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復興予算32.5兆円の内訳

2026年3月17日   岡本全勝

3月5日の朝日新聞に「東日本大震災15年」「復興予算 32.5兆円、どこからどこへ」が載っていました。

・・・国が東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所事故の復興予算に投じたお金は、2024年度までで約32.5兆円になった。国民1人当たり27万円に相当する。どこから集め、どう使ったか、お金の流れから探った。

復興に使うお金は増税や国の借金「復興債」などで賄っている。24年度までの国の決算でまとめると、国の借金は約17・4兆円分増え、増税額は約7・2兆円に達した。「借金」は税収や政府保有株の売却益などで返していく。
災害復興のための増税は戦後初。復興特別所得税は今年まで2・1%、27~47年は1・1%を上乗せする方向。法人税は12年度から原則2年、10%を付加。住民税も14~23年度、納税者1人当たり年1千円を上乗せした。「今を生きる世代全体で連携し負担を分かち合う」との考えが増税の原点にある。

使い道は、防潮堤や高台移転などの「住宅再建・復興まちづくり」が約13・5兆円と最多で、「産業・なりわいの再生」は約4・5兆円。生活支援などの「被災者支援」は約2・3兆円と全体の1割弱。復興庁のまとめだ。

5年ごとに見直してきた復興予算の枠は膨らみ続ける。15年度までの「集中復興期間」は26・3兆円で、20年度までの「復興・創生期間」で32・0兆円へ。今年度で終わる「第2期復興・創生期間」で32・9兆円、次の「第3期復興・創生期間」の終わる30年度までで34・9兆円となる見込みだ・・・

情報が多すぎると伝わらない

2026年3月16日   岡本全勝

時事通信社の地方自治体向け情報サービス「iJAMP」2025年3月7日号に、岡本正弁護士の「自治体職員のための災害復興法学(5)=情報はあっても伝わらない ラストワンマイルをつなぐ災害ケースマネジメント」が載っていました(今ごろ紹介してすみません)。

・・・自治体側が情報を精力的に発信しても、被災者には伝わらず、その結果生活再建に役立つ支援制度の申請に至らず再建できない―――。その理由は、情報が多すぎること、情報が難解であること、そもそも情報が公表されていないこと、などが挙げられます。

災害復興支援の各種制度の根拠は法律です。所管する省庁の担当部局が、災害時に利用できる支援制度を情報発信します。それ自体はとても大切ですが、その量があまりに多いのです。私が内閣府出向中におきた東日本大震災では、半年間で約2000通の災害に関する「通知」「事務連絡」「お知らせ」が、各省庁から都道府県等へ発出されました。とても被災地でさばききれる情報量ではありません。

内容も特殊です。日常業務では聞いたこともない単語が次々出てきます。「災害に対する金融上の措置」(財務省等)、「被災者に係る被保険者証等の提示等について」(厚生労働省)、「被災中小企業・小規模事業者対策について」(中小企業庁)などの通知類は平時に目にすることはまずありません。市民に周知すべきものなのか、誰がどう説明するのか、判断がつかないまま、大量の情報が掲示板等にあふれて埋もれていきます。

国が自治体に通知等を発出しながら、それを公表しない場合もあります。災害救助法が適用された災害で必ず発信される通知「避難所の確保及び生活環境の整備について」(内閣府)は、国が自発的に公表しません(なお、現在公表中のものはすべて私や支援専門家らが内閣府へ働きかけて公表に至ったものです)。応援職員や被災した市町村も目にすることなく、支援の遅れ、法解釈の誤りを生んでしまったこともあります・・・

復興15年での振り返りなど

2026年3月15日   岡本全勝

今年の3月は東日本大震災から15年ということで、いくつか取材を受けました。ここに整理しておきます。

1月31日 福島民友新聞「衆議院選ふくしま 識者の考え 復興・創生」「1.6兆円の第3期予算 実情に沿う活用重要
3月9日 共同通信による配信記事
3月12日 NHKスペシャル 「わたしたちの“復興” 震災15年・当事者たちの告白
3月14日 朝日新聞社説「津波被災地の復興 一人ひとりの歩みをより前へ
3月14日 朝日新聞ウェッブ版「「仮設住宅ができても暮らせません」 官僚を動かした被災者の言葉

