カテゴリーアーカイブ:人生の達人

通勤時間の長さ

2026年6月20日   岡本全勝

6月6日の日経新聞に「通勤時間、最適な長さはどれくらい? 米研究では「44分」が分岐点」が載っていました。
長時間通勤や通勤地獄は、昭和の働き方そのものです。「企業戦士」なら耐えたのでしょうが、子育て中の人にとってはまさに地獄です。この状況を、企業幹部はおかしいと思わないのでしょうか。

・・・近年、通勤時間が個人にもたらす様々な影響が明らかになってきた。長いほど負担感が増すが、短ければよいとも言い切れない。適正な時間はどれくらいなのか。

通勤時間を快適に過ごせる人ばかりではない。パーソルキャリア(東京・港)が運営する「Job総研」が3月に実施した調査によると、通勤にストレスを「感じる」人は75.8%だった。仕事への影響では「生産性が落ちる」などの声が目立った。

通勤時間はどの程度が適切なのかについて、米ウェイン州立大学などの研究がある。それによると男女を問わず、仕事上の要求が高い場合や家事労働(の負担)が中程度か高い場合に、通勤はリラックスや回復といったリフレッシュ時間として機能する。一定の時間(44分)までは、通勤が長いほどストレスを減らせるという。
一方、通勤時間が44分を超えるような長時間になると、仕事も家事も進められないという重圧感を感じてしまい、負の効果に転じることが分かった。長いほどストレス増につながってしまう。

通勤時間の長さだけでなく、質の面も見逃せない。国土交通省が25年にまとめた鉄道利用者アンケートでは、鉄道内の「混雑」を不快と感じる人の割合がコロナ禍前より大きくなった。特に「着席またはつり革・ドア付近の柱につかまれる程度」の100%前後の混雑率への不快感が高まった。
負担感から病気になる人もいる。清水建設技術研究所の依田柊さんの研究によると、1日120分以上の長時間通勤は、毎月40時間以上の時間外労働と同様に精神障害のリスク上昇と関連していた。両者を比べると「労働からは達成感や成長感などを得られることで負担感を減らせるのに対し、通勤には混雑などコントロールできない要因が多い」と指摘する・・・

インターネットを予想できなかった人たち2

2026年6月17日   岡本全勝

インターネットを予想できなかった人たち」の続きになります。鈴木幸一・IIJ会長、6月10日の「優秀な技術者結集」から。これまでにないことに挑戦する際には、「尖った人」、それまでの常識に合わない人が必要なのでしょう。

・・・創業4年目の頃、事業の拡大で営業職も必要になり、初めて新卒の学部採用に乗り出しました。コンサルティング会社に委託し、適性検査を行ったのですが、我が社に欲しいと思った人材がことごとく「不適性」となったのです。
そこで、一度、採用に当たる役職付きの幹部すべてが検査を受けてみたところ、私以外の全員が「不適性」と判定されました。性格が偏っていて協調性やバランス感覚に欠けるという判定でした。皆で大笑いした記憶があります・・・

超人は、主体的に考え練習する

2026年6月6日   岡本全勝

5月23日の朝日新聞オピニオン欄、吉井理人・千葉ロッテマリーンズ前監督へのインタビュー「勝手に育った」超人たち」から。

・・・メジャーリーグで活躍する佐々木朗希、大谷翔平、ダルビッシュ有。3投手がアメリカに渡るとき、指導者として携わったプロ野球・千葉ロッテマリーンズ前監督の吉井理人さんは「勝手に育った」と評する。超人に共通する言動とは。その礎となる思考を鍛えるために、周りはどうサポートしたらいいのか。

―「勝手に育った」3投手の共通するものはなんですか。
「好奇心、向上心が強く、自分の頭で考えて工夫して練習する。主体性をもって、自分の意思や判断で物事に向き合うとも言えます。主体性は、言われたままを積極的に取り組む自主性とは明確に異なります」

