カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

「仕方ない」が生む日本の低迷

7月17日の日経新聞「私見卓見」、的場正晃・PHP研究所経営共創事業本部本部長の「経営幹部は意識を変えよ」から。

・・・日本企業の競争力が低下したのは、現場でさまざまな問題が発生し、それが常態化しているからではないか。そして、そのことに対して多くの社員が「仕方ない」と諦めたり、「どうせ無理」と無力感を感じたりして、問題の解決が先送りにされているようだ。

変革が求められながら、なぜうまくいかない企業が多いのか。経営幹部の意識と行動が変革を阻害するケースがほとんどだ。変革の必要性を説きながら、いざ実行の段階になると自身の不利益になることを潰すことが多い。
さらにやっかいなのは、会社をダメにしている当人が、それを自覚していないことだ。彼らは口を開けば「会社のためにやっている」と言う。ところが、客観的に見ると、彼らの言動の大半が自身の立場を守るための保身行動になっていることがよくわかる。

では、どうすれば経営幹部の意識を変えることができるだろうか。経営幹部は、過去の成功体験に基づく自分なりの価値観や強い信念を持っている人たちだ。そのため、意識を変えることは容易ではない。その前提に立ち、強固に構築された考え方に風穴を開け、気づきを提供する必要がある・・・

連載「公共を創る」にも書きましたが、この30年間の停滞で、企業も役所も「新しいことに挑戦して成功した」体験を持っていない人たちが幹部になっています。個人の経験と意識、職場の風習(社風)、社会の意識が与える影響が大きいです。

相談に乗ってあげる

7月17日の朝日新聞夕刊、教育評論家・尾木直樹さんの「なかなか宿題に手をつけられません」の続きです。

――年齢を重ねると、宿題を出す立場になることもあります。
宿題がうまく進んでいない人に「大丈夫?」と尋ねるのは禁句ですね。条件反射で「大丈夫」と返ってきて、本質的な解決にはならない。はかどらない背景には必ず何かある。事情や言い分を聞いてあげることが大事です。
母は、ぼくが困っているときなどには、「どうしたの?」と聞いてくれました。ぼくも教員になってから、校内でたばこを吸っている生徒にも、「コラ!」ではなく「どうしたの?」と尋ねるようになり、「どうしたの先生」と呼ばれるようになりました。
でも、相手の顔が見えない電話やメールで「どうしたの?」と投げかけると、それはそれで威圧的に受けとられたりして難しいところですが。

――余裕をもって周囲と接したいのですが、なかなかそうできないことも多いです。
先日、東京都が採用3年目までの教員を対象に実施したアンケートの結果が報じられていました。先輩や上司の言動に「つらい思いをした経験がある」人は50・1%で、具体的には、管理職が高圧的な態度だったとか、「いつでも相談して」と言っていたのに「今忙しい」とはねつけられた、とか。
若い教員の離職率が過去10年で最も高くなり、行われたアンケートですが、その背景として、先輩たちも追い詰められている実態がわかります。本来は「大変だったね」と言ってもらうだけでも、7割ぐらい心が軽くなったりするものですが、「いつでも相談して」を実践するには、話を聞く側の余裕も必要。長時間労働の問題など、教師の働き方改革は喫緊の課題ですね。

文章の作成と確認、画面か紙か

パソコン、ワープロ、電子メールの発達で、文章の作成と送付、保存が格段に便利になりました。職場でも書斎でも、紙をなくして電子媒体で仕事をすることが進んでいます。
市町村アカデミーでも、所内のやりとりで、紙を使うことが少なくなりました。会議も、資料は紙で配らず、各自がパソコンを持ってきて画面で見ます。そのための設備投資もしました。まだいくつか紙による決裁なども残っているのですが、いずれその多くも電子媒体になるのでしょう。

私も、原稿執筆はワープロになり、紙に書くことはなくなりました。ただし、骨子を考えたり、メモをつくったりするのは、紙に万年筆です。それと、文章が完成した際に、紙に打ち出して確認します。画面では見落とすことが多いのです。編集者とのやりとりは、原稿もゲラも、電子メールでです。これは便利になりました。

