)しまったことをどう評価するか。指導者たちは気がついていたのか、近代経済学を学んだ私たちの後知恵による評価なのか。

英雄を主人公にした歴史小説は、主人公が成功を重ね、敵に勝つ場面を痛快に描きます。しかし、現実はそのような簡単なものではありません。味方と敵との戦いだけでなく、述べたような「所与の条件」の足かせがあるのですが、それを描くのは難しいですし、楽しく読める小説にはなりませんわね。

私だったら、どう判断するか。当時の背景や事実を知らないので、深く考えることはできないのですが。そのような観点から考えると、この本は政治家にとって有用な教科書です。
と書いていたら、本の山から、色摩力夫著『黄昏のスペイン帝国―オリバーレスとリシュリュー』(1996年、中央公論社)が発掘されました。

再読『リシュリューとオリバーレス』

2023年11月7日   岡本全勝

『リシュリューとオリバーレス―17世紀ヨーロッパの抗争』を、もう一度読みました。『スペイン帝国の興亡』を読み、やはりもう一度読もうと思いました。「16世紀スペイン衰退の理由」。前回は、2017年に読んだようです。「歴史の見方」。その本が見当たらないので、図書館で借りました。

読み終わって得た知識と読後感は、前回書いたものと同じです。すなわち、すっかり忘れていたということです。寝る前のお気楽な読書として読んでいるので、仕方ないと言えばそれまでですが。情けない。

この本も、スペインの衰退の原因は何かという観点から、読みました。産業などの国力、国の政治構造、戦争などの他国との駆け引き、指導者の役割など、さまざまな要素が絡み合います。
著者であるエリオット教授も、最終章「勝者と敗者」で、フランスの隆盛を導いたリシュリューを勝者と、スペインの没落を招いたオリバーレスを敗者と見る通念に疑問を呈します。両者の勝敗は、紙一重であったと主張します。
20年間にわたって両国の政治指導を担った二人が、どれだけのことをしたのか。どれだけのことができたのか。

二人の目標は、それぞれの国を大国として、国王を立派な君主とすることです。
しかし首席の大臣とはいえ、権勢を振るうことはできません。それぞれ国王の信頼をつなぎ止めることに苦労し、足を引っ張る勢力と戦います。
現在の民主政治の指導者と同様に、思ったことを自由に実現することはできないのです。経済産業、国民の気質、政治構造といった「所与」の条件の上で、国王・貴族・役人・外国などとの「政治操作」を行います。二人とも苦労を重ね、妥協し、しばしば挫折します。この項続く。