7月12日に総務省が、2012年の就業構造基本調査結果を公表しました。「要約」(11ページ)が、わかりやすいです(ちなみに、昔の調査結果には付いておらず、付いていても工夫が足りないです。例えば平成4年。かなり進化しています)。
男性の場合は、年齢別有業率をグラフにすると、20歳前後で就職し、60歳以降で退職するので、台形になります。しかし女性の場合は、結婚や子育てで仕事を離れることが多く、25~39歳のところでくぼむM字カーブです。その落ち込みが減ってきて、台形に近づいてきました。日経新聞が、1997年以降の変化をわかりやすいグラフにしています。年々、へこみが小さくなっていることがわかります。
5年前に比べると、製造業、卸小売業、宿泊・飲食業が減って、医療・福祉、そのほかのサービス業が増えています。産業の構造変化が見えます。農林業が増えているのは、退職サラリーマンが農業を継いだということでしょうか。
非正規職員の割合は、女性で58%、男性で22%です。20年前(1992年)では、女性が39%、男性が10%でしたから、大きく増えています。
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パラダイム
中山茂著『パラダイムと科学革命の歴史』(2013年、講談社学術文庫)が、とてもおもしろいです。
パラダイムという言葉がよくわかるとともに、科学が「絶対的真理」として存在するのではなく、社会による認知や受け入れによって存在するものであることが、よくわかります。バビロニアと古代中国から説き起こし、平易な言葉で科学の進歩とは何かを説明してくださいます。
同じく講談社学術文庫の、野家啓一著『パラダイムとは何か』(2008年)も読みましたが、野家先生の本はクーンとパラダイムの解説であるのに対し、中山先生の本は、パラダイム転換と通常科学から見た学問の歴史です。いろんなことを考えさせてくれます。例えば、学閥と学派はどう違うか、大学は学問の進化を進めるのか阻害するのか。
私は、この本を読みながら、「ものの見方の枠組み」「組織での発想の転換」などを考え直しています。もっと早く読むべきでした。でも、このような文庫本の形になったのは、先月ですから、仕方ないですね。お勧めです。社内で改革を唱えつつ、実現せず不満を持っている方に、特にお勧めです。
「パラダイム」という言葉は、アメリカの科学史学者のトーマス・クーンが1962年に唱えた、科学史での概念です。クーンによれば「一般に認められた科学的業績で、しばらくの間、専門家の間に問い方や解き方のモデルを与えてくれるもの」です。
パラダイム転換や科学革命は、これまでの科学者の間での通説を壊し、新しい見方を提示します。天動説から地動説への転換のようにです。パラダイムの転換に成功すると、続く学者たちは、その枠組みで実験や観察を繰り返し、より精緻なものとします。クーンは、それを「通常科学」と呼びます。
クーンは、後にこの説を捨ててしまいます。しかしクーンの手を離れて、パラダイム転換という言葉は科学史以外でも用いられ、有名になりました。極端な場合は、「通説になったものの見方」としてです。いろんな分野で改革派が「旧来の考え方を、打破しなければならない」として、パラダイム転換を唱えるのです。経営学や評論で、多用されます。私も、よくこの意味で使っています。
この項続く。
日本の政治、ねじれ脱出後の課題。その2
第二は、党のガバナンス(統治)の問題である。安倍政権に対するこれまでの世論の評価は、おおむね良好である。その背景には民主党政権の混乱との対比でのプラス評価に加え、自民党自身が3年余りの野党暮らしの悲哀を繰り返したくないという思いに駆り立てられていること、特に安倍首相の場合は前回政権時の挫折の経緯から、失敗は許されないという緊張感があったことなどがあると思われる。
現政権では与党との関係を含め、大きな波乱は見られなかった。同時に、政権や与党の自制は「参院選まで」という条件付きとの見方がないわけでない。もし「参院選まで」という条件付きということであれば、質量共に膨大な政治的調整を必要とすると思われる成長戦略の実行にしても、その先行きは安心できない。
民主党と比べ、自民党には物事を決める伝統的なルールが安定的に存在する。しかし、仮に衆参の「ねじれ」が解消し、脅威を与えうる野党勢力が見当たらず、しかも、国政選挙が今後3年間ないということになれば、自民党は自らのガバナンスの力量に多くを依存せざるを得ない・・
将来的には、膨大な数に上る成長戦略の政策項目の優先順位に基づく取捨選択などが必要になるかもしれない。
市場との関係において成長戦略の実行は避けて通れない課題であるが、これまでのように首相や官邸中心の作業だけでは前に進まない。自民党の政権運営の本当の実力が試されるのが参院選後である・・
日本の政治、ねじれ脱出後の課題
日経新聞6月27日「経済教室」「2013参院選―日本の進路」、佐々木毅先生の「ねじれ脱出後に正念場」から。
・・四半世紀前から、日本政府の政策が少子高齢化と社会保障支出の増加という重い制約要因によって拘束されることは予想されていた。冷戦終結後、バブルの崩壊や金融危機、長引く不況とデフレへの埋没など、経済環境の悪化が続き、この制約要因が加重された。さらに、消費税増税は政権の命取りになるとの恐怖感が政治家たちに広くつきまとい、政界と国民との一種の共犯的迷走状態が続いてきた。
すなわち、政界は国民負担の回避にひたすら腐心して自己保身を図り、無駄の撲滅によって問題が解決可能であるかのような議論を広めた。同時に多くの有権者は小さな政府を擁護(負担増を拒否)しつつ、社会保障給付の充実を求め続けるという、かつての高度経済成長時代の意識から抜け出ることができず、そこに独特のなれ合い構造が成立した・・
安倍政権が政治の先の根本的な混迷を打開したいというのであれば、成長戦略と併せて、あるいは、その安定的な遂行のためにも、負担と給付の問題に対する有権者の注意を常に喚起し続ける必要がある。それは自助を強調する保守の重要な役割である。その意味では消費税増税の取り扱いは大きな試金石である。成長戦略だけで全てが片付くというのであれば、無駄撲滅で全てが片付くという話と同じ構造になる・・
この項続く。
役人が妨げる研究
読売新聞連載、秋葉鐐二郎さんの「日の丸ロケット」、6月22日「3機関統合、消えた自由」から。
2003年に、文部科学省宇宙科学研究所(ISAS、旧文部省系)、宇宙開発事業団(NASDA、旧科技庁系)、航空宇宙技術研究所(NAL、旧科技庁系)が統合して、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発足しました。秋葉さんがかつて所属していた、宇宙科学研究所(かつての東大宇宙航空研究所)も、ここに統合されました。
・・統合前の宇宙3機関は、科技庁系が人員の8割、予算の9割を占めました。圧倒的に科技庁が強い。でも、まあ、今まで通りに研究がやれるなら、別に名前くらい変わってもいいんじゃないの、っていうぐらいの気持ちでした。
ところが、統合したら、そこから先、急に組織の文化が変わっちゃったんだよね。ひどいものでした。大企業が小企業を吸収するみたいな感じでした。
どう変わったかというと、研究の自由が奪われたのです。要は、事業団は役人なんだね。研究者だけでなく、役所出身者も寄せ集めた組織だったからでしょう。何かやろうとすると、すぐ、安全上の手続きが不足しているみたいなことを言う。とにかく、なんでもかんでも書類に書かせる。そして、書類を審査する側が、資料が足りないとか、説明不足とか何とか言って、どんどん研究者の時間を持っていく・・