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行政-災害復興

福島12市町村の将来像に関する有識者検討会

今日は、福島市で開かれた「福島12市町村の将来像に関する有識者検討会」に行ってきました。原発事故被災地の将来を考える会です。今回も、充実した会議でした。

1 国、県、市町村が集まって、これまでの成果と現状の認識を共有し、今後の課題と方向を議論します。現地でこのような会議を続けることは、これまでの国の施策では、なかったことだと思います。
2 政策体系が明確で(資料の1ページ目)、それに基づく個別施策(資料では個表)も、わかりやすいです。進むべき方向や実現状況が、よくわかります。個別施策を進めても、全体像と各施策の位置づけがはっきりしていないと、全体の進捗がわかりません。
3 市町村の資料も、簡潔明確です。首長さんたちの説明も、上手です。一人あたりの発言時間が限られているので、皆さん焦点を絞って簡潔に話されます。場慣れされましたね。各町の復興状況が違うので、課題が異なります。その説明が重要なのです。
本当は、各首長に十分な時間を取って、話していただきたいのですが。12人おそろいですから、そうもいきません。もっとも、それぞれの方には、国の関係者が出向いて、別途お話を聞いています。
4 民間員の方々も、アイリスオーヤマの会長、オイシックスの社長など福島県外の方なのですが、福島での活動が多く、具体例を元に話されるので、議論がかみ合います。そして時には、厳しい意見も出ます。
5 今日の共通した意見に、「人が重要」というものがありました。いくら施設やインフラを整備しても、働く人、支える人がいないとm地域の活力が戻らないということです。
「事故前には戻らない」ことを前提に、どのように後継者を育てるか、外から人を呼び込むか。これが一番の課題です。
これは、被災地に限らず、日本の多くの地方が抱えている課題でもあります。すると、より魅力ある地域や産業にしないと、地域間競争には勝てません。

今日も、皆さん方に挨拶した後、いろんなことを考えながら、話を聞いていました。

原発事故被災地での、農業再開

5月18日の日経新聞夕刊が、福島の原発事故被災地について、「農業再開、4割以上が断念」という記事を載せていました。原文を読んでいただくとして。

福島相双復興推進機構の調査では、避難指示が出た12市町村の農家約千人のうち、再開する予定がない人が4割を超えています。その背景には、
・原発事故による風評が続いていることのほかに、
・既に従事者が高齢化していて、避難後7年がたってさらに高齢化が進んでいること。その後継者がいないこと、があります。

この地域に限らず、農業従事者の高齢化、後継者難が農業を衰退させています。
また、家業としてやっていて、事業としてやっていない。零細農家、狭い農地の問題もあります。
被災地では、
・花など、風評にあわない作物を作ること
・企業と連携し、大規模経営を行う取り組みを行っています。
特に、この手法が有効だと、私は考えています。家業でなく、事業とするのです。それによって、経営の安定、効率化、大規模化、後継者難を克服できます。自家用の米を少量作るなら別ですが。米作を産業とするには、この方法しか将来はないでしょう。被災地では、その転換の良い機会でもあります。

積水ハウスの継続的被災地支援

5月11日の河北新報に、企業が被災地で職員研修を行っている事例「新入社員 被災地に学ぶ」が紹介されていました。このホームページでも、紹介したことがあります。
ここに紹介されている、積水ハウスは、2012年から続けています。側溝掃除で泥だらけになった職員たちに「この後のビールが、おいしいやろうね」と言って、「研修ですから、禁酒です」と叱られたことを思い出します(2014年5月27日の記事)。

この新人研修は、現地で被害の大きさを学ぶとと、被災者への支援活動を行うことを組み合わせています。実はNPOの活躍の場でもあるのです。この研修を、2つのNPOが支えています。
一つは、研修内容を企画し、社員を被災地に連れて行くNPOです。もう一つは、現地で支援活動の需要を掘り起こしておくNPOです。大手企業の社員とはいえ、見ず知らずの人が突然仮設住宅を訪ねていっても、来られた方も迷惑です。それから「何を手伝ってもらおうかねえ」などと思案していては、時間の無駄です。

昨日の慶應義塾大学公共政策論で、話したばかりでした。
ありがとうございます。

コミュタン福島

「コミュタン福島」という施設を紹介します。正式には、「福島県環境創造センター交流棟」と呼びます。原発事故を受け、福島県が環境省などの支援を受けて作った、教育・展示施設です。
ホームページには、次のように書かれています。
「県民の皆さまの不安や疑問に答え、放射線や環境問題を身近な視点から理解し、環境の回復と創造への意識を深めていただくための施設です。
コミュタン福島には、放射線やふくしまの環境の現状に関する展示のほか、360度全球型シアター、200人収容が可能なホールなどを備えております」

展示内容も、工夫を凝らしています。見るだけの価値があります。私も初めて、霧箱で放射線をこの目で見てきました。こんなにたくさんの放射線が、宇宙から降り注いでいるのですね。「展示」「体験
福島県内の小学校性は、ここを訪れることが、教育に組み込まれています。それもあって、昨年は10万人が訪れています。場所が三春町の工業団地の中と、少し不便ですが。