1月7日に、福島県富岡町と浪江町で、成人式が開かれました。
両町では、昨年春に一部を除き避難指示が解除され、7年ぶりに町内で式を行うことができたのです。新成人は、事故が起きたとき、中学1年生だったそうです。その後、町には戻れていませんでした。うれしいですね。復興が実感できます。
もちろん、新成人もまだ多くは町内で生活していませんし、避難指示が解除されていない地域もあります。すぐにとは行きませんが、着実に復興を進めていきます。
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行政-災害復興
平成29年の回顧1、復興
年末になり、年賀状も出したので、今年の回顧を始めましょう。
まず、復興についてです。引き続き、内閣官房参与、福島復興再生総局事務局長として、大震災からの復興に関与しています。
福島では、4月にできる地域では、すべて避難指示を解除しました。住民が戻りつつあります。原災本部と経産省が、産業再開支援に力を入れています。農水省も、農業再開に尽力しています。概要の資料(復興庁)。
企業の立地もあるのですが、従業員が足らない状態になっています。コンビニのアルバイトは、時給1380円のところがあると聞きました。過疎地域では、通常は働く場がないことが問題なのですが、ここでは従業員が不足するという、逆の問題が起きています。住民が帰還できる条件が、整いつつつあります。
放射線量が依然として高く、避難指示が解除できなかった地域は、区域を限って復興拠点を作る方針を立てました。すでに3町で計画が出来て、除染作業に入っているところもあります。
環境省による除染も進み、中間貯蔵施設への除去土壌の運び込みも始まっています。
1年前には、ここまで円滑に進むとは想像できませんでした。関係者の努力のおかげです。方向性が定まったので、これらの計画を着実に進めていきます。
岩手県と宮城県も、現地を見てきました。
復興が進んでいます。住まいの再建は、9割が完成しました(公営住宅が9割、高台移転の宅地造成が8割)。高台移転のか所数が最も多かった石巻市も、全て工事が完了しました。来年度末(あと1年3か月)で、ほぼ完成します。一部で、調整中のものがありますが。
住まいの再建ができれば、復興の一つの区切りです。道路や防潮堤などの工事が続きますが、住民の暮らしの再建としては、住宅が一つの指標です。
関係者の努力に感謝します。来年も、着実に進めていきます。その2へ。
浪江町の復興拠点計画を認定
今日12月22日に、浪江町の復興拠点計画を認定しました。双葉町、大熊町に次いで、3町目です。
今年の春に、避難指示を解除できる地区は解除しました。その際に、当分の間、帰還できない地区に、復興の拠点を作る制度を導入しました。
年内に、3町で計画ができるとは予想していませんでした。住民や役場の熱意が、計画作りの速さに表れています。まずは、環境省が除染を始めます。
放射線検査のジレンマ
12月13日の福島民報が、「手間かかり重荷に 県産米の全量全袋検査」を伝えています。詳しくは記事を読んでいただくとして。
福島県産の米が安全だと確認するために、全袋を機械にかけて検査しています。これで、安全だということを示すことができます。
もう数年、基準値を超える米は出ていません。それで、いつやめるかが、課題になっているのです。
検査には、手間と費用がかかります。また、「検査しなければならないほど、心配なのですか。他の県ではしていないのに」という質問が出るなど、逆の効果も指摘されています。
これは、BSE牛の検査をいつまで続けるかについても、問題になりました。
南相馬市、新しい段階へ
今日は、南相馬市役所で、復興の課題を議論しました。小高区(市の南部)に出ていた避難指示が、昨年夏に解除されました。約3割の住民が帰還し、平常の生活が戻りつつあります。
市長は、「復興から発展へ、段階が進んだ。進めたい」とおっしゃっています。同感です。避難指示が解除されたことで、次の段階に入りました。また、課題も変わりました。
産業や商業など、まだ元に戻っていないものもあります。医療や介護なども、従事者が不足して、完全には再開していません。これらも、順次解決していきます。
しかし、元に戻すだけでは、次への発展がありません。
津波と原発事故という災害は、大変な被害をもたらしました。しかし、それからの復興を機に、新しい町を作ろうという挑戦が、多くの地域で行われています。
市長は、その際に「住民が主役になる必要がある」と主張されます。この点も、同感です。国も参加しますが、自治体と住民の取り組みが重要です。
市町村が、かつてない復興に取り組んだ経験は、大きな財産です。案を作り、住民の意見を集約し、国や関係者と協議して、実現していく。これだけ「大きな事業」を成し遂げた市町村は、日本中でも珍しいことです。これを、新しい街づくりに生かしてほしいです。