「仕事の仕方」カテゴリーアーカイブ

生き様-仕事の仕方

在宅勤務が変える仕事の仕方2

4月15日の日経新聞オピニオン欄、水野裕司・上級論説委員の「テレワークを阻む壁 時代遅れの時間管理」から。

・・・新型コロナウイルスの感染拡大抑制策として、会社に出勤せずに働くテレワークが広がってきた。自宅で仕事が進むかどうか不安だった人からも「実践してみると、意外にいける」という感想をよく聞く。デジタル技術を使い、会議や打ち合わせもオンラインでできるのは便利だ。
通勤が不要になる利点は大きい。総務省が5年ごとに実施する社会生活基本調査によると、2016年の通勤・通学時間(往復)は全国平均で1時間19分。首都圏の1都3県が1位から4位までを占め、トップの神奈川県は1時間45分にのぼった。これだけの時間を省けるうえ、通勤ラッシュで疲弊せずに済む。仕事の効率は上げやすくなる・・・

・・・しかし一方で、テレワークをやりにくくさせているものもある。労働時間を厳格に管理しなければならないというルールだ。
労働法上、使用者(会社)には労働者が働いた時間を把握・管理する責務があり、これはテレワークでも変わらない。自宅にいれば仕事を中断することがしばしばあるが、在宅勤務をする人は原則として、始業・終業時刻はもとより業務から離れた時刻や戻った時刻をその都度、記録する必要がある・・・
・・・こうした厳正な労働時間の管理は、労働といえば工場で働くことを指していたときから続く仕組みだ。
戦後間もない1947年に施行され、労働時間や賃金の制度を定める労働基準法は、働く時間と生産量が比例する工場労働を前提としている。働いた時間は賃金を決めるための物差しであり、その正確な把握は必要不可欠だった。
ところがデジタル化を中心とした産業構造の変化で、働いた時間と成果が比例しない仕事が急増している。定型作業を除けば、労働時間を賃金算定の基準にすることは理にかなわない。時間管理の意味は薄れているといえる。
労務管理が「集団」から「個」へと変化してきたこともある。工場労働なら、製造現場に集合した従業員を管理者が直接、指揮命令下に置け、労働時間の把握が容易だった。働き方が多様化し、働く場所が会社の中とは限らない現在は、時間管理を徹底しようとしても限界がある・・・

・・・働いた時間の長さでなく、どんな成果を出したかで賃金を決める仕組みを広げていくべきだろう。
労働時間の把握には働き過ぎを防ぐという重要な狙いもある。仕事の時間配分を自分で決める裁量労働制でも、会社が日々の就労状況を把握しなければならないのは、社員の健康管理のためだ・・・

在宅勤務が変える仕事の仕方

在宅勤務の処方箋」の続き、会社側の課題です。

20日の日経新聞は、「職場には戸惑いの声 時間管理「難しい」68%」が載っていました。エン・ジャパンが中小企業491社を対象に実施した調査です。
それによると、テレワークの導入で難しかったこと(複数回答)は「社員の時間管理」が68%と最多。このほか「利用条件の設定」や「業務ルールの設定」「社員への指導・業績評価」などです。
よかったことは、「通勤困難の社員が継続して働ける」「業務効率の向上」「多様性のある働き方を選べる」などだそうです。

在宅勤務は、仕事の仕方を変えるよいきっかけです。
4月14日の読売新聞夕刊に、柳川範之・東大経済学部教授へのインタビュー「働き方 今こそ変える!」が載っていました。柳川先生は、このページでも紹介したことがあります。独学で大学に進みました。「柳川範之・東大教授の独学勉強法

・・・柳川 もし今、このIT技術がなかったとしたら、どんな隔離生活になっていたか。無理して会社に行くか、家でじっとしているしかなく、かなり悲惨な事態になっていたはずです。それがこの技術があるからこそ、家でもある程度、仕事や勉強もでき、ネットでの注文や医療もできる。
会社に行けないから、仕方がなくオンラインで仕事するという空気もありますが、変革の契機と前向きに考えたほうがいい・・・

・・・柳川 第一に、働くイコール会社に行くこと、と思ってきた人は、意識を変えざるを得なくなる。家で仕事をするからには、それぞれがすべき仕事の中身を、自分で考えざるを得ない局面が増えるからです。
——部下を怒り、駄目出しばかりしていた人、「仕事が忙しい」と深夜帰りしていた人が家でガミガミ、ゴロゴロしていたら、仕事の内実がバレそうですね。
柳川 怒ることが必要な局面もあるでしょうが(笑)、オンライン会議になると大事な会議だけ開催することになるので、いらぬ説教は減るでしょう。
——在宅勤務は公私の区別がつきにくく、長時間労働が懸念されています。ストレス蓄積で虐待、DVの増加も心配されています。
柳川 技術革新の時代にあって、失敗がない体制をつくってから動こうとする日本は、米中に比べて対応が遅いとされてきた。しかし、もはやできる範囲でテレワークをせざるを得ない以上、やりながら真剣に試行錯誤するしかない・・・

