カテゴリー別アーカイブ: 災害復興

行政-災害復興

除染基準が復興を阻害する

1月17日の原子力規制委員会会合で、更田委員長が、「福島県内で行われている除染の基準となっている1時間当たりの空間の放射線量が実態に即さない厳しい数値ではないかとの認識を示し、関係省庁などが連携して議論すべきとの考えを示しました」(NHKニュース「規制委委員長 福島県内の空間放射線量基準 議論すべき」から)。

・・・福島県内で行われている除染では、住民の被ばく線量にして、年間1ミリシーベルト以下を目標とし、これを計算式に当てはめ、1時間当たりの空間の放射線量は0.23マイクロシーベルト以下を基準としています。
17日の原子力規制委員会で、更田豊志委員長は1時間当たり0.23マイクロシーベルトという値について、原発事故のあと、福島の住民が身につけている線量計の実測値に基づくと実際には「4倍程度、保守的」、つまり、実態に即さない厳しい数値ではないかとの認識を示し、「改めないと帰還や復興を阻害すると思う」と述べ、関係省庁などが連携して、数値を改めるかどうか議論すべきとの考えを示しました。

このあと開かれた記者会見で、更田委員長は「1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上のところに住んでいると、年間1ミリシーベルトを超えてしまうという誤解がある。まずは、空間線量率と被ばくの関係をデータで示すべき」だと述べました。そのうえで「放射線量をどう考えるかは個々人の判断に委ねられるが、科学的なデータを積み重ねるところまでは、国や学術の責任だ」との考えを示しました・・・

会議の議事録(p14)記者会見録

福島風評被害対策

読売新聞1月14日の社説は、「福島風評対策 魅力と正しい知識を伝えよう」でした。
・・・原子力発電所の事故があった福島県の復興を加速するためには、政府一体となった積極的な取り組みが欠かせない。
復興庁が、福島復興に関する「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」をまとめた。関係省庁が、福島の現状や魅力などを国内外に発信していく際の基本方針となる。
戦略が柱として掲げたのは、「知ってもらう」「食べてもらう」「来てもらう」の3点だ・・・
復興庁のホームページ。風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」

原発事故、住宅無償提供の功罪

1月9日の読売新聞「展望2018」に、平尾武史・地方部長が「人口減社会の街の姿」を書いておられます。
・・・福島県浪江町で新聞販売店を営む鈴木裕次郎さん(34歳)は怒っていた。憤慨させたのは同町など9市町村から各地に避難する人への住宅無償提供を延長するという県の決定。今春までの予定を来春に1年間延ばすものだが、鈴木さんは「本当に住民を帰還させる気があるのか」と言う。
原発事故から6年となった昨春、浪江町はようやく中心部などの避難指示が解除になった。しかし、2万人を超えた居住人口は昨年11月末で440人・・・
・・・事故前は3000部の新聞を配っていたが、今は100部にとどまる。それでも「新聞は社会インフラの一つ」という思いから町に戻り、毎日配達を続ける。そんな鈴木さんには、無償提供の延長が行政のやる気のなさに映る。住民の帰還がさらに遅れる恐れがあるからだ・・・

村井・宮城県知事の発言

1月8日の日経新聞「私見卓見」欄に、村井嘉浩・宮城県知事の「被災者の痛み和らげる社会に」が載っています。
・・・3月で東日本大震災から7年となる。被災地では住宅建設など安定した生活を取り戻すための事業は順調に進むが、壊れてしまったコミュニティーの再生などは道半ばだ。行方不明の家族を海岸や海中で探し続ける人も大勢いる。被災者の立場で復興事業をみれば、まだまだ合格点とはいえないと思う。
未曽有の大災害からの復興は発生から10年程度で終わるものではない・・・
原文をお読みください。