「教育」カテゴリーアーカイブ

小中学生が使う情報端末

3月23日の朝日新聞「「1人1台」はいま 上」「学校端末でゲーム、戸惑う現場」から。
・・・小中学生が学校で使う1人1台の情報端末で、授業中や休み時間にゲームをする子がいる――。朝日新聞教育班にそんなメールが届きました。実態と対処法について、2回に分けて報告します。まずは実態から。

メールの送り主は、さいたま市で学習塾を経営する吉田雅人さん(74)。塾生の小学生から、学校で使う端末で児童が自由に使えるプログラミング学習ソフトを開くと、本格的なゲームが体験できるようになっていると聞いたという。
「使用が長時間になり、端末への『依存度』が高まっている。最近、子どもの読解力や表現力が落ちていると感じており、関係がないか、心配している」
この小学生たちに話を聞かせてもらった。
さいたま市立小4年の女子児童(10)によると、クラスの担任の若手教員は余裕がなさそうな様子で、休み時間は不在にすることが多かった。児童らは、休み時間に果物を用いたパズルに似たゲームなどをするようになり、やがて、端末を使う授業の際にこっそりやる子が出てきた。このソフトは教材として使用を推奨しているものだけに、担任は発見しても強く注意できなかったようで、歯止めはかからなかった。
担任は授業にこなくなった。その後、別の教員が授業を担当するようになり、プログラミングソフトでのゲームは禁止に。ただ、自習が多くなる日もあり、漢字や計算などゲーム形式のドリルに夢中になる子もいるという・・・

・・・さらに、別の小学校の6年の女子児童(12)によると、端末の利用を制限するフィルターを解除する方法が児童の間で広がっている。なかには解除したうえでオンラインゲームをする子がいるという。
文章を書く宿題をする際、多くの子が生成AIを利用しており、でてきた文章をほとんど変えずに提出する子もいる・・・

小学校の教科書ページ数が3倍に

3月23日の日経新聞1面に「分厚い教科書 理想手探り 20年で3倍」が載っていました。
・・・小中高で使用する教科書が厚みを増している。小学校の教科書のページ数は20年で3倍近く、中学校は2倍近くに膨れ上がった。「脱ゆとり教育」以降、児童生徒が学ぶ量は増えたが、学習指導要領が掲げる主体的な学びをサポートする教員の育成は追いついていない・・・
・・・学習範囲が広くなるとともに、近年は考えを手助けするヒント付きの解説や、ケーススタディーのような発展的な問題が盛り込まれ、厚みが増した。2020年度の学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」が導入され、さらに流れは強まった。
授業時間も増えた。小学校6年間の標準授業時数はゆとり教育時の02~10年度は5367コマ。20年度には418コマ増の5785コマになった。文科省の24年度調査では、年間の標準授業時数を超える公立学校は、小学5年で89%、中学2年で84%に上る・・・

14歳で83.2%が近視

3月19日の朝日新聞に「子どもの近視、発症率8歳ピーク 14歳で83.2%が近視、進んだ若年化」が載っていました。
・・・研究グループは、国が管理するレセプト情報などに関する全国規模のデータベースを活用し、2014~20年の間で0~14歳児での近視・強度近視の登録数を調べ、有病率と年間発症率を分析した。
その結果、20年10月1日時点で近視(強度近視も含む)と診断された0~14歳児は約550万人で、有病率は36・8%。近視の有病率は年齢とともに蓄積していき、14歳では83・2%まで上がった。性別で見ると、女児の有病率が男児より高い傾向だった。
年齢ごとの近視の新規発症率は8歳が最も高く、20年では1万人あたり911人。3~8歳の各年齢での発症率は14年から20年にかけて増加傾向だった・・・

・・・田村寛・京大国際高等教育院教授は「近視の原因としては7割が遺伝的要因で3割が生活習慣など環境要因とみられてきた。子どもたちの生活の中で屋外での遊びが減る一方、デジタル機器を使ったゲームや勉強などの手元の作業が増えた結果、近視になるのが若年化した可能性もある」と指摘する・・・

