カテゴリー別アーカイブ: 災害復興

行政-災害復興

災害時施設運営管理者研修

災害時施設運営管理者研修を紹介します。NPOの「ダイバーシティ研究所」が行っている研修です。

災害時に、多くの人が近くの施設、公民館や体育館などに避難してきます。そこが、避難所に指定されていても、いなくてもです。
ところが、それらの施設の職員は、必ずしも、避難所運営の知識と経験を持っていません。さらに、近年は、公共施設の運営が民間委託され、職員が公務員でないことも多いのです。電気設備の保守点検の専門家や運動の指導員だったり。

これまでは、「緊急時だから、仕方ないよな」と言っていたのですが、これだけ災害が多発し、避難所暮らしが長引くと、そうも言っておられません。
生活環境も充実しつつあります。例えば、床にマットや畳を敷く、プライバシーのために間仕切りを作るなどです。
避難所運営の知識と経験の差で、避難所での混乱を防ぎ、避難者により快適な生活を送ってもらうことができます。

この研修は、東日本大震災や熊本地震等で実際に避難者支援活動に携わった経験や知見に基づき作成された研修プログラムです。
良いところに、目をつけてくださいました。
各自治体の方に、お勧めです。

読売新聞社説、復興庁延長

12月31日の読売新聞社説は「復興庁延長 被災地支える体制確保したい」です。

・・・東日本大震災からの復興は進んだとはいえ、まだ途上である。被災地を支えていく体制の確保が欠かせない。
震災後10年の期間限定で創設された復興庁を、2021年3月以降もさらに10年間存続させる方針が閣議決定された。福島県の支援を主な目的としている。原発事故の被災地の再生に、国が前面に立つのは理解できる。

12年に設置された復興庁は、首相の直轄組織で、各省庁からの出向者ら約500人で構成される。復興政策の立案や関連予算の一括要求を行ってきた。
様々な相談を1か所で受け付ける「ワンストップサービス」は、自治体から評価が高い。被災地の要望をくみ取る機能を果たしてきたと言えよう。
復興庁には、省庁の縦割りの弊害を排し、被災地復興の司令塔としての役割を、引き続きしっかり担ってもらいたい。・・・

・・・近年、全国で地震のほか、台風や豪雨の災害が続いている。復興庁の経験を、様々な被災地の再生に生かすことが求められる。
現在、災害に対する国の政策は、復興庁のほか、内閣府が担当している。内閣府の90人余りの担当者は、南海トラフ地震や首都直下地震などの被害想定や、防災計画の策定を手がけている。
与党内には、東日本大震災に特化した復興庁の延長ではなく、自然災害全般に対応する「防災・復興庁」の創設案もあった・・・
・・・延長5年目の25年度には、政府内で復興庁の組織の在り方が改めて検討される見通しだ。東北3県を中心とする被災地の復興状況を踏まえながら、支援の規模に見合った組織となるよう、適切に見直すことが大切である・・・

令和元年の回顧1、復興

年末になったので、今年も回顧を始めましょう。まず、第1回は、復興についてです。
引き続き、内閣官房参与、福島復興再生総局事務局長として、大震災からの復興に関与しています。

発災から、8年9か月が経ちました。津波被災地では、復興が着実に進んでいます。ほとんどの町で、工事は完了しました。「復興の状況」。避難者の数は、発災直後の47万人(推計)から、4万9千人にまで減りました。そのうち、応急仮設住宅にいる人は、7千人です。「避難者数の推移

原発被災地では、大熊町の一部で避難指示が解除されました。また、双葉町でも3月に一部が解除されます。これで、全町が避難指示区域の町はなくなりました。もっとも、大熊町も双葉町も一部で、多くの区域は立ち入り禁止のままです。双葉町は、まだ住民が住むことは予定されていません。
JR常磐線が、3月に全通します。東京オリンピックの聖火が、Jビレッジから出発します。復興が始まっていることを、全国の人に見ていただきたいです。それがまた、関係者の元気につながります。

先日、「復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針」を決定しました。2021年3月で10年を迎えるので、その次の10年の方針です。
津波被災地は、次の5年間で、残った復興事業が完成します。しかし、原子力被災地は、復興はこれからです。当面、次の10年間、復興を進めます。5年後に状況を見て、事業の見直しを行います。

これまでに、避難指示解除ができるところは、ほぼ解除できました。帰還困難区域の一部に、復興拠点をつくっています。しかし、帰らないと決めている人も多く、これからは、帰還する人の支援とともに、新しい人の呼び込みが必要です。
その2へ続く。

原発処理水、安全と安心と

12月23日に、経産省の委員会が、第一原発で発生し続けている、トリチウム水の処理について、処分方法を2つに絞って提案しました。

事故を起こした第一原発では、地下水が原子炉建屋内に入って、放射能に汚染されます。これが汚染水です。それを機械で処理して、放射性物質を取り除きます。これには成功しているのですが、トリチウムだけが取り除くことができません。
ただし、トリチウム事態は放射能が弱く、環境に大きな影響は与えません。
発生し続けているトリチウムを含んだ処理水は、敷地内のタンクにためています。そのために、タンクを建て増していますが、これも限界が近づきつつあります。
健全な原発でも発生するので、それは海洋に流しています。「わかりやすい解説

この処理水も、科学的な知見では、健全な原発が流している基準、あるいはそれを下回る基準で海に流せば、問題はありません。
しかし、現在議論になっているのは、科学的安全ではなく、社会的安心です。海に流すことで、漁業に風評被害が起きるのではないかというのが、一番の論点です。
繰り返しますが、科学的に安全なのと、社会的に安心なのとは違います。福島産の農産物にも、ごく一部ですが、まだ風評が残っています。丁寧に説明することが必要です。

12月27日の朝日新聞社説「福島の処理水 地元との対話を重ねよ

「新しい東北」復興・創生顕彰

「新しい東北」復興・創生顕彰の選定結果が、発表されました。どのような活動が選ばれているかは、資料を見ていただくとして。
地元では、こんな活動があるのだと、勉強になります。

半島移住女子 ペンターン女子」は、気仙沼市唐桑半島に移住した女性たちの活動です。ペンターンは、ペニンシュラにIターンしたという、造語だそうです。若い女性が増えて、その後続いて男性が来てくれると、うれしいのですが。この発想は、邪道でしょうか。
一般社団法人 ISHINOMAKI 2.0 」は、石巻市を舞台に、さまざまな人たちをつなげ、町を活性化しようとする活動です。一言で、何をやっているか説明しにくいです。

いろんな新しい挑戦がされています。