カテゴリー別アーカイブ: 災害復興

行政-災害復興

大熊町と双葉町の負担の上に

事故を起こした東電福島第一原発が立地していた、大熊町と双葉町は、放射線量の高い地域が残り、避難指示解除ができない場所も多いです。少しずつ復興が進んでいますが、まだ復興の出発点に立てない地域があるということです。

さらに、第一原発周辺に、中間貯蔵施設を造りました。福島県内の除染作業で出た土などを、一か所に集めて保管する場所です。これによって、他の地域の放射線量は低くなり、安全になりました。
しかし、中間貯蔵施設を引き受けた大熊町と双葉町は、この迷惑な施設を抱えなければなりません。両町が自らを犠牲にして、他の地域の復興を支えたのです。これは、いくら感謝しても足りません。

いま、第一原発に貯まり続けている処理水を、どのように処理するかの検討が続けられています。「このまま貯め続けよ」との意見もあるようですが、敷地内でのタンクの増設が限界に来つつあります。このまま、貯め続けるわけにはいかないのです。
そして、それを減らさないことには、これらの水とタンクが増え続け、それは大熊町と双葉町に引き受けてもらうということなのです。使用済みのタンクの部材は、放射性廃棄物となります。
処理をして減らさないと、両町にさらなる負担を押しつけることになります。その点を認識してください。

被災地視察の案内

12日日曜日、13日月曜日と、原発被災地視察の案内をしてきました。先週に続き、日曜日からの出張です。
この3か月間、福島と東京との往来が制限されていたので、東京から視察に来ていただくことができませんでした。解除されたので、次々と視察に来てもらっています。忙しい方々は、休日も利用しての視察になります。そして、泊まりがけでの視察になります。

政府や与党などの関係者は、毎年、そしてしばしば現地を視察してくださいます。どこが進んで、どこが進んでいないか。特に、今後の課題を見ていただくことが、政策を進める上で重要です。
発災当初から復興に関与してくださっている方もおられます。これまで9年間の歩み、そして当初の頃の混乱や困難を知っておられます。これは、ありがたいことです。

津波被災地、中心市街地の力の低下

7月11日の読売新聞、毎月11日に連載している「大震災 再生の歩み」は、「客層変化 仕切り直し」でした。女川町で再開したスーパーマーケットの状況です。
・・・ 東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた宮城県女川町でこの春、町唯一のスーパーが営業を再開した。社長の佐藤広樹さん(39)は9年ぶりの店で張り切るが、客層や売れ行きの変化に戸惑いも覚える。長い歳月をかけた大規模な復興事業によって、町の仕組みが変わり、中心市街地の力が低下したのだ・・・

・・・女川港やJR女川駅の周辺は住宅や商店が密集し、約4000人が暮らす町の中心部だった。しかし震災後、一帯は災害危険区域に指定され、家が新築できなくなった。住民は、造成された高台の住宅や町外に転居した。「中心から人がいなくなった。ドーナツみたいに」と佐藤さん。
駅前から500メートル離れた高台の災害公営住宅に移り住んだ女性(80)。以前は毎週、おんまえやに自転車で行く常連だったが、新店舗に足を向けたのは2回だけだ。「高台なので帰りが大変。バスもあるけど本数が少なくて」

佐藤さんによると、野菜の売り上げは半減し、米は10キロ袋より5キロ袋がさばける。弁当や総菜の売り上げは1・5倍に伸びた。客単価は震災前から250円ほど下がった。佐藤さんは「1世帯あたりの『胃袋』が小さくなった」ように感じる。
町の人口は震災直前の1万人から約4割減って6300人になり、1世帯の平均人数も2・6人から2・0人に低下した。この9年で復興を待ちきれない子育て世代が町外に出て、2~3世代の同居が減り、単身者の割合が増えた・・・

このような変化は、津波被災地だけでなく、日本中で起きていることです。連載「公共を創る」第48回で述べました。津波被災地では、徐々に進んでいた高齢化、過疎化が一挙に進んだので、それが目立ちます。

原発被災地での求人

福島の原発被災地では順次、避難指示が解除され、生活が戻ってきています。企業活動も再開され、働く人を求めています。
経済産業省が、それを支援しています。新聞に広告なども出していますが、インターネットでも見ることができます。
福島で働こう 復興エリア求人特集」。例えば「浪江町

雇用が戻ると、それに従って商業や飲食店が戻り、そして街のにぎわいが戻ります。
最初の頃は、いくら求人をしても、また給料を上げても、住民が戻っていないので、応募がなかったのです。徐々に人が戻りつつあり、求人と求職が成り立つようになりました。

災害避難生活を支援する活動を支援する

今年も、九州をはじめ各地で大雨の災害が発生しています。今年はこれまでと違い、コロナウイルスへの対応が必要であり、また外からのボランティア支援も難しい状況にあります。ダイバーシティ研究所の田村太郎さんが、被災者支援を支援する活動をしています。

・・・ダイバーシティ研究所では熊本地震等これまでの活動で使用した被災者支援のためのさまざまなツールを、現地で活動する方々に使用していただくことを想定して無料で公開いたしました。また、国際大学グローバル・コミュニケーションセンターとともに開発しているアセスメントシステムも公開し、避難生活を支える活動を後方支援いたします。
感染防止の観点から、遠方からたくさんの人が現地に駆けつけることは難しい状況ですが、現地に行かずともできる支援はたくさんあります。また、コロナウイルスへの対応が注目されますが、避難所ではエコノミークラス症候群や食中毒などへの対応も必要です。
熊本地震では直接死の4倍を超える方が避難生活で命を落とされています。避難生活での被害の拡大を防ぐ取り組みが急がれます。ダイバーシティ研究所ではこれまで得られた知見を生かし、誰も取り残されることのない対応をめざしてできる限りの取り組みを行いたいと考えておりますので、お力添えのほどどうぞよろしくお願いします・・・

詳しくは、次のページをご覧ください。
大雨被害とコロナ禍における避難者支援アセスメントツールの公開