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行政

民間から国への職員の受入状況2

民間から国への職員の受入状況」に関してです。4月25日の日経新聞「金融庁四半世紀 民間人材登用道半ば」には、次のようなことが紹介されています。
・・・金融機関を処分する権限を持ち、こわもてのイメージも漂う金融庁。実はそのなかで働く人の出身は多様で、新卒一括採用がなお中心の霞が関の中央省庁のなかでは異色の存在だ・・・

金融庁は、大蔵省から分離したのですが、専門人材不足から民間からの登用を積極的に進めました。法律事務所(弁護士)、会計事務所(公認会計士)、証券・銀行からの出向者や中途採用です。
発足時700人ほどだった職員数は、1600人に膨れました。これだけ職員が増えた省庁は、ここだけです(新設では、復興庁やデジタル庁があります)。それだけ、仕事があるということです。そして、専門知識が必要とされるのです。
2024年10月時点で、民間出身者や企業からの出向者は、全体の4分の1になっています。

もっとも、企業と比べて給与の低さと昇進の遅さが、問題になっています。これを改善しないと、役所に転職する人は少なく、役所から転職する人は増えるでしょう。
公務員の給与は民間企業の平均としているのですが、官僚の大学時代(簡単に言うと東大や有名大学)の同級生(大企業、医者、弁護士など)と比べて低いのです。私も現役時代に、高校や大学の友人と給与の話になると、その低さに驚かれ、同情してくれました。私は、こんなに格差があるとは知らずに、公務員を選びました。そして、「これは国のためだ」と自分に言い聞かせて耐えました。それを後輩たちに要求するのは、酷ですね。人事院の決める公務員給与基準は、再考を求められています。

民間から国への職員の受入状況

4月1日に内閣人事局が「民間から国への職員の受入状況」を公表しました。この中には、一定期間受け入れている者(戻ることを前提、いわゆる派遣)と、期間を限っていない者(公務員に転職と考えられます)の双方が載っています。
令和6年10月1日時点で、派遣は5,498人、転職は4,030人です。転職者も4千人を超えているのですね。派遣者が5千人を超えていることも驚きです。

民間企業等からの派遣3,784人の内訳は、民間企業2,942人、弁護士や公認会計士658人、大学教授等184人です。
資料には、省庁別の人数も載っています(別表1)。国土交通省1,440人、財務省978人、経済産業省964人、厚生労働省836人、外務省643人、デジタル庁548人、金融庁460人などとなっています。内閣官房も、266人受け入れています。
省庁別の派遣者受け入れの、局別の派遣元企業名が載っています(別表2)。いろんな企業から、さまざまな局に派遣されていることがわかります。

現金給付「効果なし」7割

4月22日の日経新聞に、「現金給付「効果なし」7割 消費税減税、自民支持層は評価二分」という世論調査結果が載っていました。

・・・日本経済新聞社とテレビ東京は19〜21日の世論調査で、トランプ米政権による関税引き上げや物価高への対策についてたずねた。国民への現金給付やポイント付与は「効果があると思わない」と答えた人が74%を占めた。「効果があると思う」は21%にとどまった。
現金給付は夏の参院選をみすえた「バラマキ」との批判がある。ほとんどの世代で効果なしの回答が7割を超えた・・・

国防人材どう育てる

4月7日の日経新聞オピニオン欄は、「国防人材どう育てる」でした。黒江哲郎・元防衛次官の発言「民間上回る処遇改善を」から。

・・・自衛隊が動かなくてはいけない緊急事態は多岐にわたる。他国から武力侵攻された際に日本を守ることや、大地震などへの災害派遣だ。自衛隊が募集対象とする18〜32歳の人口は30年後におよそ4割減る。今の応募水準が続くと現在と同じような手厚い対応は確実にできなくなる。

・・・自衛官は極めて特殊な職務内容を含む。自衛隊法では「事に臨んでは危険を顧みず」と記されている。上官の命令に背いて危険を回避してはいけないことや、状況によっては退職する自由も制限される。仕事に命をかける義務が法律で定められている。
厳しい義務を課しているのに、自衛官の自己犠牲で済ませてしまうのは国のあり方として間違っている。だからこそ処遇改善が必要だ。国民一人ひとりが、命をかけて困難な職務を行うよう自衛官に求めていることを自覚するべきだ。

石破茂政権は2024年末に自衛官の処遇改善策をまとめた。手当の拡充や隊舎の改善、再就職支援などを打ち出したことは評価できる。ただ他業種との人材獲得競争に勝つためには、民間の処遇改善のスピードや内容を上回らなければならない。
そのために国が自衛官に報いる新たな制度を設けてもいいだろう。たとえば一般的な厚生年金や国民年金に加え、年金を上乗せするのはどうか。財源は税金とすることで、国民が責任を持つべきだ。
社会からの敬意を自衛官が感じられる教育も必要だ。外国から攻められたら我々の生活すべてが脅かされる。その事態に陥ることを防ぐために自衛官が国を守っていると学校で教えてほしい。

・・・人的資源の減少を止められないのであれば、少人数でなるべく戦闘に集中できる仕組みもつくらなくてはならない。装備の無人化や、後方支援職種の民間委託を加速すべきだ。官民の役割分担のうち、民の役割を大きくしていかないと自衛隊は戦えない・・・

「ダイバーシティ」は第3ステージ

田村太郎さんのメールマガジン(4月30日号)「自治体におけるダイバーシティ・多文化共生推進」に、次のような発言が載っています。「ダイバーシティ」とは社会の多様性、そしてそれを認め合うことと訳したら良いでしょうか。

・・・日本のダイバーシティ推進が「第3ステージ」に入った・・・民族や性別といった「表層の属性」ヘの配慮を中心とした第1ステージから、価値観や考え方などの「深層の属性」へ配慮が拡がった第2ステージを経て、マジョリティの意識変革を通した社会全体の機運醸成の第3ステージに進んでいくのではないか・・・

詳しくは、メールマガジン「ダイバーシティの第3ステージ」(2024年6月5日号)に載っています。
・・・私は日本のダイバーシティは「第3ステージ」に入ったと感じています。
日本におけるダイバーシティ推進は、企業のマネジメント手法として2000年代中頃から注目されるようになりました。ダイバーシティ研究所も2007年に創立し、当初は企業のCSRを通した多様性配慮を中心に活動をスタートしました。この頃の取り組みは、性別や民族、年代など「表層の属性」への配慮に留まっていたように思います。続いて2010年代に入ると女性活躍や多文化共生、LGBTQなど、マイノリティ分野ごとの個別課題への対応が進みます。そのなかで「表層の属性」だけでなく、価値観やキャリア、思想といった「深層の属性」へと対象が拡大していきました。ここまでが第1ステージと第2ステージです。

そして2020年前後から、マジョリティ側の意識変革や社会全体の機運の醸成による包摂的な取り組みの重要性に再び関心が戻り、企業だけでなく自治体でもダイバーシティを統括する部門を設置したり、指針や計画を策定したりする事例が広がっています。例えば、世田谷区では2018年に「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を制定し、包括的な施策の推進をめざしています。また関西経済同友会では2022年度に「Diversity&Inclusion委員会」を設置して提言をまとめましたが、提言を実装する翌年の活動では「Diversity, Equity &Inclusion委員会」へ名称を変更し、組織全体、地域全体での意識変革の重要性を指摘しています・・・