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行政-災害復興

被災地首長、岩手宮城では復興進捗8割から10割

3月11日の産経新聞が、被災地42市町村長への調査結果を乗せていました。

各首長に復興の進捗状況を数値化してもらうと、岩手、宮城は80~100%でした。復興が進んでいることがわかります。
他方、福島では30~80%です。50%以下と答えた首長は、川俣町、浪江町、双葉町、大熊町です。富岡町といわき市は、数字で示すことは困難との回答でした(紙面では各市町村長の数値が出ています)。原発被災地では、まだ避難指示区域が残り、復興はこれからです。

各首長の「国や県などへの要望も含め、震災や原発事故に対する現在の考え」も載っています。

国の復興取り組み評価65%、全国世論調査

3月8日の福島民報が、全国世論調査結果(日本世論調査会)を載せていました。

被災地の復興について聞いたところ、順調に進んでいるが8%、どちらかといえば順調に進んでいるが47%で、合わせて55%でした。どちらかといえば順調に進んでいないが31%、順調に進んでいないが11%で、合わせて42%です。

国の復興や被災地支援の取り組みを評価しているかについては、大いに評価しているが5%、ある程度評価しているが60%で、合わせて65%です。余り評価していないが27%、全く評価していないが5%で、合わせて32%です。
3分の2の人が、評価してくださいました。

大震災を巡る訴訟

3月13日の毎日新聞が「閖上津波訴訟が和解 岩手・宮城の全件終結 仙台高裁」を伝えていました。
・・・東日本大震災の津波で宮城県名取市閖上の家族4人が犠牲になったのは防災行政無線が故障していたためとして、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審は12日、仙台高裁(山本剛史裁判長)で和解が成立した。これにより、震災での津波の犠牲を巡る岩手、宮城両県の集団訴訟は全て終結した・・・

これも、一つの区切りです。
原発事故関連の訴訟はたくさんあり、まだ続いています。ADR(裁判外紛争解決手続き)も、たくさん継続中です。NHKニュースウエッブ「和解手続きADR今も800件超

被災者意識調査

NHKが、被災3県の被災者を対象にアンケートを行いました。その結果の中から。

「当初、あなたが思い描いていた復興と比べて、今の復興の姿をどう考えますか?」という問には、
① 思い描いていたより良い 21%
② 思い描いた通りだ 20%
③ 思い描いていたより悪い 49%
で、悪いという回答が半分です。思い描いていたより良いが2割もあるのは、うれしいですね。

その内容を聞くと
A.道路や鉄道等の交通インフラ 復興した60%、していない21%
B.役所や病院、学校等の公共施設 復興した52%、していない23%
C. 地域経済 復興した14%、していない49%
D. 地域のつながり 復興した23%、していない44%
E. あなたの住まい 復興した46%、していない23%
F. 暮らし向き 復興した27%、していない32%
(「復興の実感がある」と「やや実感がある」を「復興した」に、「あまり実感がない」と「実感がない」を「していない」と集計しました)

すなわち、インフラ、公共施設、住まいは復興したのですが、地域経済、つながり、暮らし向きが復興していないのです。復興事業ではなく、産業やつながりが戻っていません。行政は「復興事業は終わった」と考えますが、住民にとっては、インフラ復旧や住宅再建が目標ではなく、暮らしの再建が目標です。
これは、難しいところです。産業やつながりが再建しないと、町のにぎわいは戻らないと考え、それらにも手を打ちました。しかし、「産業復興支援の難しさ」にも表示しましたが、これらはお金をつぎ込めばできるものではなく、役所だけでできるものではないのです。

また、この地域の多くは、被災前から人口減少が進んでいたところです。それが、被災を機に、他の地域へ転出することで、急速に進みました。土地のかさ上げや高台移転工事を、待てなかったのです。その中での復興なので、難しさが二重になります。
もちろん、被災地でなくても人口減少が激しいところは、たくさんあります。人口減少、地域の活力低下は、日本の重要課題なのです。

ところで、このアンケートは4000人中、回答は1965人。回答者の内訳は、平均年齢69歳、高齢世帯が41%、年金生活者が42%です。やや、偏りがあるようです。

あの日から9年、3月11日

今日は、3月11日。あの日から9年が経ちます。コロナウイルスを考慮して、政府主催や各地の慰霊祭は、縮小や取りやめになったようです。

新聞各紙が、先週から特集を組んでいます。どこまで復興が進んだか、課題は何かを、大きな紙面を使って報道してくれます。役所が知らないことも、拾って取り上げてくれます。ありがたいことです。

このホームページでも報告しているように、地震津波被災地ではほぼ復興工事は終わり、その面では10年の復興期間に事業は終わります。課題は、産業の再建やコミュニティの再建です。

原発被災地は、状況が全く違います。放射線量が高く、まだ避難指示が解除されていない地域もあります。避難指示解除は順次進んでいますが、住民は戻っていませんし、戻らないと決めた住民も多いです。
世界でも初めての課題に取り組んでいます。この難しい課題に、継続して取り組む必要があります。