カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

会社をつぶした記者会見

昨日の日本広報学会には、企業の不祥事の際のおわびのプロもおられました。「私もプロですよ」と、少し経験談をお話ししてきました(2007年1月31日の記事)。
そこでお会いした、村上信夫さんの『会社をつぶす経営者の一言―失言考現学』(2010年、中公新書ラクレ)を、紹介します。
この本では、食品の賞味期限偽装、牛肉偽装、自動車の欠陥隠しなど、会社名を出すと、皆さん「そういえば、そのようなことがあったな」と思い出される事件の数々が、紹介されています。その際の不祥事そのものではなく、それが発覚した後の記者会見のまずさを、分析・整理してあります。そして、下手な記者会見=隠したことがばれて会社がつぶれた例と、うまく記者会見をして=できる限り情報を出して早く事件が終息した例が載っています。
「こうすべきだ」といった抽象的な教訓より、実例を読んだ方が、勉強になりますよね。一読をお勧めします。
これだけも豊富な実例が載るということは、それだけ事例が多い、まだ懲りていない、ということでしょうか。なお、会社が起こした事件の実例については、奥村宏著『会社はなぜ事件を繰り返すのか―検証・戦後会社史』(2004年、NTT出版)などがあります。

受け身の仕事と攻めの仕事

この仕事をしていて、「なぜこんなに毎日バタバタして、疲れるのだろう」と思うことが、続いています。私は、自分の仕事の進め方について、そこそこ仕事の段取りが上手で、処理がうまい方だと、自信を持っているのですが。どうも最近は、「疲れる」のです。
いま取り組んでいる仕事は前例がなく、また幅が広く、大変なことは間違いありません。しかし、最近は睡眠時間を削らなければならないほどは、忙しくありません。びっくりするような突発事案が、出るわけでもありません。部下も優秀で、指示した以上の仕事をしてくれます。上司も合理的で、人間関係に悩むこともありません。では、なぜ「疲れる」のか。

その理由の一つが、受け身の対応だと、気づきました。
出勤すると、職員が次々と、報告や相談にやってきます。それを片付けると、あるいはその途中で、電話が入ります。読みかけの書類や電子メールは、広げたままで片付きません。その上に、秘書が新しい書類を載せてくれます(笑い)。
あっという間に、お昼になります。弁当を食べているところに、「食事中にすみません」と、急ぎの相談が入ります。朝に確認した「今日の岡本次長の予定表」はかなりスカスカなのに、実際はそうは行きません。時々、予定表を見ながら、秘書に、「うそつき」と冗談を言います(笑い)。秘書さんを困らせては、いけませんね。

でも、 一つの作業をしている途中に、別の仕事が入ることって、困りますよね。例えば、複数の関係者に連絡している途中だと、し残した人への連絡を忘れてしまいます。その場その場で指示を出し、その作業を完結させないと、失敗も生じます。そして元の仕事に戻るには、もう一度思考をリセットしなければなりません。10分間で終わる仕事が、5分経過時点で中断されると、残り5分では片付かないのです。
このような仕事の進め方って、ストレスがたまるのですよね。受け身の処理は、予定が狂う、自分の時間が確保できないのです。忙しくても、事前に予定があってその通りに進んでいるのなら、それほど疲れないのですが。
また、新しい仕事が次々と入っても、それぞれの締め切りまでに時間に余裕があれば、ひとまずノートにメモをしておけばすみます。そして後で、ゆっくり考える。これも、そんなには、ストレスはたまらないでしょう。しかし、次々と入る課題が、その場その場の処理を求められる場合が、やっかいなのです。

受け身の処理の反対が、攻めの仕事でしょう。また、先を読んだ仕事の仕方です(2011年5月15日の記事)。皆さんもそうでしょうが、追われる仕事より、先を読んでする仕事の方が楽しいですよね。
次の計画を立てて、それに従って進める。この場合は、ストレスが少ないでしょう。もちろん、計画通りに進まないのが、世の常です。また、難しい課題なら、計画や作戦を立てる作業に、ストレスがたまるかもしれません。
若い時に、「できる課長の仕事術」といったたぐいのノウハウ本を、たくさん読みました。私自身も、『明るい係長講座』を書きました。「受け身でなく、攻めの仕事をせよ」「仕事に追われるな、先を読め」は、どこにでも書いてあることです。職位によって、求められる管理者能力が違うことなども、紹介しました(2011年6月9日の記事)。しかし、攻めの仕事をしにくい職位もあります。その場合のコツも、考えて整理しなければなりませんね。

仕事の仕方、瀬島龍三さんの教え

日経新聞「私の履歴書」9月は、元伊藤忠商事会長の室伏稔さんです。9月17日と18日に、瀬島龍三さんの思い出を、書いておられます。
・・重要な部署ほど少数精鋭が、瀬島さんの考えだった・・
・・総合商社にとって強さと弊害の両面性を持つ「部門縦割り」に、部門横断的な総合調整機能という「横ぐし」を通すことの重要性を、瀬島さんは耳が痛くなるほど強調された・・
・・戦略は戦術をカバーするが、戦術は戦略をカバーできない・・
・・日常業務で指導されたのは、①報告書は必ず1枚にまとめる、②結論を先に示す、③要点は3点にまとめる―の3点だ。3枚以上の報告書は絶対に受け取らず、突き返していた。また、「どんな複雑なことでも要点は3つにまとめられる」が口癖で、我々に物事の本質を見極め、整理する習慣を身につけさせた・・

