11月24日の朝日新聞「フードバンクの今:下」「持続可能な活動へ、行政の役割とは」から。
・・・困窮している人たちへの食料支援で大きな役割を担うフードバンクだが、企業や個人の寄付で運営しており、多くの団体はぎりぎりの状況で活動を続けています。支援を持続可能なものにするには何が必要なのでしょうか。
徳島県は昨年12月、フードバンクなどの困窮者支援団体や子ども食堂に、無償で食品を提供する事業を全国に先駆けてスタートした。
カップ麺などの県産食品セットや県産米、菓子パンなどの食品の提供費用として、補正予算で5億円を計上した。1団体あたりの上限は月200人分を目安とした。
県によれば、7月末までに、県内約130団体に県産米約118トン、県産食品セットは約2・6万人分を提供、9月末でいったん受け付けを終了した。その後、9月の補正予算で新たに予算を確保、来年1月末まで食品の無償提供を続ける予定という。
急きょ事業を立ち上げたきっかけは、福祉団体や社会福祉協議会などを通じて困窮者に食料を提供するNPO法人フードバンクとくしま(徳島市)が食料不足に陥っているという情報が届いたことだった。
県国保・地域共生課の加藤貴弘課長は「物価高騰で生活困窮者の暮らしはより深刻になっている。フードバンクに十分な食料が集まらなくなれば、そこから食品を受け取る様々な団体も活動継続が難しくなる恐れがある」と説明する・・・
・・・物価高騰やSDGsへの意識の中で減っているとされる企業の食品ロスだが、さらに食品ロス削減を進めるため、消費者庁は、関係省庁と連携しフードバンクを「重要なパーツ」(自見英子消費者相)として捉え、年内に施策パッケージをとりまとめようとしている。
企業にとって、食中毒などの事故が起きた場合に法的責任を追及されることや、寄付した食品が転売されて企業の評価低下につながることなどへのおそれは、食品寄付のハードルを高くしている。そこで、一定の基準を設けて、損害賠償などの責任を軽減する仕組みを検討している。
また、農林水産省ではこれまでは主に食品ロス削減の観点から捉えていたフードバンク活動を、十分な食料が得られない経済弱者を支える役割として捉え、支援することを検討している。24年度予算の概算要求では、新たに約10億円を盛り込み、フードバンクや子ども食堂などが食品取扱量を増やすために必要な倉庫費などを補助することを予定している・・・
12月9日の朝日新聞別刷りbeには、「行政による食料支援 民間と連携、生鮮食品含め提供」が載っていました。
・・・物価高騰のなかで値上げが相次ぐ食品類。家計が苦しく、日々の食べ物を手に入れるのに苦労する人が増えています。こうしたなか、生活に困窮した人に対する緊急の食料支援に本格的に乗り出す自治体が出てきました。民間の取り組みが先行する食料支援に、行政はどう関わっているのでしょうか。全国に先駆けて取り組む長野県と東京都板橋区の実践を報告します・・・
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