カテゴリーアーカイブ:仕事の仕方

労働時間の短い国ドイツ

2016年10月19日   岡本全勝

読売新聞ネット版10月11日、熊谷徹さんの「働き方改革、ドイツに学ぶべき点はここだ」から。
・・・OECDによると、ドイツの14年の労働生産性(労働時間あたりの国内総生産)は64.4ドルで、日本(41.3ドル)を約56%上回っている。
ドイツの労働生産性が日本を大幅に上回っている理由は、ドイツの労働時間の短さである。ドイツの例は、労働時間が短くても経済成長を維持し、社会保障システムによって富を再分配することが可能であることを示している。
ドイツは「時短」大国だ。OECDによると、14年のドイツでは、労働者1人あたりの年間平均労働時間が1371時間だった。
これは、OECD加盟国の中で最も短い。日本(1729時間)に比べて約21%も短い。日本よりも358時間、OECD平均よりも399時間、韓国よりも753時間短いことになる。
ドイツでは、1日10時間を超える労働は法律で禁止されている。労働条件を監視する役所が時折、労働時間の抜き打ち検査を行い、1日10時間を超える労働を組織的に行わせていた企業に対しては、最高1万5000ユーロ(約172万5000円)の罰金を科す。
企業は罰金を科された場合、長時間労働を行わせていた課の管理職にポケットマネーから罰金を払わせる。このため、管理職は繁忙期でも社員が10時間を超えて仕事をしないよう、細心の注意を行う。
ドイツ企業では、「短い時間内で大きな成果を上げる」社員が最も評価される。成果が出ないのに残業をする社員は、全く評価されない。
このためドイツでは、長時間労働による自殺や過労死、うつ病は日本ほど大きな社会問題になっていない・・・

・・・休暇の取り方も半端なものではない。ドイツ企業で働く人の大半は、毎年30日間の有給休暇を全て使う(企業は、法律によって最低24日間の有給休暇を社員に取らせるよう義務づけられているが、大半のドイツ企業は社員に30日間の有給休暇を与えている)。
管理職以外の社員が、2~3週間の休暇をまとめて取っても全く問題は起きない。休暇中に業務用のメールをチェックする義務もない。社員が交代で休みを取るので、ねたまれることもないし、休暇先でお土産を買ってきて同僚に配るといった気遣いも不要だ。
誰もが休暇を取るのは当然の権利だと理解しており、やましい気持ちは全くない。日曜日や祝日の労働は禁止されているほか、土曜日にオフィスで働く際には上司の許可が必要だ・・・

・・・企業文化や商売の慣習が異なるので、ドイツの制度をそのまま日本に当てはめることは難しい。ドイツでは物を売る側と買う側がほぼ対等の立場にある。日本のように「お客様は神様」として顧客を絶対視する意識はない。
したがって、顧客を満足させるために、長時間残業を行うようなことはない。ドイツでは効率性が極めて重視される。彼らが常に念頭に置くのは「サービスを行うことのコストと収益性」である。
1日10時間以内に仕事を終えなくてはならないので、時間と労力ばかりかかって見返りが少ないと思われるような業務は、初めから手をつけない・・・(2016年10月19日)

独創的開発とプロジェクトの管理

2016年8月14日   岡本全勝

読売新聞8月5日の解説欄、米本浩一・九州工業大学教授の「衛星開発の管理体制を強化」から。宇宙観測衛星のいくつかの失敗を取り上げたあと。
・・・背景には、衛星や探査機が大型化して巨大プロジェクトになっているのに、それに見合う管理や運営が行われていないことがある。
JAXAの宇宙科学研究所の源流は、1955年に長さ約20センチのペンシルロケットを発射した東大の研究所にある。以来、研究者の自由で独創的な発想でプロジェクトを進めてきた。
ただ、研究者はモノ作りや品質を管理したりする面が弱い。それを製造企業が先回りして助け、両者が一体となってやってきた。その際、契約をいちいち交わさず、担当者間の口約束ですませるなど、小回りのきくやり方が採られた。
衛星や探査機が小規模だった時は、このやり方がうまくいった。だが、大きくなるにつれて、歯車がきちんと回らなくなった。契約を交わし、互いに確認しながら進める必要がある・・・

