佐々木雄一著『陸奥宗光』(2018年、中公新書)が、コンパクトで読みやすかったです。
陸奥宗光は、皆さんもご存じでしょう。不平等条約改正を行った、明治期の外務大臣です。とはいえ、学校で習った知識は、そこまでです。一度、勉強しようと、『蹇蹇録』なども買ってはあるのですが、他の本を読むのが忙しくて、本の山の中に埋もれています。
幕末は志士で坂本龍馬の右腕、新政府に仕えつつ西南戦争の時に政府転覆計画に関与して投獄、その後復活して大使や大臣を歴任します。波瀾万丈の人生です。藩閥政府におりながら、議会の力を活用します。彼が生きていたら、政党政治はもっと早く実現したでしょう。
単に「不平等条約を改正する」といった高邁な理想だけで生きた人ではありません。政治上の成果も、権力を求める途中での成果です。もちろん、権力だけではよい成果は残らず、政策志向だけでは権力を持てずに実現できません。
「自他ともに認める才子であり、能吏であり、策士であった」(はじめに)。その権力志向、権力闘争はすさまじいものがあります。権力を目指す政治とはそのようなものだと、改めて思います。
かつて書いた「社会はブラウン運動4 指導者の意図も行き当たりばったり」を思い出しました。