参考「復興10年での振り返りなど

伝えたい復興の教訓

2026年3月12日   岡本全勝

NHKウェブサイトに「震災15年アンケート 教訓“医療の復旧・復興計画” 重視を」(3月10日)が載っています。

・・・東日本大震災の被災地に暮らす人たちに行ったNHKのアンケートで、震災の教訓として重視してほしいことを尋ねたところ、医療や介護拠点の復旧や、人口減少を踏まえた復興計画などを挙げる声が多くなりました。専門家は「まちの復興を考えるのは災害が起きてからでは間に合わず、人口減少や高齢化が進むなかで災害後に地域の暮らしをどう立て直すか、事前に考える必要がある」と指摘しています。
NHKはことし1月下旬から2月上旬にかけて、岩手・宮城・福島の沿岸と原発事故による避難指示が出された地域などに住む18歳以上の人を対象にインターネットでアンケートを行い、1000人から回答を得ました。いずれも震災発生当時、被災3県の沿岸などで暮らしていました。

この15年を振り返り、今後、教訓として重視してほしいことはあるか複数回答で尋ねたところ、
▽「医療・介護拠点の復旧」が43.7%
▽「将来の人口減少を踏まえた復興計画」が41%ちょうど
▽「仮設住宅や災害公営住宅の整備計画」が36.5%
▽「仕事などなりわいの再生」が33.2%
▽「商店や飲食店など、商業エリアの再生」が31.8%などとなりました・・・

これについても、我が意を得たりです。医療・介護、仕事や生業の再生の重要性が上位に来ています。また、単なるインフラや公共施設の復旧でなく、それらについては「将来の人口減少を踏まえた復興計画」が挙げられています。私たちが行った災害復旧の哲学の転換「国土の復旧から暮らしの再建へ」は、国民に受け入れられたようです。「復興の現状の評価」「復興の現状の評価、2

原発事故避難市町村、人口2割回復

2026年3月11日   岡本全勝

今日は、3月11日。あの日から15年です。各紙や放送局が、詳しく伝えています。このホームページでは、私が気になったものをいくつか取り上げています。

3月9日の読売新聞1面に「原発避難 人口回復2割 大熊 7割が新住民」が載っていました。
・・・東京電力福島第一原発事故で避難指示が出た福島県の11市町村の居住人口は約1万8000人で、事故前の2割にとどまることが、各自治体への取材でわかった。東日本大震災から11日で15年となり、避難先に定着した住民が多いとみられる。一方、避難指示の解除が遅れた大熊町と双葉町では帰還住民は少ないものの、居住人口の7割弱を移住者が占め、新住民によるまちづくりが進んでいる。

11市町村では、震災から3年後の2014年4月から22年8月にかけて、避難指示が解除されて住民帰還が始まった。だが、避難指示区域の居住人口は、震災当時の8万8330人から1万7818人(今年1~2月時点)に減っている。
居住人口の回復率は、解除が早いほど高い傾向にあり、15年9月に町内全域で解除された楢葉町は4436人で、55・4%と最も割合が高かった。これに対し、解除が遅れた大熊町(住民帰還を伴う一部解除は19年4月)は1086人で震災前の9・4%、最も遅れた双葉町(同22年8月)は193人で2・7%しか戻っていない。
両町では避難先から戻った帰還者と、移住者の数が逆転。居住者から帰還者を除いた移住者の数は、大熊町で住民の約7割の748人、双葉町で5割強の104人に上る。大熊町では、23年に小中一貫の義務教育学校ができて教育目的の移住者が増えた・・・

避難が長期間になると、避難者は新しい土地で生活を始めています。すると、帰還する人は多くありません。意向調査でも、そのような結果が出ています。他方で、記事にあるように、新住民が増えています。原発事故地域の復興は、現実を踏まえて行う必要があります。