人に会うのが仕事2

2016年8月10日   岡本全勝

今週は月曜日に官邸で復興推進会議が開かれました(資料)。それに出席してから福島へ。月火水と夜の異業種交流会も終えて、先ほど東京に帰ってきました。福島ではホームページの加筆ができないので、その間はこのページも更新していません。見てくださった方には申し訳ないです。
福島でもいろいろな方が、尋ねてきてくださり、誘ってくださいます。ありがたいことです。昼夜と意見交換に努めています。人に会うのが仕事ですから。もちろん、会って飯を食べているだけではなく、重要な話をし、信頼関係作りに努めているのです。
若い頃は、官僚は机に向かって紙と鉛筆で仕事をするものだと、考えていました。話をしたり聞いたりするのは、職場の上司同僚と仕事に関係ある他省庁と自治体の人くらいだと思っていました。
上に行くに従い、会う人が広がり、それが仕事なんだとわかりました。私たちの仕事は、対象は国民で、仕事をする際の相手は人(議員、公務員、マスコミ・・・)で、紙と鉛筆と法令は道具なのですよね。

在宅勤務が上司に迫るもの

2016年8月3日   岡本全勝

7月31日の日経新聞「日曜に考える」は「広がる在宅勤務 成功のカギ」でした。日本マイクロソフトの平野拓也社長の発言が、勉強になりました。日本マイクロソフトは、在宅勤務を含め働き方の改革に取り組んでいます。その結果、5年間で残業時間が5%減り、女性の離職率も40%下がったとのことです。そして社員1人あたり売上高は26%向上しています。働き方の改革は、社員の意識改革や職員評価制度の改革につながり、社風の改革になります。
・・・残念ながら欧米と比べて日本企業の生産性は低い。組織の融和を重視しすぎるあまり、根回しや上司のメンツを立てるといったことが生産性を下げている。夜遅くまで残って仕事をしている部下を高く評価する上司も多いとも聞く。生産性を上げるためのテレワークや在宅勤務では、管理職クラスで新しいスキルが求められるだろう。オフィスで働く社員が少なくなるなかで、どのように仕事ぶりを評価し、相談に応じたりするかといった技能が必要になる・・・
納得です。「古典的職場」である役所で勤務した人間にとっては、このような改革はお手本にしたいです。私は、残業をなくし、また働き方を柔軟にする際には、次の点などが課題になると思います。
一つは、職員評価です。残業時間や、職場での仕事への熱中度といった「投入量」で評価はできません。もちろん、上司へのごますりもです。「成果」で評価すべきなのですが、なかなか難しいことです。そのためには、職員への仕事の命じ方をはっきしりて、評価基準(何を達成したら合格とするか)を明確にして、部下を納得させなければなりません。すると、仕事を命じる上司の任務が重要になります。期末の評価でなく、事前の指示(目標と評価基準)と面談が、重要なのです。
もう一つは、職員の教育です。一般的な職場の技能は、本を読んだり、研修で学ぶことができます。しかし、その職場特有の「仕事の技術」たとえば「上得意さま」「よく接触のある相手(よい人も困った人も)」とのつきあい方(傾向と対策)などは、職場で上司や同僚の振る舞いを見ながら身につけることも多いです。在宅勤務やテレワークでは、この教育は難しいです。

東芝の不正経理

2016年7月31日   岡本全勝

小笠原啓著『東芝 粉飾の原点―内部告発が暴いた闇』(2016年、日経BP社)を読みました。考えさせられる内容です。以下、この本の内容が事実だという前提で書いています。
名門企業の東芝の歴代社長が、業績を良く見せるために、経理の不正を部下に指示し、部下もそれに答えます。そして、さらにその部下に、無理な作業がしわ寄せされます。無力な中間管理職と、犠牲になる部下。
取締役も監査法人も、歯止めをかけることができません。発覚したあとにつくられた第三者委員会も、全容を解明しません。不正に関与した幹部職員が居残るので、真実の全体は明かされません。内部通報制度も、それを利用した調査も、上司に見られることを恐れて、機能しません。不正の中心になった幹部は、マスコミからの取材を拒否し、自らの責任もまた潔白であることも明らかにしません。
たぶん、私たちにはわからない「守らなければならないこ」とがあるのでしょうが・・・・。