カテゴリー別アーカイブ: 経済

経済

世界経済の変化

2月19日の日経新聞経済教室「最高・基軸通貨ドルの行方」で、ウォーラーステイン氏(世界システム論で有名)が、「世界システム、多元的に。覇権の維持難しく。崩れる世界経済の優位性」を書いておられます。歴史と地政学と経済学から、大きな流れて分析してあり、勉強になりました。
そこで学んだことの一つに、世界経済の歴史区分があります。私は、日本の経済を、戦後から石油ショック(1978年)までの高度成長期、石油ショックからバブル崩壊(1991年)までの低成長期、その後現在までのデフレ期の、3つに区分して説明しています。1945年から1955年までの戦後復興期を入れると、4期です。
ウォーラーステイン氏は、1945年から1973年までを第1期として、コンドラチェフの波の上昇期とします。これに続く1970-73から現在までの第2期が、コンドラチェフの波の後退期に当たります。第1期は日本も驚異的な経済発展を遂げましたが、西欧もまた同様で、世界経済の生産と利益が驚異的に拡大しました。第2期は、工業生産の収益性の低下と低賃金地域への工場移転、世界的な失業率上昇と資本大国(日米欧)による雇用喪失の負担の押し付け合いになったこと。工業生産から金融市場での投資・投機へと向かう資金フローの変化とそれに伴う長期的バブルの生成、国家間や各国内での所得配分の顕著な二極化などを指摘しています。
私は、1978年以降の日本経済を、バブル前後で二分しています。しかし、このように世界経済から捉えると、世界経済全体の変化があり、前半は押し付け合いゲームで勝っていた日本、後半はそれに負けた日本、という構図が見えてきます。日本経済の変化も、日本独自による部分と、世界経済の変化によるものと、二つに分けて説明しなければなりません。そして、不可避の部分と、対応可能なものとを分析しなければなりません。
そのほか、地政学的的な分析もあり、なるほどと思うことが多かったです。

パソコンに見るビジネスモデルの革新

21日の朝日新聞私の視点、佐々木俊尚さんの「ヤフー買収劇、新たな潮流に沈む帝国」から。
・・80年代まで、コンピュータの世界を支配していたのはパソコンだった。日本ではNECのPC98シリーズがパソコン市場を寡占し、PC98上で動作するソフトでなければ売れなかった。パソコンこそがプラットホーム(コンピューターの動作基盤)であり、パソコンメーカーこそが覇者だったのである。
だが90年にマイクロソフト(MS)が「ウインドウズ3.0」という基本ソフト(OS)を発売すると、状況は変わった。ウインドウズ向けのソフトはどんなパソコン上でも動作し、パソコンの機種の違いを吸収したからだ。この結果、パソコンメーカーの支配力は役に立たなくなり、覇権はMSに渡った。MSはさらに、ワープロや表計算ソフトをウインドウズとなかば統合し、この分野でも市場を支配した。
ところが、2000年代に入って、新興ネット企業のグーグルが登場すると、MS帝国の屋台骨は揺らぎ始める。グーグルの最大の成功は、電子メールや検索エンジン、記事購読など情報やりとり部分に広告を連動させ、巨大な収益を上げるという新たなビジネスモデルを展開したことだった。グーグルは、有料で提供されるべきだと考えられていたインターネットの記事やサービスに広告をつけることで、無料に提供する手法を編み出し、世界最大の広告会社にのし上がった。
グーグルはさらに、インターネットを閲覧するソフト上で軽快に動作するワープロや表計算、電子メールなどのソフトを提供するようになった。これらは必要なときにネット経由で供給され、閲覧ソフトさえ動いていれば、OSの種類は問わない。しかも無料だ。この仕組みは、インターネットという雲(クラウド)につながるだけで様々なソフトが利用できるから、「クラウド・コンピューティング」と呼ばれる。いまや、ウインドウズによる市場支配にも破壊的な影響を与えつつある・・
なるほど、そういうことだったのですか。よくわかりました。まず、IBMなどの大型コンピュータの時代があり、次にパソコンの時代になりました。ここまでは、ものが小型化する時代です。次に、その上に載るOSという「ソフトウエア」が支配する時代になり、さらにはインターネットをどう利用するかという知識の時代に進んだのですね。これが、10年ごとに革新するのですから・・。
詳しくは原文をお読みください。

技術の進歩

30日の日経新聞「30年ぶりの価格革命」に、次のような記述がありました。
・・第1次石油ショックの1973年度の日本の原油輸入量は約2億9千万キロリットルだったが、2006年度は約2億5千万キロリットル。この間経済規模はざっと5倍に拡大しているから、石油依存度は大きく低下した・・
すごいことですね。たとえば、乗用車も、この間にどの程度燃費が向上したのでしょうか。日本のメーカーの努力で、大きく性能が上がっていると思います。

世界の資金の流れ

今日の諮問会議で、「世界の資金の流れ」が出ています。そこでは、日本・中東・新興アジアで貯蓄超過(資金が余っている)で、それがアメリカに流れ込んでいます。また、2000年以降、アメリカとヨーロッパ・アジア・中東の間では資金の流れが活発になっているのに、日本との間ではあまり増えず、取り残されている姿も出ています。
問題は、日本はお金を持ちながら、使い切れていないこと。海外からの投資も増えず、経済が成長しないことです。

経済財政諮問会議・地方会議

29日の日経新聞1面連載「逆送ニッポンー今すべきこと」は、大林尚編集委員の「将来思い、政争より改革」でした。冒頭に、経済財政諮問会議の地方会議が紹介されています。
・・地域経済の活性化や経営不振企業の事業再生について、民間議員らが各地の経営者の率直な声を聞くのが目的だ。だが時に、会議は政府への予算陳情合戦の様相を呈する・・
諮問会議悪玉論に欠けているのは、日本は構造改革を永続させないと衰退国になってしまうという危機意識だ。意識欠如は、格差是正や国民生活第一の名の下に、ばらまき復活を勢いづける・・