今日の日記・支援本部での一日

朝、8時過ぎに出勤。この仕事に就いた最初のころは7時過ぎに出勤していたので、最近は遅くなりました。霞ヶ関では、これでも早いようです。でも、世間ではこれは遅い方ですよね。例によって、職員が昨夜のうちに作って、机の上に置いてくれた書類に目を通し、加筆。静かな時間帯に、これからの課題を検討。次々と出勤してくる職員を捕まえては、「あれ、どうなっている?」と確認。

9:30から、毎日の事務局班長会議。みんなで、しなければならない仕事を確認します。また、今日は金曜日なので、事務局の課題を更新しました。事務局内だけでなく、政府部内、自治体関係者にこれらの情報を知ってもらうことが、これからの取組に効果的だと考えています。
11:00から、大臣らと事務局幹部が集まって、定例の「運営会議」。いくつもの報告と課題の指摘があり、50分もかかりました。まあ、いつものことですが。松本大臣、片山大臣、仙石副長官、平野副大臣、松下副大臣、それぞれ論客ですから、最も緊張する時間です。その場で回答できないものは、宿題にしてもらって終了。
12:00から、官邸で各府省連絡会議。今日は総理出席で、公務員の給与削減の指示が出ました。その後、被災者支援の議題に。大臣や副長官からの指摘があり、引き続き各府省次官から進捗状況の報告。私は、途中から弁当を開いて、食べながら聞いていました。

13:00過ぎに終わり、道路をはさんだ内閣府庁舎に戻りました。そこで、もらったばかりの宿題を、職員に「転送」。
その後、若手職員(シャンポリオンS1くん、S2くん)を誘って、内閣府前の道路の草引きに。毎朝通る道ばた(官邸前交差点から内閣府庁舎まで約20メートル)の雑草が伸びているので、草引きをしたかったのです。一人では恥ずかしいので、シャンポリオンさん二人を誘って、決行。昨日する予定が、雨で今日に延期しました。
歩道のアスファルトや敷石の隙間に生えるだけあって、手強いです。引っ張っても葉っぱだけちぎれて、根っこは抜けないのが多いです。アザミはトゲだらけで、3人ともギブアップ。靴で踏んだらトゲが取れて、抜くことができました。3人で、うろ覚えの岡本真夜の「トゥモロー」を口ずさみながら。「・・アスファルトに咲く花のように♪♪・・これは強いわ」と。3人で、レジ袋5つに満杯になりました。

仕事場に戻ると、「ちょっと良いですか」という、M、E、M参事官の「波状攻撃」を受けつつも、次々と指示を出して「撃退」。別途、ゲリラ的に攻撃に来る、Y、F参事官の「あれ、どないしますねん」という攻撃には、たじろぎつつも「あんたの案は何や」と「反撃」し、その案を採用して「防戦」。
16:30から、午後の班長会議。17:00から副大臣の記者会見同席。その後、記者さんの質問に受け答え。
明日4日は、福島市で、原発事故関係市町村長との意見交換会。6日は、仙台市で宮城県内市町村への説明会。さらに11日からは、岩手、宮城両県で市町村との復旧復興に向けての意見交換会です。

帰ろうと思ったら、H参事官が最後の攻撃に来ました。「次長が急がせるので、次のようにしたいのですが。できれば今日中に・・」。そこで、私も電話をかけることに。時間外を承知で、いくつかの市役所の秘書課に電話をしました。金曜夕方に電話するのと、月曜の朝では、2日違いますよね。

19:00から都内某所で、事務局を卒業した中堅幹部職員の慰労会。一時120人いた職員は、現在40人まで縮小しました。苦労をかけた職員に、お礼を言いつつ、反省すべき点を聞くのが目的です。
みんな、お世辞半分で「大変だったけど、勉強になりました」と言ってくれるのが、嬉しいです。
以上、今日の日記です(小学生みたい。笑い)。

決断が不足した組織

沼上幹『組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために』(2003年、ちくま新書)に、組織が疲労した場合の一つとして「決断不足」が挙げられています。そして決断が不足すると、次のような徴候が現れると指摘されています。
第一は、製品開発プロジェクトなどで、フルライン・フルスペックの仕様書が多数出てくることである。コストは他社より低く、すべての性能に関して他社競合製品を上回るものを、他社よりも早く市場に導入せよ、というような要求が出てきたら要注意である。これは何も考えていないことの証である。問題は、時間や予算の制約があるから、すべての点で競争相手を上回ることは簡単にはできないというところにある。だから、一部については目をつむってもらうといった決断が必要なのである。
二つ目の徴候は、社内で多様な経営改革検討委員会が増えることである。もし本当に必要だと判断したのであれば、検討などさせずに即座に導入すればよい。各部署から人を出させて検討委員会を作るのは、経営者たちに思慮が欠けていて、決断できていないことを疑わせる。あるいは衆知を集めて民主的に経営している見かけを作りすぎなのかもしれない。
三つ目の徴候は、人材育成である。人材育成はどのような時にも必要だから、誰も批判しない。しかし問題は、現在直面している課題の解決には、人材育成が時間的に間に合わない、というところにある。