カテゴリー別アーカイブ: 再チャレンジ

行政-再チャレンジ

新しい仕事19

17日の朝日新聞オピニオンは、「労組は誰の見方ですか」で、連合会長がインタビューに答えていました。
「連合は正社員クラブだとか、大手企業の正社員と公務員の護送船団だとか批判されています」との問いかけに、「現状では、もっともだと言わざるをえません。パートの人たちに『組合を一緒にやりましょう』と言っても、まず帰ってくる返事は『今さら何を言ってるんですか。長い間ほったらかしてきたのに』ですから」「企業別組合が圧倒的に主流で、塀の内側の正社員の雇用を守ることを優先し、塀の外は知らないよという意識を引きずっている」

新しい仕事18

16日の日経新聞経済教室は、松木大日本政策投資銀行調査役が、「融資担保に動産活用」として、流動資産担保融資(ABL)を解説しておられました。これまでの融資が、土地を担保にしたり、個人保証ばかりだったのを、商品や機械なども担保にするものです。
解説の中に、これが再チャレンジの一環だと書かれています。すなわち、一度事業に失敗した人が再度、起業しようとしたときに、銀行は金を貸してくれない、あるいは高い金利を取るのだそうです。担保を出せと言われても、借金が残っているくらいですから、ありません。再起業する際に、このような新しい手法が必要なのです。一度失敗した人の方が、初めての人より成功率が高いという報告もあります。しかし、これまで銀行は、土地担保と個人保証でしか、金を貸してくれませんでした。事業の将来性を評価しない、できなかったのです。
別に新聞が書いているように、規制緩和で雇用法制を緩和することも、再チャレンジに重要なことです。このように、再チャレンジのためには、いろんな制度を変えていく必要があります。

新しい仕事17

今日は、公明党の雇用・再チャレンジ本部に呼ばれ、状況を説明しました。この仕事は、官僚だけでできる仕事ではありません。政党・政治家が関心を持ってくださることは、ありがたいことです。そもそも、官僚は自分たちが勝ち組なので、負け組や再チャレンジに最も遠い人たちです。それに比べ、政治家は広く国民に接し、困難な状況に置かれた人たちから、要望を聞いておられますから、有力なチャンネルなのです。
記者さん達も大きな関心を持ってくれて、毎日何人もの人が取材に来てくれます。携帯を鳴らす記者も・・。まあ、それは喜ぶべきことなのでしょう。彼らに理解してもらえないような仕事では、国民に分かってもらえないですよね。なるべく状況をお話しし、何ができるか、何ができないかを理解してもらうようにしています。そうでないと、間違った期待をされると困りますから。そして、彼らと話していると、何が欠けているかがよく分かります。その点は、私にとっての先生です。
再チャレンジ室ができて、約1か月が経ちました。早いものです。この間に、再チャレンジプランを年内につくることとし、枠組みを設定しました。そこに盛り込む予算は要求を追加してもらい、これから査定を受けてその結果を盛り込みます。次は、関係法律改正です。いくつかのタマを出してもらっているので、それをこれから成案にしてもらい、プランに盛り込みます。その他いくつか案件を抱えていて、それらも道筋が着けば、プランに盛り込みたいと思っています。それぞれ担当者が、困難な課題に時間との勝負で取り組んでいます。
毎日、新しい課題が生じ、それへの対応に追われているので、もう何ヶ月も経ったような気がします。もっとも、私は職員を督励し、先々を考えることが仕事なので、まだ中くらいの時間で生活しています。毎日の仕事に追われ、短い時間で生活している職員達にとっては、時間は光速で過ぎていっているでしょう(短い時間と中くらいの時間については、拙「新地方自治入門」p254、p312参照)。

新しい仕事16

再チャレンジ支援策の、平成19年度予算概算要求がまとまりました。概算要求は、例年8月末で締め切ります。今回は、財務大臣が追加要求を認めたので、10月末で再度締め切りました。もちろん、これは要求金額なので、これから査定を受けます。また、再チャレンジ支援策は、お金で解決できないものも多いのです。しかし、お金で、支援や支援の仕組みができるものもあります。着実に、仕事は進んでいます。

新しい仕事15

8日の朝日新聞夕刊文化欄で、長友佐波子さんが「格差社会、抜け落ちた視点。『女性はパート』で差別」を書いておられました。日本では、男性は正社員、女性はパートという図式が、女性とパートを差別してきた。パート労働者は正規に比べて待遇が悪いのが当たり前。平成不況後、男性がパートに大量に入ってきて、大問題になったが、パート差別はずっと問題だったという指摘です。正しい指摘ですね。女性とパートを二重に差別してきた。それを当たり前と考えていたのです。それが、ここにきて顕在化したのです。
日本の労働法制は、夫は働き、女性は結婚してその扶養者になることを前提としているようです。社会保険も、妻は夫の扶養者になる建前でできています。一方で、欧州ではパートと正社員も、同じ仕事は同じ時給、保険も適用されるそうです。そもそも、「正規職員・非正規職員」に当たる英語がないそうです。日本では、同一賃金同一労働ではありません。差別をなくし、格差をなくし、複線型社会をつくるためには、この社会システムを変える必要があるのです。
日本では、18歳か22歳の時の入社試験に勝った人が勝ち組です。新卒一括採用・年功序列・終身雇用・退職金で、勝ち組は守られます。そこに入れなかった人は、負け組です。これを変えるためには、パートと正社員の処遇を近づけることが必要です。でもそれは、勝ち組の処遇を引き下げることになるでしょう(賃金総額が同じとすれば)。それは、勝ち組も労働組合(=勝ち組の既得権保護団体)も反対することなのです。
日本には、ジョブ・ディスクリプション(職務記述書、職務内容書)がないことも、この現れだそうです。職務記述書とは、それぞれの職員が担当する職務の内容を書いたものです。会社は、仕事の内容を明示し、その仕事に対してこれだけの給料を払うと提示します。まあ、労働を商品だとしたら、当たり前のことですよね。これだけの仕事をしたら、これだけ払うということですから。欧米だけでなく、アジアでもこれが当たり前だそうです。
一方、日本では、「月給××円。委細面談」です。また私のような職場では、滅私奉公、無定量の労働を求められ、その代わり最後まで面倒見てやるから、という仕組みでした(もっとも、過去形になりつつあります)。これだけ働いたらこれだけ給料を払うという仕組みではないのです。逆に、これだけ働かなくてもこれだけ給料を払うということも、まかり通っていました。世界で展開している日本の大企業は、どのようにしているのでしょうか。日本人には年功序列システムを適用し、外国人には同一労働同一賃金システムを適用して、別制度を同居させているのでしょうか。