カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

オンライン授業の大学生の能力への影響

2月16日の朝日新聞夕刊に、「コロナ禍、大学生の能力に影 オンラインで議論減る? 協働力・親和力…」が載っていました。

・・・コロナ禍の影響で、大学生の「協働力」や「親和力」「行動持続力」などが低下している――。大手予備校・河合塾のグループ会社によるテストで、そんな傾向が浮かんだ。いずれも、社会に出て仕事をする際に必要度が高い能力とされる。コロナ禍でオンライン授業が増え、グループで議論して成果を発表する機会が減るなどした影響が出ているようだ。

このテストはピックアンドミックス社(東京)が実施している「PROG(プログ)」。ジェネリックスキルと呼ばれる、社会で求められる一般的な能力を測るもので、同じ学生が1年生の時に1回目を、3年生になった時に2回目を受ける。
21年にテストを受けた3年生2万556人分の結果をみると、目標に向けて協力して仕事を進める協働力、他者と豊かな関係を築く親和力のほか統率力といった能力が、1年生の時より低下していた。これらの力は、他の人と信頼を築きチームとして動くために必要な基礎力とされ、20年の3年生では、1年生の時より伸びていた力だった。

PROGを河合塾とともに開発したリアセック社(東京)の松村直樹・キャリア総合研究所主幹研究員は、低下の原因として、21年にテストを受けた3年生が2年生の冒頭(20年春)からコロナ禍に見舞われ、オンライン授業を長く受けてきた学年であることを挙げ、「授業で数人の学生によるグループワークが減り、力を伸ばす効果がある学生同士の議論や意見発表の機会が減った影響が大きい」とみる。同様に低下した行動持続力については、「コロナ禍で様々な活動が制限され、主体的に行動しづらい影響が出た」と分析する・・・

品質不正、組織風土

組織がつく嘘、上司の責任」の続きです。12月27日の日経新聞オピニオン欄、西條都夫・上級論説委員の「企業はなぜ失敗を繰り返すか カギは職場の「心の安全」」が、良い分析をしています。
・・・今年も企業の不祥事が多発した。なかでも経営トップが引責辞任を迫られた2件が印象に残る。度重なる品質不正を犯した三菱電機と、やはりシステム障害を繰り返したみずほフィナンシャルグループである。
再発防止を誓った会社がなぜ懲りもせず同じ失敗を重ねるのか。両社を題材にその手掛かりを探ってみよう。みずほに関しては11月26日付の金融庁の「行政処分について」という発表が参考になる。
そこで問題視されたのは「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」だ。各人が自分の守備範囲にしか注意を払わず、その外縁でまずい事態が起きていても、知らんぷりでやり過ごす。そんな組織の習性を、公文書としては異例の生々しい表現で批判したのだ。

三菱電機でも、外部の弁護士らによる調査報告書で「言ったもん負け」の体質があったと報告された。何か問題を指摘しても、組織は無関心。解決が個人に丸投げされ、過大な負担を押し付けられる。それが「見て見ぬふり」の横行する風土を生んだ。
同社は過去に何度も品質点検を実施したが、それでも長崎製作所などで不正が続いていた。不正一掃という本社の掛け声を現場は単なるポーズと受け流し、問題の解決ではなく隠蔽を選んだのだ。
職位による認識ギャップも大きい。同社の従業員サーベイをみると、役職の高い人ほど「自分の部門は風通しがよく、個人を尊重する職場だ」と自己満足気味だが、一般従業員の認識は違う。例えば「プライベートを多少犠牲にしても、組織貢献が求められる雰囲気があるか」という質問に、「そうは思わない」と答えた人は部長級の64%、課長級の51%に対し、一般社員は37%と少数にとどまった。
先週発表された調査報告書の第2弾でも、上司や先輩に仕事の疑問をぶつけたところ、「担当でないのに口を挟むな」「言われたとおりにやっていればいい」と怒鳴られた社員の証言が登場する。不正が繰り返される裏には、組織の病理があったのだ。

