「明るい課長講座」カテゴリーアーカイブ

生き様-明るい課長講座

四角な座敷を丸く掃く2、広く考える

四角な座敷を丸く掃く」の続きです。

では、四角い仕事をその通りに片付ける職員(竹)が、良い職員か。
誠実に仕事に取り組む職員なのだけど、今ひとつ伸び悩む職員がいます。言われたことはきちんとやってくれるのですが。昇任させるには、何かが足りないのです。
それは、「言われたことはするけれど、言われないことはしない」「新しいことを考えない、応用動作ができない」のです。

上司としては、与えている仕事を処理するだけでなく、その仕事の課題は何か、次は何をすべきかを考えてほしいのです。その仕事を、広い視野から考えることです。
それを図にすると、外の大きな丸になります。四角な仕事の外(大きな丸)を考えてほしいのです。これが、松の職員です。

 

 

 

 

 

 

 

時代とともに、求められるものが変わります。すると、この四角も動きます。
例えば、右に動くと予想して備えておくのが、良い職員です。しかし多くの場合、右に動くのか、下に動くのかわかりません。その際に、広い丸で考えていると、対応が容易なのです。この項続く

ほめて伸ばす

日経新聞12月7日夕刊に「働き方改革「ほめる」から」が載っていました。

・・・「いい働きぶりだったよ」「よく頑張ったな」――社員同士でほめ合う職場風土の醸成に企業が動き始めた。誰しも称賛されれば悪い気はしない。社員のやる気を高めて仕事での貢献をさらに引き出す試みだ。人手不足が続く一方で長時間労働の是正も求められ職場のボトムアップが欠かせない。「ほめる」働き方改革に企業は生産性向上を期待する・・・

・・・日本企業では、できないことを叱って育てるスタイルが長らく主流だった。企業が今、叱るからほめるに軸足を移す背景には20代のデジタルネーティブ世代の台頭もある。
野村総合研究所のシニアプリンシパル久保田陽子さんは「物心付いたときからスマホが手元にあった彼らは交流サイト(SNS)を使い慣れていて、自己承認欲求が強く、ほめられたい。少子化で大切に育てられてきたこともあり、叱られることに慣れてもいない。かつての日本企業で主流だった叱る文化は、彼らを萎縮させてしまう」と指摘する。
ただ、企業人として教育するには、ときにはきちんと叱るべきだという。久保田さんは「承認欲求の本質は『かまってほしい』願望。ちゃんと彼らを見たうえできちんと叱るのであれば、ほめるばかりでなくても受け入れる」と助言する・・・

記事には、グーグル社のピアボーナス制度も紹介されています。仕事で別の部署の職員に助けた場合に、それを評価するのです。記事をお読みください。

これとは別に、先日、読書欄に土田 雄一編集『小学校 通知表 ポジティブ所見辞典 子どもの様子にピタリとはまる1588文例』が紹介されていました。本屋で見てみました。これは役に立ちます。小学生用と中学生用があります。
教員が生徒を評価する際に、良い点を指摘するのです。良くないと思われる点は、伸ばすように褒めるのです。
巻末に、ネガ(欠点)からポジ(長所)への言い換え一覧が付いています。例えば「愛想がない」を「迎合しない、まじめ」と言い換えるのです。

四角な座敷を丸く掃く1、仕事への応用

「四角な座敷を丸く掃く」という慣用句を、ご存じですよね。部屋を箒で掃除する際に、隅々まで掃かずに、ずぼらに済ませてしまう様子を言います。
下の図では、四角が座敷です。その中を、丸く掃くのです。隅に掃除していない箇所(斜線のところ)が残ります。

 

 

 

 

 

 

 

これを借りて、仕事ができる職員と、できない職員を表現しましょう。
次の図をご覧ください。与えられている仕事の範囲を、四角(図の実線の枠)としましょう。点線が、各職員の仕事ぶりを示したものです。

 

 

 

 

 

 

 

与えられた仕事を完全にできない職員は、四角の枠の仕事を内の小さな丸で終わらせます。当然、し残した部分が残ります。困ったものです。「梅」です。

次に、指示された仕事をきっちりと終わらせる職員は、図の枠に沿った点線の四角です。言われたことをきちんとするのですから、よい職員です。「竹」です。
この項続く

怒りをコントロールする方法

日経新聞12月4日の夕刊に「子供への怒り コントロール」が載っていました。副題は「間を6秒置き深呼吸、イライラの癖を把握」です。

・・・「もう何回言ったらわかるの!」。子供が思うように行動してくれず、イライラしたり、カッとなったり。怒りがわいた経験を持つ親は多いだろう。感情にまかせて子供を叱っても効果はない。自分の怒りの感情をうまくコントロールし、良好な親子関係を築くためのヒントを探った・・・

・・・さいたま市の飯田陽子さん(45)は子育てで「6秒ルール」を守っている。宿題をしない子供を見て怒りの感情がわきそうになったら、まず6秒、間を置く。深呼吸して心を落ち着かせ、なぜ宿題をやろうとしないのかを冷静に考えたうえで、子供が机に向かうよう促す。
飯田さんが取り入れているのは、心理トレーニング「アンガーマネジメント」。怒りそのものを否定するのではなく、「怒りの感情に振り回されずに、うまく付き合うための方法」(日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実さん)だ・・・

そこに、6秒をやり過ごすための5つの方法が、載っています。
1 怒りを数値化する
2 その場から離れる
3 数を数える。これは拙著『明るい公務員講座』でも、お勧めしました。
4 深呼吸する
5 心が落ち着くフレーズを唱える

それぞれに、具体的方法も載っています。これは役に立ちます。家庭でも職場でも。原文をお読みください。

「任せるけど任せない」矢内広・ぴあ社長

11月29日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」、矢内広・ぴあ社長の「先を見て自身で決断する 」から。

・・・――チケット参入は吉と出たわけですが、その足をすくわれるような試練もありました。2008年3月期にチケットのシステム障害に伴う売り上げの急減で最終赤字を計上しました。
「経営の難しさを本当に実感した出来事でした。改修作業で取り扱うチケットの削減を余儀なくされ資金繰りが悪化。債務超過になりかねないと、先回りをしてリストラを実施しました。財務面では凸版印刷やセブン&アイ・ホールディングスへの第三者割当増資を決断しました」
「最も歯がゆかったのは結局、私はシステムは何も知らず、どうしたらいいのかわからなかったということです。権限委譲も必要なことで任せていたのですが、チケットが収益の柱のぴあにとってITは根幹になってきているから避けて通れない。私がシステムを勉強しても限りがありますから基本的には任せるんですが、任せきりにしてはいけなかった」・・・

・・・――「任せるけど任せない」というのはどういうことでしょうか。
「松下幸之助さんが残した言葉『任せて任せず』がオリジナルです。当時、社外取締役として招いた元松下電器産業副社長の佐久間昇二さんから教わりました。自分の専門外でわからないこともありますが、ビジネスには例えばコストがどのぐらいで、どんな効果があり、いつまでにやるべきで、顧客にどんなメリットがあるのかなど、基本的な考えの枠組みがある。その枠組みのところまでは任せないということです」・・・