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行政-災害復興

がれきの片付け状況

津波被害を受けた市町村の、がれきの片付け状況が、公表されました。今回は、推定がれき量のうち、どの程度片付けたかという割合に加え、散乱しているがれきのうち、どの程度片付けたかという割合も公表されました。その差は、これから解体される家屋の分です。すなわち、これから解体する家屋は、がれき総量に含まれますが、散乱がれきには含まれません。
実は、石巻市や釜石市では、がれきの片付けが進んでいるのに、片付けた割合の数字が20%程度と低い、との指摘がありました。確かに、住宅の周りのがれきは片付いているのです。理由は、「これから解体する家屋」でした。それを考慮すると、石巻市は、21%から87%に一挙に上がりました。ほとんどの市町村で、かなり片付けが進んでいます。もちろん、これは仮置き場まで運び出しただけなので、それらを焼却処分したりする必要があります。

また、47都道府県庁の「被災者支援窓口」を公表しました。被災者は全国に避難しておられるので、その方々のお世話をする窓口を、各県庁の協力を得て、明らかにしました。県庁内で、災害対策の所管部局はふだんから決まっていますが、被災者支援担当は決まっていない県庁も多いのです。今回改めてお願いしました。

避難者数

7月28日現在の全国の避難者数調査が、まとまりました。学校などいわゆる避難所におられる方は、約1万3千人。2週間前と比べて、約5千人減っています。仮設住宅や民間借り上げ住宅に移っておられると、推測されます。一番の目標は、生活環境の悪い避難所から、早く住宅などに移ってもらい、避難所を閉鎖することです。

訂正です。
昨日の記事で、復興本部のホームページを紹介した際に、誤字として「仮説住宅建設情報」と書くべきところを、「仮設住宅建設情報」と正しく書いてしまいました。これでは、意味は通じませんね。反省。なお、ホームページの記述は、早速訂正してもらいました。

復興への民の力

被災地の復旧と復興というと、国や自治体の仕事が取り上げられますが、民の力も大きいです。私がかねて主張している、私・共・官の3元論です。公は、官が独占するのではなく、民間の公も大きいです。

私企業は、経済活動を通じて、すなわち従業員を雇用したり、必需品を供給することで、住民の暮らしを支えています。いくら道路と堤防、住宅を復旧しても、働く場がなければ、暮らしは復興しません。商店やガソリンスタンド、宅急便がないと、暮らしは成り立ちません。
これに関連して、旧知の田澤さんから、テレワークによる復興支援を教えてもらいました。被災者が テレワーク(在宅勤務・在宅就業)で、被災地に居ながら働くための雇用支援です。

また企業は、経済利益を追求するだけでなく、社会的貢献をしています。7月31日の新聞に、三井物産の環境基金復興助成の広告が出ていました。第1回締め切り分として、被災地の復興研究のために、約4億円の助成をしてくださいます。ありがたいことです。
このような、企業の経済活動を通じた復興支援、義捐活動を通じた復興支援の役割は大きいです。これらを、どのように地域の復興に活用させてもらうか。また、協力してもらうか。私たち復興本部の大きな課題です。
このほかに、共(利益を追求しない活動)もあります。「基本方針」では、官の役割のほかに、民の力も並べて書きました。(この項続く)

早速次の作業に

7月29日に「基本方針」を決定したので、復興本部事務局は、本格的に具体作業に入りました。昨日月曜日には、担当大臣から「急いで取り組むべき事項」について、事務局参事官に指示が出ました。
もちろん、事務局が直営で行う項目は少なく、多くの復興事業は市町村と各省庁で行ってもらいます。各府省へ指示を出し、その調整をするのが、我が事務局の任務です。今日2日の閣僚懇談会では、担当大臣から各大臣に、所管の事業について、当面の事業計画と工程表を早く作って欲しいことと、被災市町村を支援する府庁横断的なチームの編成について、協力のお願いをしました。
ちなみに、事務局職員は現在、常勤職員だけで110人、現地本部を入れると130人余りになりました。日々、膨れています。東京の本部では、3人の次長の下、22人の参事官(課長)が配属されました。22課というと、かなり大きな組織です。

