日経新聞の連載「日本の政治 ここがフシギ」を紹介しました(4月6日)。第3回(4月7日)は「議員縛る党議拘束 審議空洞化のリスク」、第4回(4月8日)は「「劇的」遠い党首討論 国民巻き込む力なく」でした。
それぞれ原文を読んでいただくとして。明治以来、西欧先進諸国をお手本に、立憲政治、内閣制度、代議制などを導入しました。それは成功したのですが、その後の運用は、いくつかの部分で独自の発展を遂げたようです。制度の輸入で満足したようです。
そして、研究者も「制度の輸入と解説」には熱心でしたが、運用までは研究の視野に入っていなかったようです。それは、研究対象が「書かれたもの」だったことにもよると思います。
すべてを西欧のまねをするべきとは思いませんが、運用のどこが異なり、それはどのような意図で、そしてどのような長所と欠点を持っているのかを、検証すべきだと思います。
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官僚が支える国会審議
日経新聞が、4月5日から「日本の政治 ここがフシギ」を連載しています。5日は、「見えぬ議員の懐事情 遅い収支報告公開」、6日は「国会質問、前日までに通告 官僚頼みの閣僚答弁」でした。
・・・学校法人「森友学園」(大阪市)の問題を国会で追及された稲田朋美防衛相。時折、手元の書類に目を落とし、言葉を選ぶように答弁した。この書類が通常「答弁書」と言われる、官僚が作成したペーパーだ。日本では閣僚答弁のほとんどを省庁が作る。
政府方針を踏み外さず、問題発言を避けるためだ。
それを支えるのが質問通告だ。本会議や委員会で質問する議員は前日までに省庁に質問を紙で連絡する慣例だ。官僚が出向いて聞く例も多い。
通告後、役所の担当部署が中心に答弁を作り、当日朝に閣僚へ説明する。曖昧な通告は想定問答は複数必要。作業が明け方になることもある・・・
・・・財務省職員の高田英樹氏は10年ほど前まで英国財務省に出向していた。「投資市場改革の進捗を聞きたい」。審議3日前に国会から議員の質問が送られてきた。簡潔な答弁を作成し、メールで送り返して作業は終わり。
「日本で丸1日の仕事が実質3時間で終わった」。高田氏は振り返る。英国では質問は3営業日前までに書面で通告する。閣僚は冒頭の簡潔な受け答え以外は答弁書に頼らず、自分で答える。
ドイツでは質問形式で期限が決まる。答弁に最も近い締め切りでも、週末を挟んで5日前までに通告する決まりだ・・・
これは、以前から指摘されている、日本独自の慣習です。霞が関官僚の時間外勤務のかなりを、この仕事が占めています。質問がもう少し早く通告されると、効率的になるのですが。原文をお読みください。
JR30年、鉄道と道路と
この4月で、国鉄が分割民営化されて30年になります。各紙が特集を組んでいます。30年前のことですから、若い人たちは、かつての事情を知らないでしょうね。
当時の日本国有鉄道は、大幅な赤字を抱え、またサービスも悪く、国営・公務員の悪い面の代表でした。大きな政治課題だったのです。労組は、この改革に抵抗しました。
私は、ここまで経営が良くなり、サービスが良くなるとは思いませんでした。提供しているサービスは鉄道ですから、同じです。かつての経営者と従業員、特に労働組合は、何をしていたのでしょうね。ストをうち、働かず、接客態度は悪かった。その主な原因であった労働組合には、自己評価と反省をしてもらいたいです。
北海道、四国、九州の3島会社は、予想されたとおり、苦しんでいます。沿線人口が減り、他方で道路がどんどん整備されて、鉄道利用者が減っているのです。
朝日新聞4月2日「JR30年の変容」には、2017年度の予算で、道路は1.7兆円に対し、鉄道は0.1兆円であることが書かれていました。
しかも、鉄道予算の7割は新幹線の建設費です。道路整備と補修には税金を投入し、鉄道はすべて料金ででは、対等な勝負になりません。また、道路を造っただけでは、人は移動できません。バスが走らないと、動けないのです。車を運転しない生徒や高齢者には、車社会は冷たい社会です。
もっとも、利用者が少ない路線まで、維持するのは無理があります。津波被害を受けた三陸沿岸では、鉄道での復旧のほかに、バス(BRT)による復旧も行いました。
私は当初「つながってこそ鉄道だ」と鉄路復旧を主張していたのですが、現地の人に聞いて、考えを変えました、生徒と高齢者が主たる利用者なら、学校と病院と買い物なので、市町村内か近隣の町までです。
それなら、本数の少ない鉄道より、バスを本数多く走らせた方が便利です。その際も、家計に余裕のない人たちですから、料金を低くすることが必要です。
「移動の自由」は、生活する上で重要です。道路を造っただけでは、車を持っていない人たちは動けないのです。自治体や国土交通省には、考えて欲しいですね。
憲法改正論議
3月23日の朝日新聞オピニオン欄「改憲議論とアメリカ」、阿川尚之さんの発言(3月28日の記事)の続きです。
・・・私も改憲論者ですが、大幅な改正、新憲法の制定は、約70年間、最高法規として機能してきた憲法の正統性を傷つける可能性があります。米国の憲法史から学べることの一つは、条文ごとに修正の是非を議論し、実質的改憲についても議論を重ね、大方の国民が納得する憲法の改変を一つ一つ慎重に実現しながら、憲法全体の正統性を保ってきたことでしょう。
保守派が憲法の根本的見直しを主張する一方で、リベラルの側が一切改正すべきでないと主張しているのは皮肉です。9条をめぐる議論をはじめ、私にはいずれも「鎖国状態」、国内だけで通じる「一国立憲主義」に思えます。
米国憲法制定の際には、独立した13の旧植民地の安全保障が強く意識されていました。日本でも、現行憲法はもちろん明治憲法、さらに古くは律令制度を採用したのも、当時の国際環境に対応し国家の安全を保障する必要があったからだと思います。憲法を考えるには、安全保障や国際関係からの視点が欠かせません・・・
アメリカ憲法の仕組み
3月23日の朝日新聞オピニオン欄は「改憲議論とアメリカ」でした。この記事は、「「いまの憲法は、米国を中心とする連合国が押しつけたものだ」という見方が根強くある。なぜ「押しつけ」にこだわるのか。とうの米国ではいま、人権や多様性を重んじる憲法的価値に揺らぎもみえる。米国との関係が、私たちの憲法論議にもたらすものは――」という趣旨の企画です。
それはそれで興味深いのですが、ここでは、阿川尚之さんの発言から、アメリカ憲法の仕組みを紹介します。
・・・米国の憲法と選挙制度は、最も優れた人物を大統領に選ぶことを、保証してはいません。この国の政治システムは、凡庸な大統領も多数生み出してきました。ただし万が一、国民の自由を正当な理由なしに制限する強権的な大統領が誕生すれば、さまざまなしくみで害を最小限にくい止める。それが憲法制定者の知恵です。
米国史上最大の危機は、1860年代の南北戦争でした。その直前、リンカーン大統領は最初の就任演説で、自分に投票しなかった人々に向け、大統領の権限は限られており、4年ごとに変えられるのが憲法の仕組みだと強調しました。「どんなに愚かな、あるいは邪悪な政権でも、国民が勇気を失わず、警戒を怠らない限り、わずか4年ではこの国の統治システムに(取り返しのつかない)深刻な損害を与えることはない」、安心してほしいと伝えたのです。・・・
原文をお読みください。