「再チャレンジ」カテゴリーアーカイブ

行政-再チャレンジ

育児しにくい企業を去る父

11月6日の日経新聞に「育児しにくい企業 パパ去る」が載っていました。
・・・育児を理由に働き方を変える男性が増えている。夫婦で平等に家事や育児を担う考えが若い世代を中心に広がっていることが要因で、長時間労働が常態化し柔軟な働き方ができない企業からは転職・退職を選ぶケースもある。男性の人材流出を防ごうと、業務や風土の見直しにより残業を抑制したり、働く親のネットワークを強化したりする会社も出てきた・・・

詳しくは記事を読んでもらうとして、図がついています。「将来のパートナーに対する未婚男性(18~34歳)の期待」です。1987年頃は、専業主婦コースと再就職コースがそれぞれ40%くらいで、両立コースが10%ほどです。その後、専業主婦コースは激減し、最近では10%を下回っています。再就職コースも近年減って30%ほどです。両立コースが急増し、現在は40%程度です。

11月21日の日経新聞「私見卓見」、前田将吾・博報堂キャリジョ研プラス研究員の「男性にこそ家事育児両立支援を」には、次のような話が載っています。
・・・23年の内閣府男女共同参画白書では、共働き世帯においても、妻の家事関連分担率が77.4%にのぼるという結果がでた。企業はこのような不均衡を解消していく責務があるだろう。
近年、女性社員に対して仕事と家事育児の両立を支援する企業が増えているが、家事育児の負担が妻に偏っている現状において女性側に両立を促すだけでは限界がある。むしろ男性側の両立を促すことが重要だ。
私たちが実施した意識調査では「出産育児関連の制度が整っている会社で働きたい」と答えた人の割合は、男性全体では36%だったが、男性20代は50%、30代は43%と高かった。男性も仕事と家事育児の両立という視点で企業を評価し始めているようだ・・・

女性の社会での活躍についての社会の意識が、急速に変化しました。女性だけでなく、夫もそれを理解しました。職場の方が、それに追いつけていません。

夫や妻の海外帯同

10月30日の日経新聞に、「海外帯同 キャリアつなぐ」という記事が載っていました。

・・・配偶者の海外転勤について行っても、キャリアを途絶えさせない新たな「駐妻」や「駐夫」のロールモデルができつつある。共働きが当たり前になる中、長年のブランクはキャリアの妨げになりかねない。人手不足が進み、配偶者の転勤への帯同で社員を失うのは企業にとっても痛手だ。配偶者の海外転勤への帯同を理由に社員が休職できる制度の導入や、帰国後の再就職を支援する動きが出てきている・・・

海外駐在に帯同するのは妻に限りません。夫がついていく場合もあります。国家公務員にもそのための休職制度があります。それを使っている職員もいます。かつて専業主婦が当たり前の時代とは、変わりました。
他方で、企業勤めの知人は、5年ほど前に夫が海外勤務になりましたが、帯同休職制度がなかったので、夫が単身で赴任しました。徐々に変わるでしょうね。

男らしさのつらさ

10月26日の日経新聞夕刊に「男性らしさへの向き合い方」が載っていました。

男性と聞いたとき、無意識に思い浮かべるイメージはないだろうか。内閣府の調査によると、女性より男性の方がいわゆる「男性らしさ」の規範にとらわれがちな様子が浮かび上がる。これが生きづらさにつながっている人もいるだろう。男性像を巡る近年の議論や状況について専門家に聞いた。

「求める像ひとつではない」日本男性相談フォーラム代表理事の福島充人氏
――電話による男性相談事業を続けてきました。
「1995年に前身となる団体がホットラインを開設した。現在月3回、夜間に相談を受けている。私たち相談員も男性であり、当事者の目線を持ち対話する姿勢を重視している。相談は強くあろうとする男らしさのよろいと、弱さがせめぎあう葛藤と矛盾の場だ。年間150〜200件ほど電話がかかってくる。近年は減ったが、それでも無言は15%を占める」
「男性相談は言葉を発するまでに高いハードルと長い滑走路があるといわれる。こんな話を聞いてもらえてうれしかった、といって電話を切る人は多い」

