正規非正規の格差をなくす

5月12日の日経新聞「正社員って何だろう(3)」は「りそなが崩した「正規」の壁 社員区分、事情に合わせ転換」でした。

・・・正社員には支給されるのに非正規の従業員はもらえない。正社員の恵まれた立場を象徴していた様々な手当が「同一労働同一賃金」の名の下に見直されている。それでも正社員と非正規を隔てる溝は容易には埋まらない。りそなグループは過去の危機を契機に、社員の区分を越えて人材を活用する制度を模索してきた・・・
・・・りそなグループの社員は、業務範囲や勤務時間の条件によって▽限定なしの正社員▽どちらかを限定した「スマート社員(限定正社員)」▽どちらも限定したパートナー社員――の3つに分かれる。この春、正社員だけを対象としていた子育て支援手当が他の区分にも拡大され、大学生の息子がいる飯島さんも恩恵を受けることになった・・・
・・・働き方改革関連法の施行に伴い、4月1日から同一労働同一賃金のルールが大企業に適用された。厚生労働省が示した指針を踏まえ、多くの企業はこの春、正社員と非正規の待遇差の見直しに追われた。
りそなグループも社員3区分で差があった手当や休暇制度を見直し、年間20日の有給休暇を「最大80日積み立て可」と統一するなどした。りそなホールディングス人材サービス部の安達茂弘さんは「うちはもともと手当を極力なくしていた。給与明細の項目の多い会社は一つ一つ検討が必要で大変だと思う」と話す・・・

・・・りそなグループでは、スマート社員制度が始まった16年以降、試験と面接を経てパートナー社員300人弱をスマート社員や正社員に登用してきた。育児や介護などの事情で、正社員がスマート社員などに転換することも可能だ。
グループ内の職務等級は一本化されており、社員区分にかかわらず「グレード1の仕事は時給○円、グレード2は○円」という形で給与水準が決まる。この「同一労働同一賃金」の仕組みがスムーズな社員区分の転換を可能にしている。

こうした制度改革の原点は金融危機の中で実質国有化された03年の「りそなショック」に遡る。総合職の男性が大量に退職してしまい、残った社員の能力を引き出すために制度の見直しを迫られた。人材サービス部の安達さんは「長く安心して働いてもらえる制度をつくるということが根本にある」と強調する。グループ内で「非正規」という言葉は使わないという・・・

参考「正社員って何だろう(2)