カテゴリーアーカイブ:経済

ビジネスモデルの転換、新しい収益を求めて

2019年7月23日   岡本全勝

7月20日の日経新聞に「「クラウドの会社」に転換 マイクロソフト、手本なき その先を模索」という記事が載っていました。
マイクロソフトと言えば、パソコンの基本ソフト(OS)である「ウインドウズ」です。一時は、市場をほぼ独占しました。近年は、それに代わる無料ソフトが出たり、スマートフォンの普及で、かつてほどの栄光はないようですが。
この記事によると、ウインドウズなどのパッケージソフトの売り上げは半分になり、クラウドなどのサービスが47%とほぼ半分になりました。
パッケージソフトは売り切りなので、一度売ったら新製品を出さないと次の売り上げはありません。しかし、クラウドなどのサービスはそれを利用する間、利用料が入ります。アマゾンも、売り上げの多くをクラウドで得ているようです。

・・・「マイクロソフトは完全に違う会社になった。これほどの大企業の復活劇は他にない」と、米調査会社クリエイティブ・ストラテジーズのプリンシパルアナリスト、キャロシーナ・ミラネシ氏は評価する。
一方で、この5年間はマイクロソフトにとって習うべき「手本」が明確だった。近隣のシアトルに本拠を構え、クラウド基盤で首位を走るアマゾンや、シリコンバレーで続々と育っていた、企業向けクラウドサービスを手掛ける新興企業群だ・・・

・・・もっとも「手本」を追いかけるだけで成長が続いた段階は終わりつつある。18日終値時点で時価総額が1兆ドルを上回るのは米IT大手のなかでマイクロソフトだけ。独占禁止やプライバシー問題の逆風にさらされる「GAFA」を上回る株式市場の評価が定着するなかで、関心はクラウド企業になったマイクロソフトが次に何を生み出せるかに移りつつある・・・

JR九州、鉄道の売り上げは34%

2019年7月5日   岡本全勝

7月2日の読売新聞経済欄「経営者に聞く」は、青柳俊彦・JR九州社長の「多角化 地元と共に走る」でした。

・・・〈業績は徐々に上向き、2016年10月には青柳社長の下で東京証券取引所1部への株式上場を果たした〉
民営化当時、赤字だったJR北海道、四国、九州の3社は「三島さんとう会社」と呼ばれました。この呼び方は奇異に感じました。「本州だって島じゃないか」と思ったものです。上場した時は「三島会社でも上場できるんだぞ」と感慨もひとしおでした。民営化した頃、三島会社が上場できるとは誰も思っていなかったはずですから。
〈19年3月期連結決算で売上高は過去最高を更新した。売上高のうち鉄道事業の割合は34%にとどまる。流通・外食が24%、建設が21%、駅ビル・不動産が16%を占める。今や首都圏などでもホテルやマンション、オフィスビル、飲食店、ドラッグストアなどを手掛ける〉・・・

・・・〈18年3月、九州全域で1日あたり117本を減便し、列車の運行本数を1日3011本にした。民営化後、最大規模の減便だった〉
当社管内の在来線はほとんどが赤字です。乗客はさらに減る傾向にあります。「公共交通機関なんだから、赤字でもちゃんと運行しなさいよ」と地元からご意見をいただきますが、赤字のままでは事業を長く継続することはできないのです・・・

生産性の劇的向上はもう起こり得ない

2019年6月11日   岡本全勝

6月6日の朝日新聞オピニオン欄、経済学者のロバート・ゴードンさん「低成長時代を生きる」でした。
「画期的発明による生産性の劇的向上はもう起こり得ない」
・・・人工知能(AI)に自動運転、5G。世はイノベーションの話題で満ちているのに、いま一つ経済に元気がない。「長期停滞論」の火付け役の一人、米国の経済学者ロバート・ゴードンさんは「もはや輝かしい過去の再現はあり得ない」という。私たちはもう「低成長」という長いトンネルから抜け出すことはできないのか・・・

「私は1870年からの100年間を、『特別な世紀』と呼んでいます。電気やエンジンといった偉大な発明のおかげで、生活水準と生産性が劇的に上がりました。かつて大半の人々は農村に住み、男性は死ぬまで過酷な労働に耐え、女性は朝から晩まで家事に縛られていました。それが第2次産業革命の数十年で、都市での快適な暮らしへと移ったのです。これは人類史において一度限りの出来事で、匹敵する変化を再現することはもうできません」
「エジソンが電灯を発明したのは1879年ですが、第2次世界大戦前には米都市部のほぼ全世帯に電気が届きます。製造業の動力も蒸気機関から電気に代わり、経済の効率が劇的に上がりました。電灯とほぼ同時期に発明されたエンジンが、自動車や航空機を動かすようにもなりました。こうした発明を土台に、1970年までの半世紀は、毎年ほぼ3%のペースで生産性が伸び続けました」