中学で8割とは驚きです。
子どもがスマホを長時間見るようになると、近視は進むでしょうね。猫背も。

子どもの花粉症

2月25日の日経新聞夕刊に「子供もツラい花粉症 10代の5割発症、無呼吸症候群リスク」が載っていました。

・・・今年も花粉症の季節がやってきた。つらいのは大人だけではない。最近の調査によると、10代の半数がスギ花粉症にかかっている。鼻詰まりや目のかゆみで、勉強にも支障が出かねない。子どもの花粉症の予防法や治療法について、耳鼻咽喉科医で日本医科大学大学院教授の大久保公裕さんの助言を紹介する。

子どもの花粉症はスギ花粉によるものが大半だ。全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象としたアンケート結果によると、5〜9歳でスギ花粉症にかかっている割合は1998年に7.2%だったが、2019年には30.1%を占めた。
全世代で1番多かったのは10〜19歳。98年の19.7%から19年には49.5%に増えた。
ロート製薬が24年に実施した調査では、小中学生の48%が花粉症の症状を感じていた。発症年齢は平均で6.5歳だった。

スギ花粉症はかつて成人が発症するものとされていたが、今では年代を問わない病気となっている。子どもの頃から適切な予防と治療が必要だ。
症状は大人と同じように、鼻水や鼻詰まり、くしゃみなどがみられる。花粉自体に害があるわけではなく、体の免疫が花粉に過剰反応することで、こうした症状を引き起こす。
鼻で呼吸しづらくなり、夜熟睡できなくなる子どももいる。鼻呼吸は大人より重要で、詰まっていると睡眠時無呼吸症候群になってしまう恐れもある。睡眠不足になって学校で勉強に集中できず、授業中に寝てしまう子どももいる。

花粉症の子どもが増えている要因の一つは、子どもたちの体が「自然に負けやすくなっている」ことだ。
家の中でテレビゲームやスマートフォンで遊ぶことが増えて、外で土と触れ合ったり、細菌と接触したりする機会が減った。自然の環境に体が慣れておらず、花粉に過剰に反応している可能性がある。
このため、花粉症にかかりにくくする予防策として、普段から外でよく遊ぶようにしてほしい。毎日バランスのよい食事をとり、免疫力を高めておくことも大切だ・・・

社会の変化に追いつかない意識

先日「増えた大卒、希望する職とのずれ」を紹介しました。ここ30年で高卒就職者は7割減ったのに対し、大卒就職者が4割近く増え、製造や建設などの現場が人手不足に苦しむ一方、事務職は求職者が求人を17万人上回っています。

2月18日の日経新聞夕刊、曽和利光さんの「就活のリアル」に「新卒の3年内離職率35%」が載っていました。
・・・大学の新卒入社の3年以内離職率は高まり、直近のデータでは約35%となっている。学生側が優位の売り手市場とあって、企業側のみならず、学生の側にも原因があると専門家は考えている。
大学の新卒入社(2021年)の34.9%が3年以内に離職していることが厚生労働省の調査でわかった。これは直近15年間で最大だ。企業は離職防止努力はしている。採用基準を精査し、面接担当者にトレーニングを施し、管理職にマネジメント力向上研修を実施している。しかし、残念ながら数値が改善される様子はない。

ただ、離職の増加は企業だけのせいではない。学生の側が自分に合う会社を見誤っているという側面もある。自己分析や企業研究が曖昧であれば、「なんとなく」合っていると思う会社を受け、深い吟味をせず入社する。当然ミスマッチとなりやすい。売り手市場で内定が取りやすいので、そんなことも起こりうる・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして。
多くの人が高卒で就職し、大卒が少なかった時代の意識が、まだ続いているのではないでしょうか。
そのような時代だと、大卒は「選ばれた社員」で、幹部候補として育てられました。しかし、大卒が増えると、増えた分は、それまで高卒の社員が従事していた仕事に就くことになります。みんながみんな、かつての大卒のようには出世できません。
また、農業や自営業が多かった時代は、企業、それも大企業に就職することは、憧れでした。そして、テレビなどでは現場の作業員ではなく、事務職がきれいな職場で働く姿が描かれます。会社も募集活動の際に、「うまくいった先輩」の例を示し、そうでなかった先輩の事例は説明しないでしょう。学生は、職場の実態を知らずに就職し、描いていた理想像と異なることに悩むのでしょう。
しかし、大卒の新卒入社の35%が3年以内に離職するとは、驚きです。

「高卒男子を囲い込む」政策の失敗」も、社会の変化に追いつかない意識の一例でしょう。「30年という時間、体感と社会の変化」で、この30年間の日本社会の変化は少なかったと書いたのですが、この点では違っています。