「仕事の仕方」カテゴリーアーカイブ

生き様-仕事の仕方

美人にキスしながら 安全運転ができる人間は、 キスに十分集中していない

「美人にキスしながら 安全運転ができる人間は、 キスに十分集中していない」という言葉を思い出しました。アインシュタインの言葉だそうですが、出典は明確ではないようです。私のホームページを検索したら、この話は「同時に2つのことはできない」で書いていました。
この言葉は、「二兎を追う者は一兎をも得ず」という格言より、情景を思い浮かべながら、頭に入ります。もっとも私は自動車を運転しないので、このような状況にはなり得ないのですが。

私は、音楽を聴きながら勉強することができません。人間の頭は、同時に二つのことを考えることができないように、できているようです。
例えば、同時に二人の人の話を聞いて理解することはできません。あなたはできますか?
そして、気が散る場所では、難しい本も読めません。勉強にしろ仕事にしろ、難しいことを考えるには、一つのことに集中すること、その環境をつくることが必要です。また、勉強や仕事以外に難しい問題を抱えていると、頭がそちらの方に向かって、今の課題に集中できないこともあります。
集中力、その1。邪魔する要素、外部要因

文系の発想、理系の発想

実用の学と説明の学」の続きです。自らの反省でもあります。
私が大学で習った法学は、実定法の解釈学です。実際の事案に現行法令に当てはめて結論を出します。どの条文に当てはまるかです。ところが現実には、法律が想定していない事態が起きます。その場合も、なんとかして現行法令に当てはめることができないか、いろいろと屁理屈を考えるのです。
「法律に書いていないことが起きた場合は、新しい法律をつくる」という発想がありませんでした。立法学は学ばなかったのです。法律を変えずに解釈で切り抜ける代表例は、憲法9条でしょう。

「実用の学と説明の学」で、社会学の多くは分析にとどまっていて提言が少ないこと、「批評の学」にとどまって「実用の学」になっていないと批判しましたが、法学も政治学も解釈と批評にとどまっていると、同じことが言えます。

かつて「理系の人間から見ると、文系の先生は過去の分析が主で、過去から現在を見て、現在で止まっているように見える。未来のことはあまり語らない。一方、工学は、現在の部分は産業界がやっているで、工学部はいつも5年先、10年先の未来を考えていないと成り立たない」という発言を紹介したことがあります。「過去の分析と未来の創造と:官僚の限界

公務員が新しい事態に直面して、「法律に書いていません」「予算がありません」「前例がありません」と発言するのは、「新しいことに関わるのは面倒くさい」という性癖とともに、このような解釈学思考に染まっているからかもしれません。行政には「過去との対話」でなく「未来との対話」が重要なのです。「過去との対話と未来との対話

備える危機の3種類

災害をはじめとして、組織にはさまざまな危機が起きます。それらに、どのように備えるか。3つに分けて考えると、わかりやすいです。

その1は、経験したことがある危機です。人は一度経験すると、二度目は上手に対応できます。組織も同じですが、時間が経つと経験者がいなくなるので、その経験をどのように引き継ぐかが課題となります。

その2は、同業他社が経験した危機です。その際の対応が役に立ちます。というか「私たちには初めての経験なので・・」という言い訳は通用しません。その1の危機もその2の危機も、手順書やそれを基にした訓練が、いざというときに効果を発揮します。

その3は、まだ誰も経験したことのない危機です。いろいろと想定をしておきますが、未曾有の危機では想定外のことが起きます。その際にどれだけ想像力を働かすことができるか。ここに、力量が現れます。

失敗には必ず原因がある

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は、野球の野村監督の言葉として有名ですが、元は、平戸藩主の松浦静山の言葉です。この名言が述べるように、失敗には必ず原因があります。

最近の事例でも、痛感しました。
まずは、岸和田市での保育園児が父親の車に取り残され死亡した事件(11月12日)です。自家用車の中に娘を置いて、保育園に引き渡すのを忘れた父親の責任は重大ですが、家族に子どもの欠席を確認する電話を怠った職員の責任も大きいです。職員が保護者に電話をしていれば、また園長が職員に「電話をしたか」確認さえしていれば、この事故は防げたはずです(報道を元に書いています)。

もう一つは、京成電鉄が脱線した事故(11月17日)です。報道によると、内規に違反して、運転士が電車をバックさせたことが原因だそうです。

それぞれ、決められたことを守っていたら防げた事故です。ここに、規則の限界が見えます。そして、職員個人の問題なのか、職場の組織文化(社風)の問題もあるのかが問われます。「社風をつくる、社風を変える

昇進すると見えてくるもの

10月27日日経新聞夕刊「私のリーダー論」、村木厚子・元厚生労働事務次官の「リーダーに求められる「聞く力・伝える力」」から。

「私も自分はポストに追いついていないと感じていました。係長になったときは今ならいい係員になれる、課長補佐に昇進したときは今だったらいい係長になれるのにと思いました。ポストによって、見えてくるものが違うからです。昇進は階段を上るのに似ています。下にいたら背伸びしたり、ジャンプしたりしないと見えないものが自然と見えてくるようになるのです」

「少し力が足りないと思っても、そのポストに就いたからこそ力がつくことがある。私は他人と競うのは得意でないのですが、自分の成長という物差しであれば、それを励みに頑張れると思いました。そうして手応えをつかみ、ようやく自信がついてきたのは40代になってからでした」