カテゴリー別アーカイブ: 再チャレンジ

行政-再チャレンジ

夫や妻の海外帯同

10月30日の日経新聞に、「海外帯同 キャリアつなぐ」という記事が載っていました。

・・・配偶者の海外転勤について行っても、キャリアを途絶えさせない新たな「駐妻」や「駐夫」のロールモデルができつつある。共働きが当たり前になる中、長年のブランクはキャリアの妨げになりかねない。人手不足が進み、配偶者の転勤への帯同で社員を失うのは企業にとっても痛手だ。配偶者の海外転勤への帯同を理由に社員が休職できる制度の導入や、帰国後の再就職を支援する動きが出てきている・・・

海外駐在に帯同するのは妻に限りません。夫がついていく場合もあります。国家公務員にもそのための休職制度があります。それを使っている職員もいます。かつて専業主婦が当たり前の時代とは、変わりました。
他方で、企業勤めの知人は、5年ほど前に夫が海外勤務になりましたが、帯同休職制度がなかったので、夫が単身で赴任しました。徐々に変わるでしょうね。

男らしさのつらさ

10月26日の日経新聞夕刊に「男性らしさへの向き合い方」が載っていました。

男性と聞いたとき、無意識に思い浮かべるイメージはないだろうか。内閣府の調査によると、女性より男性の方がいわゆる「男性らしさ」の規範にとらわれがちな様子が浮かび上がる。これが生きづらさにつながっている人もいるだろう。男性像を巡る近年の議論や状況について専門家に聞いた。

「求める像ひとつではない」日本男性相談フォーラム代表理事の福島充人氏
――電話による男性相談事業を続けてきました。
「1995年に前身となる団体がホットラインを開設した。現在月3回、夜間に相談を受けている。私たち相談員も男性であり、当事者の目線を持ち対話する姿勢を重視している。相談は強くあろうとする男らしさのよろいと、弱さがせめぎあう葛藤と矛盾の場だ。年間150〜200件ほど電話がかかってくる。近年は減ったが、それでも無言は15%を占める」
「男性相談は言葉を発するまでに高いハードルと長い滑走路があるといわれる。こんな話を聞いてもらえてうれしかった、といって電話を切る人は多い」

――悩みを共有できる場が少ないのでしょうか。
「男性はそもそも悩みを語り合う場があまりないし、語っていいと思っている人も少ないというのが実感だ。それは望まない孤立も生んでいる」

単身高齢者サービス契約の問題

10月15日の朝日新聞「おひとりさまの「困った!」対策は? 日本総合研究所・沢村香苗さんに聞く」から。後段で提案されている、自治体の役割は必要でしょうね。

・・・身寄りがない高齢者を主な対象に、入院時の身元保証、死後の葬儀や遺品処理などのサービスを提供する事業者が増え、トラブルも起きています。いま求められることは・・・

・・・私たちが単身世帯に実施した調査では、夫を亡くした高齢女性と、未婚の男性が多くいました。一人暮らしではない高齢夫婦も、どちらかが入院すればそれぞれが「おひとりさま」になるかもしれない。困ったとき、それを助ける人が周りにいないことが問題です。
たとえば、入院するときに保証人がいない。介護保険制度は、本人にふさわしいサービスを選んで契約することになっていますが、その手続きをする家族がいない。調子が悪いなかで終末期医療をどうするかも考えないといけない。退院して5階建ての団地には戻れないから転居するとしても、新しい家を探したり契約したり。実際に動いて手伝う人がいません。
死んだ後、残った空き家やペットは。自分の葬儀は。決めておいたとしても、決めてあることさえ誰にもわからなくなる可能性があります。
ケアマネジャーらが本来業務を超えて支えてきた面もあります。事例が増えすぎ、これ以上支えられないという声を聞くようになってきました。
さまざまなニーズに応えるように、民間の事業者が増えています・・・

・・・契約書も、いろいろな項目があってわかりづらい。体調を崩すなどして、これから入院、入所しようかという高齢者がしっかり理解して契約するのは相当難しい。
生活支援を提供するといっても、本当に必要なときだけ支援するのか、電球をかえるなど日常の困りごとにも対応するのか、事業者によって範囲が全然違います。
利用者としては、やってほしいことは何かを決め、事業者に「これはやってくれるのか」「いくらでやってくれるのか」と確認しながら選ぶしかないのが現状です。

