かつて日本人にとって、土地は最大の財産でした。武士が争ったのは、土地を巡ってです。百姓も、わずかな田畑を争いました。一生懸命も、語源は「一所懸命」で、土地の所有に命をかけたのです。土地をたくさん持っているのが、庄屋であり名家でした。
戦後改革において、農地解放が大きな影響をもたらしました。その後も、「土地本位制」といわれるくらい、日本人の土地信仰が続いています。バブルも、土地への投機が原因の一つでした。東京の地価は、今なお高いです。
他方で、所有者の不明な土地が増えています。大震災からの復興の際に、山林を切り開いて宅地を作るために、用地を買収する必要があります。ところが、場合によっては、土地の登記名義が明治時代のご先祖様のままになっていて、その子孫を追いかけるのが大変なのです。
かつては、跡取り息子が一人で相続したのですが、子どもが平等に相続することになりました。しかし、山林の価値が低下したことと、他方で手入れにカネがかかるので、うやむやになってしまいます。そのうちに、本家の孫は東京に出てしまい、山林どころか家までも放置される、といった事例もあるようです。耕作放棄地もそうでしょう。条件の悪い山林や農地は、財産でなくお荷物になったのです。
東京財団が、『国土の不明化・死蔵化の危機』(2014年3月)という報告書を公表しています。
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時給の額だけでは、仕事は選ばれない
日経新聞インターネット版5月20日「消える明かり「すき家」、バイト反乱で営業不能」が、興味深かったです。
・・景気低迷に覆い隠されていた日本経済の弱点が、白日の下にさらされた。労働力の供給が細る中、景気が回復して構造的な人手不足が露呈している。その影響をもろに受けたのが、牛丼チェーンの「すき家」。店舗が相次いで営業時間の短縮や休業に追い込まれた。人手が足りない上に業務量の増加が追い打ちをかけ、アルバイトが逃げ出した。多くの小売りや外食企業に、採用難の問題は野火のように広がる・・
・・それは異様な光景だった。
4月中旬の午後7時、東京都世田谷区にある牛丼チェーン大手の「すき家」桜新町駅前店。周囲の飲食店やコンビニエンスストアの照明が煌々と夜空を照らす中、この店だけは電気が消え、暗闇の中に沈んでいた。もちろん本来は年中無休・24時間営業の店舗だ。
「本日の営業は終了しました。申し訳ございません」。入り口の自動ドアに目を凝らすと、殴り書きのような貼り紙の文字が浮かび上がった・・
詳しくは本文を読んでいただくとして、p4に、商店街のアルバイトの時給が並べてあります。これも興味深いです。
年金が占める割合
高齢者が増え、年金の給付額が増えています。一般論としてはわかっていたのですが、どれくらいになっているのか。改めて、教えてもらいました。
まず、受給者数は約4,000万人で、これは全人口の約3分の1に当たります。高齢者世帯の収入に占める割合は、約7割です。また、年金だけで生活している高齢世帯は、約6割です。
給付額は、平成26年度予算額で、54兆円です。GDPが約500兆円ですから、その1割です。さらに、県別にその占める割合を見ると、驚きます。島根県は、高齢化率が30%、年金受給額は県民所得の約20%になります。高知県も高齢化率は30%、年金は県民所得比で19%です。農業所得より、はるかに大きいです。これを、市町村別に見ると、もっと年金に依存している村があるでしょうね。村民の最大の収入源になっていると思われます。
社会革命、コンビニ
日経新聞連載「シリーズ検証、流通革命50年の興亡」4月27日は、「コンビニ市場、10兆円目前」でした。コンビニは、中小商店が多い日本での定着は難しいと、いわれていたのだそうです。それが社会に溶け込み、日本中どこに行っても、見慣れた看板を見つけることができます。私たちの暮らしに、なくてはならないものになりました。
食べ物や飲み物、それも新鮮でいろんな種類があります。小売り以外のサービスも、すごいです。コピーにファックス、公共料金の支払い、チケットの予約、宅急便の発送と受け取り。各種サービスの「端末」であり、社会インフラです。店員の多くはアルバイトでしょうが、仕事を覚えるのは大変だと思います。
1999年、ダイエーが経営不振のため、子会社のローソンを売り出しました。複数の総合商社が経営権獲得に動き、三菱商事が勝ちました。当時、三菱商事で買収後の事業計画を策定した、新浪剛史、後のローソン社長は、「事業計画書の青写真はバラ色だった。魅力ある約7千店のネットワークを金融、IT(情報技術)の拠点に使う。あの時のコンビニ株はIT銘柄だった」と語っておられます。しかし、新浪社長がローソンで最初に手がけたのは、おにぎりをおいしくすることだったそうです。「コンビニの原点は、毎日お客さんが手に取ってくれる食べ物。ITのような仕掛けではなかった」。
人間の予想は、研究者でもその道のプロでも、当たらないことも多いようです。後から見ると、当たった場合も外れた場合も、それなりの理由があります。
記事には、次のような記述があります。
・・非効率な中小商店を生産性の高いコンビニに転換させたセブン・イレブンに対して、経営学者ピーター・ドラッカーは「社会革命」と称した・・
わずか100平方メートルほどの売り場、一つひとつは100円とか200円ほどの商品。それを、商社が経営する。結びつかないですよね。40年前に伊藤忠商事も、商社ビジネスの間尺に合わないと判断したのだそうです。
しかし、個人商店では難しい、大量・他品種の仕入れ、POSによる売り上げと在庫管理、途切れない商品の補給、進化し続ける仕組みを、商社の力で成し遂げたのでしょうね。各店舗、各商品、各サービスの後ろにある「支える仕組み」があって、初めてできることです。個店では、できないのです。ある地方に出店をお願いしたら、「その地域までシステムが伸びていない(中継拠点がない)」ことを理由に、断られたという話を聞きました。
鷲巣力著『公共空間としてのコンビニ―進化するシステム24時間365日』 (2007年、朝日選書)は、少し古くなりましたが、勉強になりました。
新4大工業地帯
「新4大工業地帯」という記事を、教えてもらいました(日経新聞5月1日、国内生産再生で脚光 「新4大工業地帯」はココ )。どこだと思いますか。私は、全く外れました。詳しくは、本文を読んでください。
4大工業地帯だけでなく、新しい工業集積地、発展可能性の地ができつつあります。これまで、政府は何度も、自治体もそれぞれに、企業誘致や工業団地を作ろうと試みました。古くは新産・工特地域、後にはテクノポリス、近年では特区です。かつては、国土庁という役所があり、地方振興局という部署もありました。経済産業省には、地域経済産業グループがあります。
政府の思ったようにはなりませんが、このようにして、できてくるものなのですね。