先日、新聞と本の編集者と話したら、活字を使う(といっても鉛活字は使っていませんが)現場では、次のようになっているようです。
・新聞記事、特に短い記事は、ほぼ電子媒体になった。作成、送付、校閲も。機械が、ある程度の校閲(社内の決まりに従う。例えば使わない単語の確認とか)をしてくれるので、便利になった。
・本の場合は、原稿は電子媒体となり、ゲラにするのも電子媒体で。校閲を画面ですることも多いが、最後の確認は紙に打ち出す。レイアウトなどの確認も必要なので。

自分が決めた予定なら、頑張れる

7月17日の朝日新聞夕刊、教育評論家・尾木直樹さんの「なかなか宿題に手をつけられません」から。

「週明けまでにリポートをまとめて」「この書類、締め切りは○月○日で」――。子どもだけでなく、大人の日常にもつきものの「宿題」。さっさと済ませた方がいいとわかっていても、なかなか手につかない。一方で宿題を出す側にも、きっと心労があるに違いない。宿題を巡る悩みの根っこに何があるのか、教育評論家の尾木直樹さん(77)に相談してみた。

――宿題をつい後回しにし、締めきり間際に苦労することも少なくありません。
「夏休み最終日の子ども」状態ですね。それはそれは、しんどいですね。計画性をもって進めている人に比べると、大変な苦労をされているわけですが、ある意味では、それも能力のひとつですよ。ぎりぎりになっても何とか間に合わせる。つまり、取りかかりさえすればやれる能力があるとも言え、そこまで気にしなくていいと思います。
それに、取りかかるまでに、ほかに魅力を感じたやりたいことをやっているわけですよね。たとえ、ぼーっと寝ていたとしても、その時間もまた大事です。

――尾木さん自身は宿題とどう付き合ってきましたか。
学校の宿題って、そう簡単にやる気は湧きませんよね。自分で決めた課題ではなく、他人(先生や親)にやらされていると思うから。
その点、うちの母は巧妙でした。「宿題をしなさい」と言われたことは一度もない。学校から帰ってくると、母は「今日はどんな予定?」と聞くんです。「とりあえず宿題をやってから、遊びに行こうと思う」と答えると、「えらいね、自分で予定を決められて」と褒めてくれる。すると自己肯定感が湧いてくる。
「やる気スイッチ」というより、「やる気エンジン」かな。ポジティブな気持ちで得意なところから始めて、エンジンがかかれば、勢いで苦手な教科にも取りかかれる。すると、母がまた「えらいね」と褒めてくれる。うまく操られていたような気がします。

楽観的な人は先延ばし癖が少ない

6月26日の朝日新聞に「楽観的な人、先延ばし癖少ない? 東大院生ら、20~29歳の男女を調査」が載っていました。

・・・将来はストレスが少なくなると考える楽観的な人たちは、物事を深刻に先延ばしする癖が少ない。そんな研究結果を東京大学の研究グループが科学誌に発表した。「深刻な先延ばし癖を減らすには、未来に希望を持つことや、その支援を受けることが大切ではないか」と指摘している。
「深刻な先延ばし」とは、課題を先送りすることでよくない結果を招くことがわかっても先延ばししてしまうこと。幸福度が下がってストレスが増え、健康を損なったり学業成績が低下したりすることが知られている・・・

・・・オンライン調査で、20~29歳の男女296人(平均25・6歳)に、「過去10年」から「この先10年」の9段階の時間軸で、どれくらいストレスや幸せを感じるかを選んでもらった。同時に、12の質問をもとに、先延ばし癖が強い人たち、弱い人たち、中間層にわけ、ストレスや幸せの感じ方との関連を調べた。

ストレスの感じ方は4パターン。未来に行くほど、ストレスが減る「下降型」が18%、ストレスが増える「上昇型」が30%、今が一番ストレスが低く、過去や将来ほどストレスが増える「V字型」が38%、過去の一時点がストレスが最も高く、以降は減る「への字型」が13%いた。

下降型は、先延ばし癖が強い人たちが11%と、ほかの3グループの半分以下で統計上も明確に少なく、中間層の人たちが65%と多かった。下降型は未来に対して楽観的に考える人たちで、そういう見方が深刻な先延ばし癖を減らす可能性が示唆されたという・・・