カテゴリー別アーカイブ: 災害復興

行政-災害復興

岩手県被災地視察

26日27日と、岩手県沿岸の被災地を視察してきました。毎年に一度、復興状況を確認するために、出かけています(2017年)。街並みの復興状況を見るとともに、市町村長さんたちの話を聞くことが、目的です。あとするべきこととして何が残っているか、何に困っておられるか、それを聞くのが仕事です。
結論から言うと、復興事業(住宅やインフラの整備)はほぼ終わったか、めどが立ちました。この点では、市町村長さんたちは、ほっとしておられます。もう7年半がたつのですからね。仮設住宅に入っておられる方には、長かった時間だと思います。

今回は、岩泉町、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市を見てきました。岩泉町は、大震災の復興事業はほぼ終わったのですが、平成28年の大水害で大震災をはるかに上回る被害を受けました。この復旧事業が、これから本格化します。
町の中心を流された、山田町、大槌町、陸前高田市も、中心市街地のかさ上げが終わり、この1年でどんどん建物が建っています。基礎工事ができれば、上物は早いですね。
公営住宅や住宅移転用地完成のめども立ち、いくつか残っている仮設住宅を終了させる目標も立っています。

三陸自動車道が、部分的に次々と開通しています。移動には、この高速道路を使います。国道45号線に比べ、上り下りやカーブが少なく、早くて、かつ乗り心地も良いです。
ところが、困ったことがあります。山の中を通っているので、浜にある集落を通らないのです。役場の近くのインターチェンジから、次の役場の近くのインターチェンジに直進します。すると、これまで国道を走っていた時に通っていた集落が、見えないのです。これは、困りものです。次回は、高速道路を使わず、下の道を通りましょう。
この項続く

坂茂さん、避難所の間仕切り

9月13日の朝日新聞オピニオン欄に、建築家・坂茂さんのインタビュー「避難所、通い続けるわけ」が載っていました。
坂さんは、避難所でのプライバシーを守るために、紙の管と布で、簡単な間仕切りを作ってくださいました。災害が起きるたびに、その支援をしてくださっています。ありがとうございます。
そろそろ、このような仕切りは、「避難所の標準装備の一つ」と位置づけても良いと思います。

福島の災害と復興を見る観光

ホープツーリズムって、ご存じですか。ダーク・ツーリズムは、聞いた人もいるでしょう。災害や事故の現場を訪ねる旅行です。
復興庁では、民間の協力を得て、福島を対象地域とした災害と復興を見る、体験旅行を進めています。「ホープツーリズム」という事業を立ち上げました。
災害や事故は、見たくないものです。しかし、起きるものです。それに対してどのように対応したか、そこからどのように復興したか。その経験は、後世の糧となります。

災害と事故をそのままで終わらせたら、それはダーク・暗いものです。それを、後世に生かす。過去を振り返るだけでなく、未来に生かすのです。ダークでなく、ホープです。これは、日本の財産になると思います。
趣旨から引用します。
・・・福島をフィールドとした「主体的・対話的で深い学び」の実現
~今、福島でしか学べないことがある!~
ふくしまの「ありのままの姿」と未来を見据え復興に挑戦する「人々」との出会いを通じて、希望を感じ自分自身を成長させる旅。震災と原発事故を経験したふくしまならではの”新しい学びの旅”・・・

今回、体験ツアーを募集中です。「ふくしま 発見・体感モニターツアー」。いくつもコースがあります。画面をクリックして、探してください。
地元の人でも、復興庁の職員でも、2~3日でこれだけの場所を見て、これだけの経験をすることはありません。
興味のある方は、ご参加ください。参加費用は、私の推計では、通常費用の半額から4分の1でしょうか。お得です。

震災から7年半

今日9月11日で、震災から7年半になりました。新聞各紙が、復興の状況を伝えています。
岩手・宮城両県では、公営住宅と高台移転宅地造成が進み、9割を超えています。しかし、空き部屋もあります。長期間の避難で、戻ることをあきらめた人もいるのです。仮設住宅居住者は、減っています。
福島では、避難指示が解除された地域の復興が進んでいます。しかし、まだ避難指示が出ている地域もあります。

福島民報新聞1面は、「居住者昨年比1.7倍 11市町村の避難解除地域4182人増の1万人超」を伝えていました。
私たちは、しばしば居住者の数値を、帰還率で把握しています。住民登録者数のうち、何人が居住しているかという割合です。多いところでは8割になり、少ないところ・避難解除がまだ最近の地域では1割です。率でとらえるのも、一つの復興指標です。
他方で、この記事のように、実数でとらえると実態が見えます。地域の人口が、1年で4千人も増えているのです。1.7倍になっています。うれしいことです。
住民が増えると、学校、病院、介護施設、商店などのサービス拡大が必要です。働く場も重要です。市町村と民間企業の事業再開を、国や県で支援しています。町のにぎわいの基礎は、働く場だということを実感します

第一原発視察

今日は、東京電力第一原発(正確には元原発ですかね)の作業を視察してきました。昨年は春(2017年3月17日)に行ったので、1年半ぶりです。
私の仕事の範囲は、原発敷地の外の復興です。とはいえ、原発敷地内でどのような作業が行われているか、どこまで進んだかを知っておく必要があります。しかし、視察に行くと、現場作業の邪魔になります。近年は、現場も落ち着いてきたので、1年に1度の頻度(その前2016年9月8日)で、視察に行っています。

現場は、がれきも片付き、作業棟も新築され、事故現場から通常の作業場になりつつあります。東京電力のホームページ7分間の動画。96%の区域は、作業服だけで立ち入ることができます。最初の頃は、食堂もなく、弁当でした。
いまも、毎日4000人を超える作業員が働いています。夏は暑くなるので、早朝から作業を始め、昼はお休みにしているそうです。ただし一部の区域ですが、作業中は水も飲めない・トイレも行けない作業場所があります。
私たち視察者の着替えも大げさでなくなり、手袋や長靴の履き替えも、簡単になりました。面体(顔を覆う透明カバー)をつけなくて良いのは、楽です。最初の頃に比べると、隔世の感があります。

今日一緒に行った復興庁の職員たちは、ほとんどが第一原発に入るのは初めてです。そうですよね。職員も入れ替わります。若い人たちにも、この事故の経験を知ってもらうことも重要です。