カテゴリー別アーカイブ: 再チャレンジ

行政-再チャレンジ

進む中央省庁の男性育休

10月2日の朝日新聞夕刊に「公取委だけクリア 公務員男性育休「25年に85%」、中央省庁は」が載っていました。

・・・2025年までに公務員の男性育児休業取得率を85%に――。「異次元の少子化対策」を掲げる岸田文雄政権が打ち出した目標だが、その数字をすでにクリアしている中央省庁が一つだけある。「競争の番人」こと公正取引委員会だ。
内閣人事局が昨年12月に公表した統計によると、21年度の公取委の男性育休取得率は87・5%。計25の中央省庁の平均34・0%を大きく上回る高い数字だ。
「(育休を)取って当然という空気があることは大前提」。公取委企業取引課の岩宮啓太総括補佐(35)はこう語る。21年2月に次男が誕生。翌月から約1カ月半にわたって育休を取得した・・・

省庁別の男性職員育児休業取得率も、表になって載っています。
関係者から「宣伝せよ」との指示が来たので、紹介します。

学童保育が足りない

9月15日の読売新聞に「学童保育が足りない」が載っていました。学童保育の必要性と不足していることは、このホームページで何度か取り上げました。この記事では、その原因にも踏み込んでいます。

・・・こども家庭庁によると、全国の待機児童は今年5月時点で、1万6825人。2019年に過去最多の1万8261人になった後、コロナ禍での預け控えで減少していたが、行動制限が緩和された昨年から、再び増加に転じている・・・

・・・こども家庭庁は待機児童の解消策として、学校内での学童保育の整備を柱に据える。空き教室を使うことで費用を抑えられるうえ、放課後に児童が移動する必要がなく安全で、保護者からの人気も高いためだ。

だが、新設の学童保育の8割を学校内に設けるという目標に対し、5割にとどまっている。その要因の一つが、「縦割り行政」。学校は文部科学省の所管で、市区町村の教育委員会も独立性が高く、学童保育を推進したい担当部局との連携がうまくいっていない。
このため、空き教室の確保が進んでおらず、こども家庭庁は7月に文科省と協議を開始。8月末には合同で、全国の教育委員会などに対し、学校内での整備の促進を求めた・・・

子どもが不登校になったら

9月12日の朝日新聞教育欄に「親の苦悩、同じ立場の人とつながって 娘が不登校、臨床心理士の鈴木晶子さんに聞く」が載っていました。

・・・もし我が子に「学校に行きたくない」と言われたら、あなたならどう対応しますか? 臨床心理士で、不登校やひきこもりの当事者や保護者らを長年支援している認定NPO法人「フリースペースたまりば」(川崎市)の事務局次長・鈴木晶子さん(45)は、娘が不登校という当事者でもあります。自身の経験も踏まえ、親が同じ立場の人とつながることが大切だと言います・・・

子どもが不登校になったら。親や周りの人はどのようにしたら良いか、分かりませんよね。学校でも世間でも、教えてもらっていません。これまでの学校教育は「よい子に育てる」を目標としてきたので、そこから外れた子どもを考えてこなかったのです。
それは、職場でも同じです。良い職員や社員を育てる研修はあったのですが、そこから外れた社員をどのように指導するのか、これまでは研修内容に入っていませんでした。でも、「良い生徒」も「良い社員」(これらは組織の側から見た評価です)も、教師や上司には手がかからないのです。

外国人向け認可外施設

8月28日の朝日新聞に「外国人向け認可外施設、足りぬ「保育士」 日本の資格者確保 無償化の条件、滋賀県が緩和訴え」が載っていました。現行制度から漏れ落ちる人を、どのように拾い上げるか。原文をお読みください。

・・・約1万人のブラジル人が暮らし、製造業を支える滋賀県。外国籍の子どもたちの受け皿となっている認可外保育施設が、国の幼児教育・保育の無償化の基準見直しを訴えている。条件となる「日本の保育士資格を持つ職員」の確保が難しいためだ。外国人向けの保育施設が多い全国の自治体も、同じ事情を抱える。

滋賀県愛荘町のブラジル人学校兼保育施設「サンタナ学園」。1998年、日系2世の中田ケンコ校長(66)が始めた。保育施設には現在、0~5歳のブラジルやフィリピンの外国籍の子どもたち22人が県内8市町から通う。
2019年10月から始まった幼保無償化。認可外保育施設が対象となるには、保育士資格者の数や、子ども1人あたりの保育室の面積など、国の一定の基準を満たす必要がある。ただし、来年9月末まで5年間の猶予期間が設けられた。
学園では4年前から日本人スタッフが働き、日本語で書類作成をするなど基準を満たす努力をしてきた。しかし今秋行われる施設への立ち入り調査で、基準を満たせる見通しは立っていない。
最も高いハードルが、日本の保育士資格を有する職員を確保することだ。中田校長は「言葉の問題から、ブラジル人が日本の保育士資格を取るのは難しい。25年間続けてきたが、無償化が打ち切りになれば非常に厳しい」と話す。
学園に通う子どもや保護者の大半は、日本語が不自由だ。保育士には、ポルトガル語やブラジル文化の理解が欠かせない。ブラジルの教員資格を持つ職員が数人いるが、日本の保育士資格を持つ職員はパート1人。学園の規模では、最低2人の保育士が常勤勤務する必要があるという・・・

孤独・孤立の支援、寄り添う自治体

8月24日の朝日新聞に、「孤独・孤立の支援、寄り添う自治体」が載っていました。徐々に、孤立孤独対策の重要性と、その対策技法(これまでの行政手法と異なること)が理解されつつあります。

・・・孤独・孤立対策推進法は来年4月に施行される。背景には孤独・孤立が心身に有害な影響を与えることへの懸念がある。国は対策推進本部を設置し、対策の重点計画を作成する。
ただこれまでも市区町村は孤独・孤立対策を進めてきた。その現在地を知ることができるのが、地域福祉が専門の加山弾・東洋大学教授の論考だ。

論考によれば、近年の孤独・孤立支援の大きな転換点は2017年と20年の社会福祉法改正だった。「福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立」は解決すべき「地域生活課題」の一つと位置付けられた。具体的な施策としては、市区町村が任意で「重層的支援体制整備事業」を実施できるようになった。ワンストップの相談窓口の設置や、複数の機関による連携支援を可能にする、制度的・予算的な裏付けができたことから、加山さんは「近年では類例のない改革」だと評価した。
加山さんによれば、従来の福祉はいわば「タテ割り」。支援や給付を受けるためには、当事者が役所で申請する必要があるが、そうした支援だけでは、複雑で複合的な課題に対応することが難しくなっているという。「孤立している人は制度を利用できることを知らない、または支援を受けようとしない場合が多い」
加山さんが把握したある親子の事例では、不安定な就労や障害の疑い、家賃未払い、いじめなどの複数の課題を抱えながら孤立していた。こうしたケースへの対応で求められるのが「アウトリーチ」と「伴走型支援」だと加山さんは言う。
前者は当事者からの依頼を待たずに、支援者側から発見・接近して、ニーズを把握する。後者は就労や障害などの課題解決にとどまらず、当事者とつながりを持ち続けることを目的とする・・・