21日の朝日新聞「私の視点」に、平井伸治鳥取県知事が「ハローワーク、地域に合った住民本位の工夫を」を書いておられます。
・・昨年11月末になって、今度は県内5か所のハローワークのうち2か所を閉鎖するとの国の方針が出され、怨嗟の声が上がった。狙われたのは県内でも求人倍率の低い地域で、昨年12月には0.36倍まで低下したところもある。地域を挙げて産業振興を図り、働く場を何とか確保しようとしている矢先に、仕事を探し求める場が閉ざされてしまう不条理。年末にこれらの問題を国に訴え、求人開拓員を雇う県など他にない、と桝添厚労大臣に閉鎖撤回を直談判したところ、撤回こそならなかったが、求人開拓の職員増をはじめ閉鎖代替支援の特別の温情が国から示されるに至った・・そこで新年度から、閉鎖される区域に鳥取県独自で「ふるさとハローワーク」を創設することにした。ハローワークは国の組織という固定観念にとらわれず、国の支援を活用し、県職員も加え、市町も協力して新組織をつくるのである・・
知事が、地域の雇用を考えることさえ、「国の温情」にすがらなければならないのです。
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地方行財政
知事会の地方支分部局移譲案
知事会が8に日に決めた、国の出先機関の地方移譲知事会案が、HPに載りました。
道路財源と分権
9日の朝日新聞社説は、「道路と自治体―分権の視点はどこに」でした。
・・・歴代の首相は口をそろえて「分権推進」を強調してきた。小泉元首相の「三位一体」改革の掛け声はその代表例だ。なのに、中央官庁は権限をなかなか手放そうとしない。財源移譲となればなおさらだ。地方の財政は細るばかりというのが首長らの実感だろう。 その結果、知事や地方議員らはことあるごとに上京し、中央官庁や与党を陳情に歩かねばならない構図が続いてきた。 そんな状況を変えたい。権限と財源を自治体に移し、限られた予算をどう使うか、もっと住民に近いところで決めるべきだ。それが分権の考え方である。 道路整備についても同じはずだ。地域が真に必要とする道路はどれなのか。福祉や教育、医療などの行政需要と比べ、どの程度の予算を道路に振り向けるのが適当なのか。自治体の長や議会の判断で決められるようにしてこそ、効率的で無駄のない使い方ができるようになる。 そう考えれば、自治体側が訴えるべきことは明らかだろう。中央が握っているいまの道路財源を大胆に地方へ移す。そして、道路にしか使えないという特定財源の仕組みを廃止し、何にでも使える一般財源にすることだ。・・・
2008.01.25
小西砂千夫関西学院大学教授が、「自治体財政のツボー自治体経営と財政診断のノウハウ」(関西学院大学出版会)を出版されました。宣伝せよとのご指示ですので、ご紹介します。
先生の言葉によれば、売りは「住民の目線で自治体財政を解説するのがねらいです。初めて話し言葉で書いてみました」とのことです。住んでいる市町村の財政を勉強するには、もってこいの本です。市町村議会議員や職員、市役所の財政に関心のある方にお勧めします。
地域経済発展と道州制
私は、道州制の目的を、政治にあっては、中央政府が国政を考えるため(地方のことは地方に任せるため)と、経済にあっては、地域経済を発展させるため(東京に依存しないため)、と説明しています。前者のスローガンは「霞ヶ関分割」であり、後者は「東京を向かずアジアを相手に」です。このHPでも、イギリスの経済道州制を紹介しました(2007年10月24日)。また、日本では、広域単位(道州規模)で地域経済を考える仕組みがないことも紹介しました(「地域振興と国家行政機構」2007年10月28日)。
日本の各道州(案)は、オランダ、ベルギー、オーストリアなどヨーロッパの国々と、同程度の人口や経済規模を持っています。各地域が東京を向いているから、地域の経済が活性化しないのです。道州の経済自立と発展は、そんなに難しい話ではないのです。EUの経済統合と方向は逆ですが、それと対比できます。日本は、アメリカ、EUと3極をつくるくらいの規模があったのですから。
一方、イングランドが経済道州制を導入していること合わせ、フランスの州は地域経済発展の見地からスタートしました。最後に、地方自治体になりました。いずれも、県や市では経済単位としては小さすぎ、国家では大きすぎるから設計されたものです。
日本の経済界も、道州制導入に熱心なので、期待しています。