――70年代に低成長に陥ったのは石油危機がきっかけでは。
「ちょうどそのころ、偉大な発明の効果がほぼ出尽くしたのです。米国ではエアコンが行き渡り、蒸し暑い南部でも快適に仕事ができるようになりました。高速道路網が整い、飛行機もプロペラ機からジェット機に代わった。以来、これら偉大な発明に匹敵する革新は生まれていません。この構図はどの先進国も同じです」
――その後も「第3次産業革命」が起きたはずです。
「デジタル革命ですね。メインフレームと呼ばれる大型コンピューターに始まり、80年代にパソコンが台頭。タイプライターも書類棚も不要になりました。みんながインターネットにつながる時代を90年代に迎え、ここで少し生産性が持ち直しました。しかし、その効果も2005年までにはピークを過ぎました。『特別な世紀』が70年代で終わったように」
――アップルのiPhone(アイフォーン)が登場したのは07年ですが。
「スマートフォンは素晴らしい発明で、消費者の暮らしを便利にしたのは疑いありません。しかし、恩恵は娯楽や通信といった分野が中心です。電気やエンジンほどには、幅広いビジネスの本質を変えたり、生産性を高めたりはしていません。むしろパソコンの発明の方が根本的な革新でした」

参考「例外時代

データの国際管理

2019年5月16日   岡本全勝

4月29日の日経新聞オピニオン欄、ジリアン・テット、ファイナンシャルタイムズ編集長の「データに国際的枠組みを」から。

・・・第2次世界大戦末期の1944年、国際通貨制度を安定させる枠組みの構築を目指し、連合国の代表が米ニューハンプシャー州ブレトンウッズに集まった。
参加者たちは平和の促進と経済の成長にはお金の流れを監視することが欠かせないと考えた。戦争が終結すれば世界経済を再生しなければならず、そのための国際組織が必要だと考えたのは当然かもしれない。国際通貨基金(IMF)の創設が決まり、以来数十年、何とか目的が果たされてきた。
75年間の国際協調はたたえられるが、IMFは今やお金以外にも目を向けるべきではないか・・・
・・・昨年のデジタル経済に関するIMFのセミナーで、バルシリー氏はIMFがデータ規制で各国の協調を促し、さらにIT(情報技術)の発展が社会や経済にもたらす影響に対しても国際戦略を策定する時が来たと主張した。同氏によると、米S&P500種株価指数の構成銘柄の企業価値のうち、1976年時点で16%が無形資産だったが、現在は90%近くに上る。
これはデータ管理が重要な政策課題になったということだ・・・

かつて経済力は、資源であり、生産品・生産力でした。次に、お金でした。それも、蓄えているだけではダメで、どのように流通させるかです。
ストックとともにフローが、重要になりました。そして、いまは、情報です。
記事にもあるように、モノでなく無形資産(情報)に価値が移っているのです。これも持っているだけではダメで、早く入手し、読み取り、どのように使うかです。
価値が、見えるものから見えないものへと転換しています。そして、ストックでなくフローにとです。

グローバル化による格差の拡大と縮小

2019年4月27日   岡本全勝

4月24日の日経新聞経済教室、B・ミラノビッチ、ニューヨーク市立大学客員教授の「グローバル化の功罪(上)  激変期 恩恵の偏りは不可避」が、勉強になりました。
詳しくは、原文を読んでいただくとして。

第1次グローバル化(19世紀半ばから第1次世界大戦)と、今回のグローバル化を比較しています。第1次グローバル化は国際的格差拡大であり、今回のグローバル化は格差縮小の時期です。
第1次グローバル化は、西欧の産業革命に支えられ、西欧が豊かにそして強くなりました。イギリスと中国の国民1人当たりGDPは、19世紀初めには3対1だったのが、1914年には8対1に広がりました。図がついていて、中国、インド、インドネシアの数字が出ています。差が広がる一方だったものが、1980年代を底に、格差縮小に転じます。

長い目で見ると、産業革命以前は中国やインドは西欧と同じくらい豊か、いえより豊かだったのです。
西欧との格差がこのあとどこまで縮まるか。多くの地域では、追いつくことになると思います。

記事では、グローバル化の功罪が、広く論じられています。