先日紹介したように、私たちの仕事を理解してもらうために、ホームページも作りました。
お詫びです。ホームページに、誤字があります。「仮設住宅建設情報」になっています。読者の方から、指摘を受けました。ありがとうございます。明日、訂正します。また、リンク先がおかしいページも、ありますね。順次、加筆訂正します。広報班のA参事官、A補佐、T主査お願いします。

復興の基本方針決定

29日夜に官邸で、復興本部会合を開き、「復興の基本方針」を決定しました。この方針は、国の取組の全体像を示すものです。現場での主役は、住民と市町村です。今後市町村が復興計画をつくり、事業を進める際に、どのような事業メニューがあるか、どのように国が支援するか、参考にしてもらいます。
基礎となったのは、復興構想会議(五百旗頭真議長)の提言(6月25日)です。これを、国・県・市町村などが事業として実行するように、「行政用語」に「翻訳」しました。一方で、東日本大震災復基本法を実行する過程です。(本文1基本的考え方)。
この仕事は早さを要求されるので、約1か月で作り上げました。全府省の協力を得てです。なるべく地方団体の意見を反映させるため、文書による調査や、出かけていっての意見交換会も行いました。

「あんこ」の部分は第5章、復興の3つの柱「地域づくり」「暮らしの再生」「経済活動の再生」です。インフラなどの復旧だけでなく、人と暮らしの再建を重視しています。暮らしの安心安全と、それを支える雇用と経済です。いくら道路や住宅が復旧しても、働く場がないと、住民の暮らしと街の賑わいは再生しません。このように明確に書いたのは、新しいことだと思います。このことは、「3実施する施策(イ)」でも、明確にしました。被災地域の復旧・復興と、被災者の暮らしの再生を、並べて書いてあります。
このほかに、防災と、原子力災害からの復興を、別に建ててあります(5(4)大震災の教訓を踏まえた国づくり、6原子力災害からの復興)。
まだ具体的内容が固まっていない項目もありますが、順次固めていきます。各府省は、それぞれの事業について、計画や工程表を公開する予定です(p7第1行目)。
支援の仕組みとして、特区制度や使い勝手の良い交付金も、盛り込みました(p4)。また、あらゆる力を合わせて復興を支援するため、国・県・市町村(官)とともに、民の力もお借りすることを書きました。お金(寄付やファンドなど)・知恵(専門家)・人(ボランティア・NPOなど)です(p4民間の力による復興)。これも、新しい発想だと思います。

事業規模と財源確保についても、書いてあります(p5)。事業規模が(国と地方団体を合わせて)、5年間で19兆円以上と推計されています(原発事故損害を除いてです)。そのために、市町村が安心して事業をできるように、財源を保障することが重要です。「お金がないので事業ができない」では、困ります。
もっとも、この数字は、阪神淡路大震災などを参考に、推計したものです。これから事業が進むと、より確実な数字になります。応急事業は進んだので、ほぼ数字がつかめます。復旧事業も、被害総額からある程度推計できます。しかし、復興事業はどのような事業が行われるか、現時点では不明です。例えば、どのくらいの家族が、集団移転されるかによって、事業費は大きく変わってきます(7月17日の記事)。

今朝の新聞では、財源確保の部分についての与党との調整過程が、大きく取り上げられています。政治的には、政府と与党のあり方、与党での政策決定過程も重要です。しかし、この基本方針の目的・機能は、被災者や被災地に対し、今後国がどのような考え方で、どのようなメニューで支援するかを明らかにすることです。各紙とも、基本方針本文を、かなりの分量で掲載してくれました。これはありがたいことです。しかし、私たちが示した「施策」について、ここが評価できる、ここは足りないという、分析が欲しいです。
政治には、権力(政局)と政策の、2つの要素があります。政治部記者の方には、政局とともに、政策についての報道・分析をお願いします。この基本方針の「宛先」は、永田町でなく被災地です。読者は、国会議員とともに被災者です。
もっとも、昨夜公表したばかりなので、記者さんたちも、時間がありませんでした。これからじっくりと分析してくださるでしょうから、今後の評価を待ちましょう。私たちの欠けている点を補うためにも、期待しています。