「仕事の仕方」カテゴリーアーカイブ

生き様-仕事の仕方

アマゾンの仕事の流儀

5月19日の読売新聞、ジャスパー・チャン、アマゾンジャパン社長へのインタビュー「すべてはお客様のために」から。

・・・社内の会議も独自の進め方があります。
新たなプロジェクトを提案する際、発案者は完成後の発表を想定したプレスリリース(対外公表文)形式の資料を書いて説明します。
その提案がお客様にどんなメリットがあるのか。具体的な説明を書くことで、事業のゴールを明確にします。自分たちでは良い製品を作ったつもりでも、お客様に受け入れられないことがある。そうした自己満足に陥らないようにするためでもあります。

社内の会議は冒頭の20分から1時間くらい、会議室が静まりかえります。配布された資料をまず全員で読み込むのです。
事前に資料を配っておく方法もありますが、それでは記憶が曖昧になりやすい。その場で読むことで議論が深まり、効率も高まります。
説明資料は常に6ページ以内。何十枚も用意することはありません。ポイントを簡潔にまとめ、提案者の考えをはっきりさせる狙いです。
プロジェクトに取り組むチームの人数は「ピザ2枚分を食べ分けるくらい」というルールもある。6人から10人くらいですね。人数を多くし過ぎないで議論を速め、個々のメンバーに責任感を持たせるためです・・・

・・・社員の人事異動は、上司が部下に命じることはありません。部署の異動は本人の希望に基づきます。まず人材を欲しい部署が募集する。社員が手を挙げて了解が出れば原則、未経験の部署でも海外でも異動できます。自分で責任を持ってキャリア形成を考えてほしいからです・・・

広がるテレワーク

5月18日の読売新聞に「感染拡大 在宅勤務2倍」という解説が載っていました。インターネットでは見ることができないようです。
テレワークの実施率(企業などに勤める人が過去1年間にテレワークを行った人の割合)が、2018年では8.5%でした。2020年3月では13.2%にしか伸びなかったのが、4月には一挙に27.9%にまで上がりました。

職種別の実施率が、グラフで載っています。高いのは、ウェッブデザイナーなど(64%)、コンサルタント、企画・マーケッティング、IT系技術職、広報・宣伝・編集などです。低いのは、福祉系専門職(2.2%)、ドライバー、梱包など軽作業、建築職人、飲食、幼稚園教諭・保育士、医療系専門職などです。納得できます。情報を扱う仕事はテレワークに向いていますが、人を相手に手で行うサービスは難しいですね。

その際の主な不安が載っています。非対面のやりとりは相手の気持ちがわかりにくく不安(37%)、上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安(28%)、出社する同僚の業務負担が増えていないか不安(26%)です。
主な課題は、運動不足を感じる(74%)、プリンターなどの必要機器がない(48%)、仕事に集中できない(44%)です。

5月18日の日経新聞「日経ウーマノミクス・プロジェクト調査」は「在宅勤務 7割「続けたい」」でした。
・・・仕事と生活が両立しやすいと子育て中の女性を中心に導入されていた在宅勤務制度。3月以降、多くの企業が対象を拡大した。4月下旬、日経ウーマノミクス・プロジェクトの会員らを対象に調査を実施。「通勤時間が減り家族との時間が増えた」など在宅勤務をした1400人の74.8%が「新型コロナ収束後も続けたい」と継続を希望。回答からは自宅でも業務効率を下げないように様々な手を打った企業の工夫と、コロナ後の女性活用の方策が見えてきた・・・
賛成意見と反対意見も載っています。

コロナ後、戻らないこと

5月18日の読売新聞「財界解剖、コロナ編」、小林喜光・経済同友会前代表幹事の発言から。

・・・人同士が顔を合わせる必要がある生産や研究などの職場を除き、働き方もテレワーク、オンライン化が進む。「非対面」が広がれば、顔や背格好、ゴルフのうまさなどは価値を失い、話し手の論理性や知性、思考力がもっぱら問われる。厳しい時代になるとも言える。

この2か月、私自身もテレワークを行い、通勤や移動の手間が省けて極めて効率的に働けると実感した。「毎晩会食、土日はゴルフ」という生活がいかに異常か、この年で気づいた。コロナ感染が収束しても、以前の仕事のやり方に戻してはいけない・・・

