10月4日の朝日新聞オピニオン欄「災害、想定外への備え」、丸谷智保・セコマ社長の発言から。北海道で最大手のコンビニです。
・・・先月6日の午前3時過ぎに地震は起きました。北海道全域が停電する中、札幌市の本社で各地の状況が分かり始めたのは午前7時ごろです。予想以上に多くの店が早朝まだ暗いうちから営業していました。95%にあたる1050店舗が当日営業しています。
町全体の明かりが消える中、店には水や食べ物を求めるお客さんが殺到しました。「店を開けてくれてありがとう」という感謝の声がたくさん寄せられ、ネットでは「神対応」とも言われました。
事前の備えが功を奏したのだと思います。停電対策として非常用の電源キットを全店に配備済みでした。車のエンジンをかけ、シガーソケットから電源をとる。おかげで停電下でもレジを動かせました。配備したきっかけは2004年に北海道を襲った台風です。あのときにも停電が起きたので、対策が必要だと気づきました。
もう一つ好評だったのは、店内で作った温かいおにぎりでした。11年の東日本大震災をきっかけにガス炊飯器を備えた店を増やしていたため、停電中でも炊けたのです・・・
・・・それでも一定の物資を届けられたのは、やはり3・11の教訓です。道東の釧路市にあった物流センターに自家発電機能を持たせ、トラック用の燃料も備蓄していました。おかげで今回、被害の大きな道央を支援する形で多くのトラックを動かせました。今後も絶えず備えの見直しをしていかねば、と痛感しています。
コンビニは災害時に人々を支えるインフラになっているのだと思います。自らも被災地の住民であるスタッフが今回、自発的に店を開けました。日頃から地域に密着しているから「住民も困っているのでは」という思いやりが働いたのではないでしょうか・・・
東日本大震災の際に、「新しい社会インフラ」に気づきました。携帯電話、コンビニ、宅配便です。地方ではガソリンスタンドも。従来の公共インフラに加え、これらも住民の生活を支える重要な基盤です。
今回の大規模停電のニュースを知ったとき、どのようにしてコンビニが営業しているのか、不思議でした。棚の品物を客が懐中電灯で探しています。「??レジは停電の際にどうしているのだろう」とです。非常用電源を確保してあったのですね。