5月6日に、政府の緊急災害対策本部と原子力災害対策本部の合同会議が開かれました。松本龍防災大臣が、これまでの被災者生活支援本部の実績と課題を報告されました(資料p1~3)。これまでの1か月半の実績と、これからの課題が簡単に整理されています。
また、今回の大震災関係のいくつもある対策本部が、9日付けで整理されことになりました。私たちの被災者生活支援本部は、この図の左下に出てきます。名前がチームに変わりますが、これまで同様に緊急災害対策本部の下で、同じ仕事を続けます。私どもの組織は、「本部」と名前がついていますが、大臣が集まる合議体(合議制会議)ではなく、課題を実行する組織(独任制機関)です。この図に出てくるほかの本部とは、性格が違います。
毎週更新している「現地の課題と本部の取組み」と「事務記録」も、加筆しました。いつもながら素早く仕事をしてくれる、我が本部の広報チームに感謝します。
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行政-災害復興
過疎地帯の地震被害
4日5日と、仙谷官房副長官のお供をして、長野県栄村、新潟県津南町、十日町市に視察に行ってきました。東北の津波と原発事故の報道に隠れていますが、3月12日に長野県北部と隣接する新潟県は、大きな直下型地震に見舞われました。栄村は2,300戸のうち、一時は1,700戸が避難したくらいです。ここは、典型的な地震被害でした。道路や上下水道、農地や用水路などに大きな被害が生じています。応急復旧が進み、仮設住宅の建設も進んでいます。
豪雪地帯なので、発災当時は雪があり、雪解けとともに、被害もわかりつつあります。仮設住宅も、入り口に雪除けをつくる必要があります。
中山間・過疎・高齢地域です。地元の方のお話しでは、「後継者がおらず、徐々に地域が衰退しつつある。それが、今回の災害を機に、一挙に進む恐れがある」とのことでした。たしかに、今後何で食べていくか。生業が定まり、若者が跡を継いでくれないと、地域は存続しません。
津波の前と後・航空写真
非常時と法治主義
東京大学法学部の森田朗先生が、今回の震災対策に関して、「法治主義と非常時体制」を書いておられます。参考になります。ご一読下さい。
私は、「明るい係長講座」などに、次のようなことを書いています。
「決められたことをするのが、普通の公務員、部下の務め。決められたことが実情にあわず、おかしいと思ったら変えるのが、良い公務員、上司の務め」と。
今回の大災害では、現場から「実情にあわないから、ルールを変えてほしい」という悲鳴や要望が上がってきます。それにどこまで応えるかが、私たちの支援本部の、大きな仕事の一つです。そして私たちは、東京で決まりを変えるのですから、各現場での個別の弾力運用でなく、関係自治体に共通して、決まりを変える必要があります。
例えば、本来県が行う緊急物資の調達と配送を国が代わって行うこと、大量の被災家屋を簡易な被災証明ですますこと、民有地の廃棄物を自治体が処理すること、壊れた自動車を持ち主の了解を待たず一定期間後に処理すること、民間賃貸住宅を借り上げた場合の公費負担・・。今回適用した特例や変更したルールは、かなりの数になるでしょう。
また、時間との闘いでもあります。現場では、一刻も早く物資を送って欲しい、人が足りない、ルールを変更して欲しい。しかし、私たちも、たくさんの課題を抱えています。どの課題から片付けるか。逆に言うと、どの課題を先送りするかです。
森田先生は、別の日のブログで、「安全と危機管理」についても書いておられます。私も、今回の経験からいろんなことを考えました。一段落したら、学んだことを整理したいと、考えています。