17日の読売新聞が、日本の漫画や小説が韓国でヒットしている状況を伝えていました。ところで、その中で紹介されていますが、日本国内のコンテンツ産業は、約14兆円で世界ではアメリカに次いで第二位です。ところが、輸出の割合がアメリカは18%に対して、日本はたったの2%です。
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経済
オーダーメイドと汎用品
14日の日経新聞経済教室は、篠崎彰彦教授の「IT活用促進し低成長脱却」でした。
流通や金融などのサービスで、日本は早い時期からIT化に取り組んだのです。しかしその後、生産性の向上につながっていません。理由は、システムの技術問題というより、業務の手順や運用の仕組み、業界の取引慣行などの仕組みが制約なっているのです。企業ごとのしきたりにあわせて、システムが進化し、それに経費がかかるとともに、企業や業態を超えた情報のやりとりが進まないのです。
業界用語で「作り込み」と呼ばれる、オーダーメイドのシステム作りです。汎用品を使えば、安く早くできるのに。この原因は、オーダーメイドをほしがる発注主とともに、それぞれに作る方が儲かるIT業界に原因があるようです。
地方自治体でいえば、地方税や住民基本台帳など、基本は法令で決まっているのですから、全国で共通に使えるはずです。しかし、各団体がそれぞれに開発しました。しかも、他の人にはわからないブラックボックスになり、手直しのたびにいわれるだけの費用を取られます。最初に0円で入札するようなことが起こるのも、このテクニックに引っかかったのです。わかりやすい言葉で言えば、カモにされたのでしょうね。
ユーロの実験
15日の朝日新聞変転経済は、「通貨統合10年目」でした。総裁選出の舞台裏と、ユーロが強くなっていく過程が描かれています。
2008.3.12
先日、イギリスエコノミスト誌の日本特集「なぜ日本は失敗し続けるのか」を紹介しました(2月27日の記事)。3月12日の日経新聞が、抄訳を載せていました。いつの日か、日本で書かれたイギリスやアメリカ経済の対策についての記事が、それらの国で大きく取り上げられることを期待します。(
経済と国家
9日の東京新聞「時代を読む」は、佐々木毅先生の「資源高騰と経済の舵取り」でした。
・・資源価格の高騰を背景にして資源を多く持つ国々が国家的ファンド(SWF)をつくり、先進国の市場に資金を大量に投入することが話題になっている。これを市場に対する「国家の復活」であるとする議論もあるが、こうした国家的ファンド自身が市場の産物であり、市場動向に基本的に依存した現象である。
・・注意すべき点は、われわれの歴史的体験と違うタイプの国家なるものが登場しつつあることである。近代化とは多くの国民が創意工夫をこらして営々と労働し、その成果を民主政治などを通して享受することであるというのが、この数世紀の人類の共通の理解であった。これに対して、富は生産されるものであるよりも、地面を「掘る」ことによって得られるというタイプの国々が台頭しつつある
・・先に述べた近代化モデルのような政治的民主化といったものへの社会的誘因は弱く、膨大な富の蓄積と権威主義体制との両立が起こりやすい
・・この資源価格高騰依存型の体制が、世界の新しいモデルになる可能性は少ない。しかし、その間、膨大な富の国際的移動が起こり、かつての先進国が相対的に富を失うことは避けられない・・そのダメージをなくすることはできないにしても、それを少なくするための賢明な方策を考えることは、今や政府の大きな課題である。