最近の経営学で注目されている「心理的安全性」の考え方が、事態の理解に役立つだろう。米ハーバード大のエイミー・エドモンドソン教授の打ち出したこの概念は、あるチームに属する人が「自分が問題提起や異論を唱えても、仲間やリーダーがしっかり受け止めてくれる」「このチームでは何を言っても安全」と思える関係性のことだ。
反対に何かモノを言うと、頭ごなしに否定されたり、無視されたり、嘲笑されたりする集団は心理的安全性が低い。そんな職場では誰もが沈黙しがちで、新たな発想や「気づき」に乏しく、イノベーションも生まれない。
心理的安全性が注目されたきっかけは、2012年に実施された米グーグルの大がかりな社内調査だ。同社は200弱の職場ごとの生産性やイノベーション創出力を計測し、活気のある職場と沈滞した職場の違いを分析した。その結果、各人が自由に発言し、積極的に意見を戦わせるチームは成果を上げ、逆に抜群の実績を持つ人を集めたオールスター的なチームでも、心理的安全性が低いと期待に届かないことが判明した。
誤解のないようつけ加えれば、「安全性の高いチーム」といわゆる「ヌルい職場」は似て非なるものだ。職場心理の研究者、石井遼介氏の4象限分類によると、後者も安全性は高いが、求められる仕事の水準が低いので、居心地がいいだけで充実感や自己成長感とは無縁だ。一方で要求水準と安全性がともに高い職場は健全な衝突が起こり、組織としての学習が促され、優れた成果を上げやすい・・・
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テレワークの課題、企業調査

12月29日の朝日新聞経済面に「テレワークの課題は?利点は? 主要100社調査」が載っていました。
・・・テレワークの利点と課題が、主要100社を対象にした朝日新聞のアンケートで浮かび上がった。多くの企業が「従業員の負担軽減につながった」とする一方で「コミュニケーションの希薄化」に悩んでいる。オンラインでの対話を進めたり、どこで働くかの判断を社員に委ねたり。働き方の模索が続く。

調査は11月後半に実施しテレワークの利点と課題を複数挙げてもらった。
その結果、利点では「通勤の負担軽減」(96社)、「ワーク・ライフ・バランスの向上」(85社)が目立った。「不要な業務や会議が洗い出された」という回答も48社あった・・・
・・・ 一方の課題は「社内コミュニケーションの希薄化」を挙げる企業が多く、86社にのぼった。
住友ゴム工業の山本悟社長は「新入社員や転入者などへの教育は在宅勤務では難しい」。三井物産の堀健一社長も「他部署などとの偶発性の高いコミュニケーションはオンラインでは難易度が高い」と話した・・・

・・・テレワークはコロナ下で急速に広がった。昨年4月に、政府が「出勤者の7割削減」を経済界に求めたことが一因だ。経団連は今年11月、一律の要請は経済活動を妨げるなどとして「7割」の目標を見直すよう提言。政府はこれに応じ、数値目標を撤廃した。
働き方評論家で千葉商科大准教授の常見陽平さんは「働き方の傍流だったテレワークが、コロナ禍で一気に主流になった。十分な議論は重ねられていないし、問題が出てくるのは当然。実際どうだったのかを検証すべき時期にきている」と指摘する。
その上で「テレワークも出社も、うまく交ざればいい。交ぜ方を各社、各部門、各個人でいかにコントロールできるかということが論点だ」と話す・・・

優秀なデータサイエンティストの共通点

12月20日の日経新聞1面コラム「春秋」に、興味深い話が紹介されていました。

・・・「21世紀、最も魅力的な職業」。10年近く前、米ビジネス誌がそう呼んだ仕事がデータサイエンティストだ。IT(情報技術)の普及で集まる膨大な数字を解析し、確かな判断へ経営者を導く。ここに優秀な人材を得られるかどうかで企業の命運は大きく変わるという。
成長中の動画配信会社、米ネットフリックスもデータ分析の部署がある。新規採用候補者の中で最適な人材をどう選ぶか。ヒントを得ようと、すでに在籍する社員で特に優秀な人たちの共通点を探す・・・

答えは、音楽をこよなく愛する点でした。
論理的思考が軸になる業務だからこそ、創造性や感受性が発想の差を生むのだそうです。

3年を見通す経営

12月22日の日経新聞夕刊「こころの玉手箱」、志藤昭彦・ヨロズ会長の「3年手帳」から。
・・・3年間のスケジュールを書ける手帳が重宝している。最近は、日本能率協会マネジメントセンター(東京・中央)の「NOLTY」ブランドで3年連用のタイプを使っている。経営を担う中で最も重要なもののひとつは「3年先」を見通す力だ。社長になってから身にしみて感じている。
1998年6月に社長に就任したが、早々に経営危機を迎えてしまった・・・
・・・日産リバイバルプランは3年間で20%の調達コストの削減も示した。当社からすれば2割値引きで利益がごっそりなくなるが、最大顧客の危機だから協力せざるを得ない。2002年3月期から2期連続で最終赤字になったが、私は3年先の黒字転換を考えていた・・・

・・・04年3月期には最終損益が19億円の黒字に転じた。会社経営において「3年」という時間軸が重要であることを身をもって経験した。一般に企業の中期経営計画も3年間でつくることが多い。3年は会社が変わるために必要な年月ともいえるのではないか。
3年連用手帳は1年ごとに繰り返す「年中行事」を把握しやすく、月単位のスケジュールを組みやすい。3年先を見通す経営のために、この手帳は欠かせない・・・