在宅勤務の処方箋

コロナウィルス対策で、在宅勤務、テレワークが広がっています。会社側と従業員側それぞれに、課題が見えてきています。

14日の日経新聞夕刊「Bizワザ」「在宅でも職場環境で働く 着替えて仕事モードに」が、在宅勤務のコツを書いていました。
知人からも、「家では、仕事に集中できません」「子どもが(学校が休みで)邪魔をします」などの、ぼやきが聞こえてきます。
仕事と家との切り替えをしないと、のんべんだらりと時間が過ぎます。また、夜中まで仕事をすることになってしまいます。そもそも家は仕事から帰って、ゆっくりする場所ですから、気持ちの切り替えをしないと、うまくいきません。難しいですね。

また、外出自粛の、心身への健康被害も心配です。4月16日の読売新聞、久野譜也・筑波大教授へのインタビュー「新型コロナ「外出自粛」 運動不足だと健康二次被害」を載せていました。
・・・働く世代では、例えばテレワークを3月から実施している健康経営企業の事例で、約1か月の間に、社員の1日あたりの歩数が約3000歩から最大5000歩減ったという、結構衝撃的なデータが出ています・・・

・・・新型コロナウイルス対策としての外出自粛はもちろん重要です。ただ、一方で運動不足が長期化してしまうと、私たちの健康状態が悪化し、免疫力なども低下しかねない。社会が新型コロナウイルスを乗り切ったとしても、基礎疾患をお持ちの高齢者や、働く世代の生活習慣病の悪化など、二次的な健康被害が多く出てくる懸念もある。そのことに、個人も行政も、もっと危機感を持つべきだと感じています・・・
・・・新型コロナウイルスへの感染予防では、手洗いや消毒、マスクの使用などがもちろん重要ですが、体の免疫力も、河川の堤防に例えられるような役割を担っている。その免疫力を高め維持するには、栄養摂取と休養に次いで、運動量を保つことも大切だとされています。適度に体を動かすことは、代謝を促し、血流を良くし、ホルモンの分泌を促すなど、体に備わるいくつもの『スイッチ』を入れる働きをするからです。逆に不活発な状態が続けば、その堤防を低くしてしまうことにもつながりかねない。そのリスクが、見落とされがちだと感じています・・・

それぞれ詳しくは、記事をお読みください。会社側の課題は、次回書きます。

在宅勤務、続き

コロナウィルスが、広がっています。政府と東京都、さらに福島県からの指示と要請によって、私も在宅勤務を基本とすることにしました。
毎週の福島勤務は、取りやめ。予定していた現地視察や意見交換は、延期にしました。町村役場の方には、準備をしていただいていたのですが。申し訳ありません。

東京での復興庁への出勤も、最小限に抑えることにしました。公用パソコンを持ち帰り、電子メールでのやりとりで、たいがいの仕事を済ませています。パソコンを職場につなぐのが、少々面倒ですが(きつい安全策が取られているので)。つなぐと、職場と同じ電子メールの環境が整います。
このパソコンは画面が小さく、文字が小さいのが難点です。担当者に相談して、方法を教えてもらい、電子メールの文字はかなり大きくなりました。

先週木曜日に出勤したら、郵便物などが届いていました。在宅勤務を想定していませんでしたからね。

答を考えて質問する

4月7日の日経新聞夕刊「人間発見」、オルガン製作者 横田宗隆さんの第2回目に、次のような話が載っています。
横田さんは、大学卒業後、オルガン作りを志し、お師匠さんである辻宏先生に弟子入りします。そこでのことです。
・・・先生に質問する時は、想定される答えをあらかじめ10くらい考えておき、瞬時に答えを理解できるように心がけました・・・

「質問力」という言葉があります。記者さんの相手をしているときに、それを感じます。何を聞きたいのか。それが整理できている記者と、漫然と質問に来ている記者との違いです。事前にどれだけ勉強してきているかが、わかります。講演会の後の質疑応答の時間でも。よい質問が出ると、うれしいですね。

上司に報告をあげる際も、同じです。『明るい公務員講座』P89で、「予行演習をする」をお教えしました。「あの人なら、たぶんこう聞いてくるだろうな。そうしたら、こう答えよう」とです。

次のような話も、載っています。
・・・仕事場の掃除をしながら、先輩にそっと近づき盗み見をして、仕事を覚えました・・・