カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

備える危機の3種類

災害をはじめとして、組織にはさまざまな危機が起きます。それらに、どのように備えるか。3つに分けて考えると、わかりやすいです。

その1は、経験したことがある危機です。人は一度経験すると、二度目は上手に対応できます。組織も同じですが、時間が経つと経験者がいなくなるので、その経験をどのように引き継ぐかが課題となります。

その2は、同業他社が経験した危機です。その際の対応が役に立ちます。というか「私たちには初めての経験なので・・」という言い訳は通用しません。その1の危機もその2の危機も、手順書やそれを基にした訓練が、いざというときに効果を発揮します。

その3は、まだ誰も経験したことのない危機です。いろいろと想定をしておきますが、未曾有の危機では想定外のことが起きます。その際にどれだけ想像力を働かすことができるか。ここに、力量が現れます。

失敗には必ず原因がある

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は、野球の野村監督の言葉として有名ですが、元は、平戸藩主の松浦静山の言葉です。この名言が述べるように、失敗には必ず原因があります。

最近の事例でも、痛感しました。
まずは、岸和田市での保育園児が父親の車に取り残され死亡した事件(11月12日)です。自家用車の中に娘を置いて、保育園に引き渡すのを忘れた父親の責任は重大ですが、家族に子どもの欠席を確認する電話を怠った職員の責任も大きいです。職員が保護者に電話をしていれば、また園長が職員に「電話をしたか」確認さえしていれば、この事故は防げたはずです(報道を元に書いています)。

もう一つは、京成電鉄が脱線した事故(11月17日)です。報道によると、内規に違反して、運転士が電車をバックさせたことが原因だそうです。

それぞれ、決められたことを守っていたら防げた事故です。ここに、規則の限界が見えます。そして、職員個人の問題なのか、職場の組織文化(社風)の問題もあるのかが問われます。「社風をつくる、社風を変える

昇進すると見えてくるもの

10月27日日経新聞夕刊「私のリーダー論」、村木厚子・元厚生労働事務次官の「リーダーに求められる「聞く力・伝える力」」から。

「私も自分はポストに追いついていないと感じていました。係長になったときは今ならいい係員になれる、課長補佐に昇進したときは今だったらいい係長になれるのにと思いました。ポストによって、見えてくるものが違うからです。昇進は階段を上るのに似ています。下にいたら背伸びしたり、ジャンプしたりしないと見えないものが自然と見えてくるようになるのです」

「少し力が足りないと思っても、そのポストに就いたからこそ力がつくことがある。私は他人と競うのは得意でないのですが、自分の成長という物差しであれば、それを励みに頑張れると思いました。そうして手応えをつかみ、ようやく自信がついてきたのは40代になってからでした」

社員獲得、世界との競争

10月19日の日経新聞に「GAFA予備校 NTTが返上へ」が載っていました。
・・・約30万人の従業員を抱える日本最大級の会社、NTTが攻めの働き方・人事改革に取り組んでいる。飛行機通勤を含むリモートワークを認め、年功序列を廃止して20代でも管理職に就けるようにする。米グーグルなど巨大IT「GAFA」への人材流出が続き、存在感低下は日本経済の低迷と重なる。人事に精通した島田明社長の下で、グローバルでの復権に向けた土台作りを急ぐ・・・

NTTで技術者としての基礎を学んだ後に、GAFAに代表される海外IT大手に転職していく社員が多いのだそうです。それを「GAFA予備校」と揶揄されるています。1990年代に入りバブルが崩壊するまで、NTTの時価総額は世界一でしたが、今は120位に沈み、グーグルの親会社アルファベットの時価総額の13分の1になっています。
通信の主役が電話からインターネットに代わり、通信ではなくアプリやクラウドサービスが価値を生み出すようになりました。
人材の流出は、その変化を表しています。ただし、最初から海外IT企業に就職するのではなく、NTTを「予備校」として転職するのは、最初からそれを狙っているのか、途中で見切りをつけるのかのどちらかでしょう。

記事では「公社時代から続く保守的な社風は「官僚以上に官僚的な組織」(業界関係者)とも言われる。安定志向の強いグループ30万人を擁する巨大組織を変えるのは容易ではない」と指摘されています。
若手の転職が続く霞が関も、同じ課題があります。違いは、NTTは社長以下が危機感を持って対応しようとしていることと、それに失敗すると会社がつぶれることです。それに対し、霞が関では危機感はあるようですが、統一的対応はされているように見えず、倒産する恐れもありません。

定時に退社すると批判された。変えてやる

10月5日の日経新聞「私の課長時代」は、渋谷直樹・NTT東日本社長でした。

・・・民営化1期生で、あらゆる仕事に前例がありませんでした。会社の転換期に新しいプロジェクトを任せてもらい、育てられた自覚があります。その経験から、人材育成では部下を信頼し、仕事を任せることを強く意識しました。部下の提案にはとにかく全部、「ええやん。やってみよう」と。課長時代の送別会で色紙をもらった際、部下の間で「ええやん課長」と呼ばれていたことに気づきました。

この考えには原点があります。入社して間もない頃、業務効率にこだわり、集中して仕事をこなして定時に退社していました。すると、上司から「君はいつも早く帰るね」と批判され、全く評価されずにショックでした。当時、上司はまず部下にダメ出しをする組織風土があり、「自分が変えてやる」と誓いました。

誰でも意見を言いやすい前向きな空気感があると、新しいアイデアが生まれやすいです。「予算や人手が足りない」「前例がない」など、できない理由を考えるより、部下にはクリエーティブな人材になってほしいと願ってきました。
社長になってもキャッチフレーズは「ええやん」です。課長時代はリーダーの原点で、成長のチャンス。今は課長になりたくない人も多いと思いますが、固定観念にとらわれる必要は全くありません。ぐいぐい引っ張るだけでなく、肩の力を抜き、部下の潜在力をどんどん引き出すリーダーも良いと思います・・・