短期的には、標準的なサービスや、「重要事項は説明してください」など注意事項をまとめた公的なガイドラインを示す必要があります。静岡市は、自治体が事業者を認証して優良なところの情報を提供する仕組みを始めようとしています。
中長期的には、国なり自治体なりが何をするのかを改めて考えていく必要があると思います。未婚の人や離婚が増えており、今後、さらに多くの人にかかわる問題になっていきます。特に都市部では高齢期を「おひとりさま」で迎える人が、すごく増えるでしょう。
その際、どういう人がどう困るのかを整理しないといけません。「おひとりさま」も、お金や判断力の有無によって、困っていること、その解決策は違います。一様ではないのです。そして、全員に少なくともこれを担保するべきだとしっかり決められるなら、そこに公的なお金が入ることに、社会的な合意がえられるかもしれません・・・

「過労死白書」睡眠不足、うつ病リスク

厚生労働省が2023年版の「過労死等防止対策白書」を発表したことを、各紙が伝えていました。眠れないからうつ病になるのか、うつ病だから眠れなくなるのか。相互関係にあるのでしょうね。10月14日の読売新聞「睡眠不足 うつ病リスク 過労死白書

・・・睡眠時間と精神状態の関係を比較したところ、うつ病や不安障害の疑いがある人の割合は、理想の睡眠時間を確保している場合や、理想より1時間不足している場合では20%未満だった。これに対し、理想から2時間不足すると約28%、3時間不足すると約37%に上り、理想と実際の睡眠時間の差が広がると、精神状態が悪化する傾向が見られた。
また、前日の疲労を翌朝に持ち越すことがある人の割合は、労働時間が「週20〜40時間未満」で約53%だったのに対し、「週60時間以上」では約69%に達した。白書は「労働時間が長い人は疲労を翌日に持ち越しやすく、うつ傾向も高い。心身の健康を保つため、睡眠時間を確保することが重要になる」としている・・・

不登校の小中学生29万人、4割は専門相談せず

文科省の昨年度調査で、不登校の小中学生は29万人に上ったことを、各紙が伝えていました。10月4日付け朝日新聞1面「不登校2割増、最多29万人 小中、4割専門相談せず

・・・学校現場の様々な課題を把握するため、文部科学省が実施する「児童生徒の問題行動・不登校調査」の2022年度の結果が判明した。不登校の小中学生は過去最多の約29万9千人。前年度比22・1%の大幅増となった。うち学校内外の専門機関に相談していない児童生徒も過去最多の約11万4千人。いじめは小中高などで約68万2千件が認知され、被害が深刻な「重大事態」は923件。いずれも過去最多だった・・・

この調査が出る前ですが、9月17日の読売新聞に、小林雄一・教育部主任の「不登校24万人 居場所作り急務」が載っていました。
・・・病気や経済的な理由以外で学校を長期間休むのが不登校だ。関心が寄せられるようになったのは、1960年代。登校できない、登校しない子どもの存在が顕在化し、文部省(当時)は66年度から、長期欠席者の統計を取り始めた。当時は、「学校ぎらい」「登校拒否」などと呼ばれ、特定の子が「怠けている」と見る向きが強かった。
80年代に入ると、校内暴力や体罰、いじめが社会問題化し、その主な現場の学校を忌避する児童生徒が増える。文部省の有識者会議は92年に「登校拒否はどの児童生徒にも起こりうる」と認識を転換。98年度からは、名称が「不登校」に統一され、年30日以上欠席している状態と定義された。
世間の意識を大きく変えたのが、2011年10月に大津市で起きた中2男子生徒(当時13歳)のいじめ自殺だ。「自殺するぐらいなら学校に行かなくてもいい」という考えが広がり始めた。16年度に成立した「教育機会確保法」は、学校以外での学習を広く認め、そこには休養の必要性も明記。文部科学省は、不登校の児童生徒を支援する際は「登校という結果のみを目標とするのではない」という基本指針を示し、登校を前提としないことを認めた。
不登校の小中学生は、最近10年間で2・1倍に増えた。中学校では、クラスに2人の不登校者がいる計算となる・・・

・・・だが、21年度の問題行動・不登校調査によると、不登校当事者の36%(約8万9000人)が学校や教育委員会、民間の支援団体の相談・指導を受けていなかった。年90日以上の長期欠席者がその半数強を占め、引きこもり状態の子も相当数いるとみられる。
相談先の一つとなるのが、教育委員会などが設置する教育支援センター(適応指導教室)だが、実際に開設しているのは約63%の自治体にすぎない(17年時点)。
その先にある「居場所」の拡充も急がなければならない。不登校の子の受け皿として誕生し、学びや体験の機会を提供するフリースクールは全国に500か所程度あるとされる。だが民間施設のため、月数万円の費用がかかる例が多く、負担を感じる家庭も多い。学校や教育委員会だけではなく、行政の福祉部門による家庭への目配りも欠かせない。支援の網の目を細かくし、一人ひとりに合わせた対応が求められている・・・