カテゴリーアーカイブ:社会の見方

我慢する

2024年2月11日   岡本全勝

フランス語に「我慢する」はない」の続きです。肝冷斎に教えてもらいました。

「がまん」は日本人が母語として、しかもかなり幼いころから違和感なく使うことばです。しかし、漢語でしかもサンスクリットの意訳です。
漢語の原義では、「我慢」は「慢心」の一種で、「自分に固執して他者を見下す思い上がり」というような意味です。「自慢」も同じ意味です。
「慢」(まん)はサンスクリット「マーナ」の音訳で、思い上がりの心だそうです。

それが、近世に「がまんを無くせ」が「がまんしろ」になり、「がまん」がほぼ反対の意味に転換してしまいました。

これもまた、専門家を知人に持っていると得をする例です。

鎌田先生の解説、能登半島地震の仕組み

2024年2月10日   岡本全勝

今回の能登半島地震では、場所によって4メートル隆起し、240メートルも海岸線が沖に広がったそうです。東日本大震災では、沿岸部が1メートルも沈下しました。何が違うのか、どうしてこのようなことが起きたのか。専門家の鎌田毅・京都大学名誉教授に教えてもらいました。専門家を知人に持っていると、得ですね。
その内容が、『中央公論』3月号に掲載されています。「盲点だった日本海側の防災対策 能登半島地震から何を学ぶべきか」

詳しくは記事を読んでもらうとして。東日本大震災と能登半島地震では、仕組みが違うのです。前者は沈み込むプレートが跳ね上がることで起き、後者はプレートがぶつかることで起きます。なるほど、それで一方は沈下し、他方は隆起するのですね。

能登半島は年平均で約1~1・5ミリメートルの速度で隆起していると考えられてきたのですが、今回の地震で4メートル隆起したことで、ゆっくり時間をかけてではなく3000~4000年に一度、大地震が起き、そのたびに大きく隆起したと考えられます。
能登半島の海岸には「海成段丘」(海岸線に発達した階段状の地形で、平たんな台地(段丘面)と前面の崖(段丘崖)の組合せからなる)が発達していて、輪島市や珠洲市の海岸線沿いには、3段確認されています。段丘が3段あることは、過去に大地震が3回起きたことを意味します。
私たちは、その数千年に1回程度の現象に遭遇したのです。

素人にもよくわかる解説です。ご一読をお勧めします。

一億総おひとり様社会

2024年2月9日   岡本全勝

1月13日の日経新聞一面連載「昭和99年 ニッポン反転」は「「総おひとり様」の足音 個つなぐ社会、日本モデル」でした。

・・・身元保証人がいないと入院・入所お断り――。2022年発表の総務省の抽出調査で、一般病院や介護保険施設の15.1%がこう答えた。割合を全国に広げれば「お断り」は約3千施設に及ぶ。高齢者の孤立問題に取り組むNPO法人の須貝秀昭代表(52)は「『家族』が前提の社会を変えないと、命が救えない」と訴える。
戦後、日本の基準は家族だった。1978年の厚生白書には、同居は「我が国の福祉における含み資産」との記述がある。当時は高齢者の約7割が子供と同居し、面倒をみるのが当たり前とされた。80年代には配偶者特別控除や専業主婦の第3号被保険者制度が導入され、家族像が固定化されていった。

同じころ、欧州は経済的苦境から抜け出すため女性活躍にかじを切った。日本と正反対の政策は、共働きを前提とした子育て支援につながり、比較的高い出生率の要因とされる。
京都産業大の落合恵美子教授(家族社会学)は「80年代の経済的成功が改革の意欲をそぎ、家族モデルが固定された。女性の社会進出の遅れは『失われた30年』の要因にもなった」と指摘する。

家族の姿は半世紀で一変した。2020年の国勢調査では単独世帯が一般世帯の38%を占めた。「サザエさん」型の3世代同居は4.1%。家計調査が標準世帯としていた「夫婦と子供2人」は1割を切る。非婚化が進み、およそ3組に1組が離婚し、死別後も長い人生が待つ。迫る「総おひとり様社会」と日本はどう向き合うべきなのか・・・

『科学者マイケル・ポランニー』

2024年2月6日   岡本全勝

中島秀人著『科学者マイケル・ポランニー: 暗黙知の次元を超えて』(2023年、河出書房新社)を紹介します。宣伝文には「『暗黙知の次元』で科学哲学者として知られるM・ポランニーは、天才が集中的に登場した「ハンガリー現象」の中心で独創的な仕事をした物理化学者だった。その科学者としての足跡を活写」とあります。

マイケル・ポランニーは、ハンガリー生まれの化学者です。ハンガリー語は日本語と同じく姓名の順なので、本名はポラーニ・ミハーイです。一般には、著書『暗黙知の次元』で有名です。経済人類学で有名なカール・ポランニーの弟でもあります。

「ハンガリー現象」とは、1880年からの約20年間に生まれた世界的に有名な科学者にハンガリー出身が多いことです。アメリカの原爆開発にかかわったレオ・シラードやユージン・ウィグナー、また流体に生じるカルマン渦を解明したセオドア・フォン・カルマン、現在主流のコンピュータの原理を据えたジョン・フォン・ノイマンらです。「科学者としてのマイケル・ポランニーと「ハンガリー現象」【著者に聞く】
もっとも、この本を読んでも、なぜこの時期のハンガリーに集中したのかは、分かりませんでした。政治の抑圧が弱まり、経済が急速に発展した時期であったようです。それぞれの国に、経済、文化、科学が花開く輝かしい時代があるようです。

私がこの本を読もうと思ったのは、もう一つあります。著者が「暗黙知と訳されているが、ポランニーの原著では「暗黙の次元」となっていて、暗黙知とは言っていない」と指摘してたからです。『暗黙知の次元』は、途中で挫折しました。で、参考になると思ったのです。再挑戦しましょうかね。

各国比較、ラーメンの値段

2024年2月5日   岡本全勝

1月23日の日経新聞に「世界に広がる日本の外食、味とサービスでアジアに浸透」が載っていました。日本の外食企業が海外展開を加速しています。
主な外食企業10社の2022年度の海外総店舗数は、2万店を超えました。2012年度の4千店と比べると5倍です。ミスタードーナツは約1万1千店、吉野家は約1千店です。
おいしい日本食を、どんどん世界に広めてほしいです。参考「海外に増える和食店

気がかりな数字も、並んでいます。ラーメンチェーン「一風堂」の商品「白丸元味」の値段です。日本では850円ですが、アメリカでは2899円、フランスで2139円、フィリピンで1108円、中国で909円です(1月10日の為替相場で換算)。ビッグマック指数のラーメン版ですね。
日本は安い。円安という要因もありますが、原材料費に大きな差があるとは思えず。主な要因は労働費でしょう。