――悩みを共有できる場が少ないのでしょうか。
「男性はそもそも悩みを語り合う場があまりないし、語っていいと思っている人も少ないというのが実感だ。それは望まない孤立も生んでいる」

単身高齢者サービス契約の問題

10月15日の朝日新聞「おひとりさまの「困った!」対策は? 日本総合研究所・沢村香苗さんに聞く」から。後段で提案されている、自治体の役割は必要でしょうね。

・・・身寄りがない高齢者を主な対象に、入院時の身元保証、死後の葬儀や遺品処理などのサービスを提供する事業者が増え、トラブルも起きています。いま求められることは・・・

・・・私たちが単身世帯に実施した調査では、夫を亡くした高齢女性と、未婚の男性が多くいました。一人暮らしではない高齢夫婦も、どちらかが入院すればそれぞれが「おひとりさま」になるかもしれない。困ったとき、それを助ける人が周りにいないことが問題です。
たとえば、入院するときに保証人がいない。介護保険制度は、本人にふさわしいサービスを選んで契約することになっていますが、その手続きをする家族がいない。調子が悪いなかで終末期医療をどうするかも考えないといけない。退院して5階建ての団地には戻れないから転居するとしても、新しい家を探したり契約したり。実際に動いて手伝う人がいません。
死んだ後、残った空き家やペットは。自分の葬儀は。決めておいたとしても、決めてあることさえ誰にもわからなくなる可能性があります。
ケアマネジャーらが本来業務を超えて支えてきた面もあります。事例が増えすぎ、これ以上支えられないという声を聞くようになってきました。
さまざまなニーズに応えるように、民間の事業者が増えています・・・

・・・契約書も、いろいろな項目があってわかりづらい。体調を崩すなどして、これから入院、入所しようかという高齢者がしっかり理解して契約するのは相当難しい。
生活支援を提供するといっても、本当に必要なときだけ支援するのか、電球をかえるなど日常の困りごとにも対応するのか、事業者によって範囲が全然違います。
利用者としては、やってほしいことは何かを決め、事業者に「これはやってくれるのか」「いくらでやってくれるのか」と確認しながら選ぶしかないのが現状です。

短期的には、標準的なサービスや、「重要事項は説明してください」など注意事項をまとめた公的なガイドラインを示す必要があります。静岡市は、自治体が事業者を認証して優良なところの情報を提供する仕組みを始めようとしています。
中長期的には、国なり自治体なりが何をするのかを改めて考えていく必要があると思います。未婚の人や離婚が増えており、今後、さらに多くの人にかかわる問題になっていきます。特に都市部では高齢期を「おひとりさま」で迎える人が、すごく増えるでしょう。
その際、どういう人がどう困るのかを整理しないといけません。「おひとりさま」も、お金や判断力の有無によって、困っていること、その解決策は違います。一様ではないのです。そして、全員に少なくともこれを担保するべきだとしっかり決められるなら、そこに公的なお金が入ることに、社会的な合意がえられるかもしれません・・・

「過労死白書」睡眠不足、うつ病リスク

厚生労働省が2023年版の「過労死等防止対策白書」を発表したことを、各紙が伝えていました。眠れないからうつ病になるのか、うつ病だから眠れなくなるのか。相互関係にあるのでしょうね。10月14日の読売新聞「睡眠不足 うつ病リスク 過労死白書

・・・睡眠時間と精神状態の関係を比較したところ、うつ病や不安障害の疑いがある人の割合は、理想の睡眠時間を確保している場合や、理想より1時間不足している場合では20%未満だった。これに対し、理想から2時間不足すると約28%、3時間不足すると約37%に上り、理想と実際の睡眠時間の差が広がると、精神状態が悪化する傾向が見られた。
また、前日の疲労を翌朝に持ち越すことがある人の割合は、労働時間が「週20〜40時間未満」で約53%だったのに対し、「週60時間以上」では約69%に達した。白書は「労働時間が長い人は疲労を翌日に持ち越しやすく、うつ傾向も高い。心身の健康を保つため、睡眠時間を確保することが重要になる」としている・・・