スマホを切る

5月12日の日経新聞夕刊Bizワザは、「スマホ断食で安らぐ休日 触れない時間設け集中」でした。
・・・スマートフォンの普及で休日も仕事から離れられない人は多いだろう。だが、四六時中スマホを使っていては仕事の「オン」「オフ」を切り替えられない。休日に連絡する条件を決めたり、特殊な箱に入れて強制的にスマホを使えなくしたりするなど、短時間スマホを手放すだけで気分は切り替えられる。休日のスマホ依存から脱却する方法を専門家に聞いた・・・

・・・休日の連絡や仕事はケース・バイ・ケースで判断すべきだ。まずは休日でも連絡を取らざるを得ない状況を上司などと決めておこう。
外資コンサルティング会社勤務の男性は金曜日の夜までに終了済みの仕事と、休み明けの仕事の予定を上司と共有している。「休日にする必要のない仕事がはっきりする。休みと仕事を切り替えられる」という。
やむなく休日にスマホで仕事をする場合も短時間で終わらせたい。例えば休日のメールでも急ぎの対応が不要なケースもあるはず。メールアプリの差出人をフォルダごとに分類する機能を使えば、返事の必要の有無に応じて対応できる。チェックするメールの数を減らせば、その分気分も軽くなる。

スマホでネット検索する際は、時間を区切ってほしい。スマホ依存に関連した著書を持つ伊藤崇氏は「インターネットは情報があふれている。際限なく情報を探してしまう」と指摘する。
森下氏は「短時間でもスマホを使わない時間をつくるのが有効だ」と話す。例えばスマホのアラーム機能を使っている人はアナログの時計に変えてみる。日中であれば、散歩や外食に行くときはスマホを持ち歩かないなど、自分でルールを決めてみよう・・・

佐藤博樹・中央大学ビジネススクール教授は、次のように話しておられます。
・・・仕事をする場所と時間の自由度が高まりました。生活と仕事の境界があいまいになったとも言えます。だからこそ両者を切り分ける能力が大事です。日本は仕事中心の生活に抵抗感が少ない人が多い。プライベートを重視するという思考がないまま、極論すれば24時間仕事ができる体制になっているのは問題です・・・

正規非正規の格差をなくす

5月12日の日経新聞「正社員って何だろう(3)」は「りそなが崩した「正規」の壁 社員区分、事情に合わせ転換」でした。

・・・正社員には支給されるのに非正規の従業員はもらえない。正社員の恵まれた立場を象徴していた様々な手当が「同一労働同一賃金」の名の下に見直されている。それでも正社員と非正規を隔てる溝は容易には埋まらない。りそなグループは過去の危機を契機に、社員の区分を越えて人材を活用する制度を模索してきた・・・
・・・りそなグループの社員は、業務範囲や勤務時間の条件によって▽限定なしの正社員▽どちらかを限定した「スマート社員(限定正社員)」▽どちらも限定したパートナー社員――の3つに分かれる。この春、正社員だけを対象としていた子育て支援手当が他の区分にも拡大され、大学生の息子がいる飯島さんも恩恵を受けることになった・・・
・・・働き方改革関連法の施行に伴い、4月1日から同一労働同一賃金のルールが大企業に適用された。厚生労働省が示した指針を踏まえ、多くの企業はこの春、正社員と非正規の待遇差の見直しに追われた。
りそなグループも社員3区分で差があった手当や休暇制度を見直し、年間20日の有給休暇を「最大80日積み立て可」と統一するなどした。りそなホールディングス人材サービス部の安達茂弘さんは「うちはもともと手当を極力なくしていた。給与明細の項目の多い会社は一つ一つ検討が必要で大変だと思う」と話す・・・

・・・りそなグループでは、スマート社員制度が始まった16年以降、試験と面接を経てパートナー社員300人弱をスマート社員や正社員に登用してきた。育児や介護などの事情で、正社員がスマート社員などに転換することも可能だ。
グループ内の職務等級は一本化されており、社員区分にかかわらず「グレード1の仕事は時給○円、グレード2は○円」という形で給与水準が決まる。この「同一労働同一賃金」の仕組みがスムーズな社員区分の転換を可能にしている。

こうした制度改革の原点は金融危機の中で実質国有化された03年の「りそなショック」に遡る。総合職の男性が大量に退職してしまい、残った社員の能力を引き出すために制度の見直しを迫られた。人材サービス部の安達さんは「長く安心して働いてもらえる制度をつくるということが根本にある」と強調する。グループ内で「非正規」という言葉は使わないという・・・

参考「正社員って何だろう(2)