―とはいえ、主体性は個人の資質によるような……。
「主体的な思考は鍛えられます。ああしろこうしろと他人に指示されるのではなく、自分で考えて取り組むことで、モチベーションが高まる。活躍する選手は自分を客観視できるから、やるべきことがわかるのです」
「まずは自分を知ることが一番のポイントです。三人称で日記を付けてみたり、脳内で自分がコーチになったつもりで自分をインタビューしてみたりすることをお薦めします。『私は』ではなく『吉井は』と俯瞰した視点で振り返る。できたこと、できなかったことが言語化できるようになれば、自ら解決策を見いだせるようになります」

―結果に至ったプロセスに加えて、そのときの感情も振り返ることが大事だそうですね。
「感情によって行動は変わります。気合が入りすぎると力んでしまう。実は家族とケンカしていたという私生活が影響することもある。メンタルをコントロールすることは重要です」
「大谷のすごさは、いつも機嫌良く見えることです。楽しくない日もあると思うんですけど、自分で自分の機嫌をとれる。力を発揮できる精神状態を作れるのです。小さいときから訓練してきたのでしょう。大谷が一人いるだけで、周りの雰囲気がぐっと良くなります。日本が優勝した2023年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がいい例です」

―主体的な思考を育むために、指導者や保護者ができるサポートはありますか。
「気づきを与えることが全てだと思っています。まずは相手に話してもらう。安心して話してもらう関係を作るために、相手の主張は全肯定します。そのなかで『なぜ』『どうすればよかった』『どうしたい』と質問攻めにします。最初は上辺だけのことしか話せなくても、質問を繰り返すことで一歩ずつ思考が深くなっていきます」
「答えは与えられません。その人のなかにしかないのです。困ったときにヒントを与えたり、提案したりするなかで、自分に合うと思う解決策を選んでもらいます。自己決定を尊重し、成功体験を積み重ねた先に、主体性は養われていきます。もちろん年単位の時間がかかることもあります」

―勉強などでもそうですが、指導者は「答え」をアドバイスしたくなります。
「一時的には効果が出ますが、やらされてもうまくいかないとやる気がなくなり、やめてしまいます。長い目で見るとマイナスです。サポートする側は我慢が必要です。私も駆け出しの頃は、最初は選手に質問していても、最後は自分で答えをまとめていました。その会話を録音して、見直しました」

「32歳でメジャー移籍し、投手コーチから『自分のことを一番知っているのは自分自身だから、君のことを教えてくれ』と言われたのが印象的でした」

愛着と評価2

2026年5月29日   岡本全勝

先日愛着と評価を書いたところ、何人から批判が来ました。
「若い人がこれを読むと、ますます結婚しなくなる気がします」とか、「もう一度、評価が変わることもあります」とか。
さらに次のような意見も。
「評価のひとつに、「辛抱」と「あきらめ」がある。結婚という場面では、これらが重要と、追記すればどうですか」

そうですね。
実はこの記事は、「仕事の仕方」の欄に分類したように、男女の関係ではなく職場の関係を念頭に置いて書いたのですが。

愛着と評価

2026年5月26日   岡本全勝

変な表題ですね。「言葉は人をつなぐか、離すか」の続きにもなります。

好きな人や尊敬する人には、愛着を感じます。問題は、その人の欠点を知ったときです。
世の中に完全無欠の人はいませんから、何らかの欠点を持っています。好きになる前や尊敬する前にその欠点を知っていたなら、それを織り込んで好きになっています。しかし、それを知らずに好きになってから、欠点を知ってしまうと難しくなります。
無視して良いような欠点なら問題ないのですが、好きになったり尊敬するようになった理由に関わるものだと、葛藤が生じます。

愛着は主観的なもの、好き嫌いです。他方で、評価は客観的なものです。比較の天秤には乗らないのです。
好きでない人や尊敬しない人なら、問題は生じません。客観的に評価ができます。ところが、好きな人の場合は、「好きだったのに」「尊敬していたのに・・・がっかり」という気持ちが生じます。すると、「好き」から「そうでもない」と心が離れ、さらに「嫌い」にまで下がってしまいます。あわせて、自分がそのような人を好きだったのかと、自分に対する嫌悪感も生じます。
あなたには、そのような経験はありませんか。