カテゴリー別アーカイブ: 災害復興

行政-災害復興

中村健人・岡本正著『自治体職員のための災害救援ハンドブック』

中村健人・岡本正著『自治体職員のための災害救援ハンドブック』(2019年、第一法規)を紹介します。
お二人は弁護士で、災害対応や防災に携わってこられました。
副題に「備え、初動、応急から復旧、復興まで」とあるように、時系列、場面ごとに、自治体職員が何をしなければならないか、何に注意しなければならないかを、簡潔にまとめてあります。

推薦文を求められたので、次のように書きました。
「どこでも起きる大災害。全ての自治体職員に学んで欲しい」
ここに書いたように、近年、各地で大災害が起きています。これまで安全だったと思われていた地域ででもです。
そして、自治体の仕事が増えています。かつては、避難所の開設、公共施設の復旧が主でした。近年は、避難所での暮らしの支援、仮設住宅の提供、災害ゴミの処理、事業再開支援など範囲が広がりました。かつての経験も、起きてからの対応も、それでは不十分になったのです。

ママさん漫画、原発事故風評対策

原発事故はひとまず収束し、原子炉も安定的に停止しています。被災地も、一部を除き、住民の帰還が始まっています。それよりなにより、会津地方など福島県の多くの地域はそもそも放射線で汚染はされていません。しかし、まだ安心してもらえないこともあります。

復興庁や福島県などは、誤解を解くための広報を続けています。復興庁のホームページ主婦やお母さんにも理解してもらうこともしています。新たに、漫画「ママが行く福島ツアー」が載りました。ご覧ください。

被災地企業支援「結の場」

復興庁では、被災地域の企業が抱える多様な経営課題の解決を図るため、大手企業等が、技術、情報、販路など、自らの経営資源を幅広く提供する支援事業の形成の場として、「地域復興マッチング『結の場』」を実施しています。

11月11日には、福島県いわき市で行いました。どのようなものか、資料をご覧ください。被災側企業が14社、支援する側の企業が42社です。ありがとうございます。

被災地の経済復興状況調査

東北経済産業局が、第9回グループ補助金(中小企業等グループ施設等復旧整備補助金)交付先アンケート調査の結果を公表しました。それによると、被災地4県(青森、岩手、宮城、福島)の状況は次のようになっています。

1 雇用
・東北4県の現在の総雇用人数は、昨年に続き、震災直前を上回った(100.8%)。
・ 雇用人数の動き(増減)をみると、東北地域では震災前の水準以上まで回復した事業者の割合が57.4%となっている。
・ 業種別に見ると、東北地域では、震災前の水準以上に回復していると回答した割合は建設業(65.5%)が最も高く、次いで卸小売・サービス業(61.2%)となっている。一方、最も低いのは水産・食品加工業(38.7%)、次いで運送業(48.1%)となっており、依然として水産・食品加工業の雇用回復が遅れている。

2 売り上げ
・東北4県の現在の総売上高は、震災直前を上回ってることが分かった(117.0%)。
・ 売上状況(増減)をみると、東北地域では震災直前の水準以上まで回復している事業者の割合が45.8%となっている。
・ 業種別に見ると、東北地域では、震災前の水準以上に回復していると回答した割合は建設業(74.1%)が最も高く、次いで運送業(58.2%)となっている。一方、最も低いのは水産・食品加工業(32.4%)、次いで旅館・ホテル業(34.1%)、卸小売・サービス業(34.8%)となっており、回復が遅れている。

3 売り上げが回復しない理由
・ 現在の売上が震災直前の水準まで回復していないと回答した事業者のうち、東北地域では「既存顧客の喪失」(35.5%)を要因として最も多く回答しており、次いで「原材料・資材・仕入れ等価格の高騰」が14.3%、「従業員の不足」が13.5%の順で続いている。
・ 東北地域で業種別にみると、「既存顧客の喪失」は卸小売・サービス業(42.7%)で、「従業員の不足」は運送業(37.1%)で、「原材料・資材・仕入れ等価格の高騰」は水産・食品加工業(25.3%)で、「風評被害」は旅館・ホテル業(24.4%)でそれぞれ最も割合が高くなっている。(要因は複数回答)

第一原発事故の映画

きょうの放課後、角川映画「フクシマフィフティ」の試写会に行ってきました。公開は来年3月とのことです。概要は、ウエッブサイト(のムービーリスト)で見ることができます。

事実を基にした物語で、ドキュメンタリーではありません。しかし、あの時、第一原発では何が起きていたか、所員たちは命がけで何をしていたかが、よくわかります。
大津波で電源を喪失し、真っ暗闇の中、原子炉の状態も分からない中、放射線量が上がり続けます。所長と作業員は、決死の作業を続けます。作業を邪魔する官邸と、当事者能力のない東電(映画では東都電力)本店幹部も出てきます。
水素爆発の映像、第一原発と原子炉の映像など、良く再現してあり、迫力があります。

そして、吉田所長役の渡辺謙さん、当直長役の佐藤浩市さんの演技は、すばらしいです。
この映画をどのように結末をつけるのか。原子炉建屋の水素爆発では、物語としては締まりません。見終わって私は「なるほど、このように締めるのか」と感心しました。ネタをばらしてはいけないので、そこは映画をご覧ください。

原発事故は、日本が忘れてはならない大事故です。しかし、大震災を経験した人も、原発事故の概要と全体像は、詳しくはご存じないと思います。また、8年以上の年月が経ち、記憶も薄れているでしょう。
制作者からは「後世に伝えるために作った」との紹介でしたが、まさにその意義があると思います。映画の迫力はすごいですね。書物で読む人は多くないでしょうが、このように映画なら多くの人に見てもらえます。
良い映画を作ってくださいました。

この映画はドラマなので、第一原発の事故と作業員の働きに焦点が当たっています。
このほか原発事故に関して知ってもらいたいことに、避難を余儀なくされた多くの住民の行動と苦悩、復興への取り組み、そして第一原発の廃炉作業もあります。それらを、一本の映画に盛り込むことは難しいですが。
お勧めです。公開されたら劇場に行ってください。