カテゴリー別アーカイブ: 再チャレンジ

行政-再チャレンジ

非正規雇用の増加

3月29日の朝日新聞「働くってなんですか プロローグ」は「働き手が元気になるために」は、新型コロナウイルスによる諸活動の自粛が、非正規雇用やフリーランスなど弱い人たちの生活に大きな影響を与えていることを解説しています。
そこに、1990年(平成2年、バブル期)と2019年の雇用形態別労働者数が、図になって載っています。平成の30年間の変化です。

数字だけを抜き出すと、次のようになります。各項目で、1990年、2019年の順に並べます。
正社員・男性 2438万人→2334万人。減少
正社員・女性 1050万人→1160万人。1割増
パート・アルバイト・男性 126万人→355万人。3倍
パート・アルバイト・女性 584万人→1164万人。2倍、600万人の増
派遣社員・男性 6万人→56万人。9倍
派遣社員・女性 21万人→85万人。4倍
外国人労働者 10万人→166万人。16倍

パート・アルバイト特に女性と、派遣社員、外国人労働者の増加が目立ちます。
日本の雇用者数は約6000万人ですから、600万人の増はその1割です。

学校一斉休校、子育て家庭への影響

新型コロナウィルス対策として、学校の一斉休校が要請されています。予定していなかった学校の休校で、さまざまところに影響が出ています。
3月12日の日経新聞「追跡コロナ 日本の宿題(2)」は「休校「子どもだけで留守番」3割 個人頼みの預け先探し」を報道していました。詳しくは記事を読んでいただくとして。

子育て中の家族がさまざまな状況にあることを、知る機会になりました。
女性の社会進出によって、母親も働いている家庭が多くなりました。その受け皿になっているのが、保育園であり、学校と学童保育です。これらがないと、小さな子どもを抱えた親は、働きに行くことができません。小学校低学年までは、一人で留守番をさせるわけにはいかないでしょう。

親が働きに行けなくなると、収入がなくなるだけでなく、勤務先は労働力を確保できません。小売店や保育園など、お母さんたちが働いている職場で、人手不足になっています。もちろん、母親が休むのではなく、父親が休むこともあります。母子家庭や父子家庭は、きついです。

さらに、給食がなくなって困ったという家庭もあるそうです。貧困家庭で、学校給食が一日のうちで最もバランスの取れた食事だという家もあるそうです。子供たちに無料または安い料金で食事を出す「子ども食堂」も、閉鎖されているところがあるようです。これも、困るでしょうね。

災害時やこのような危機の際に、社会における弱者が浮かび上がります。それを把握し対策を打つ、良い機会だと思いましょう。

岡田元也・イオン社長。非正規が生んだ消費の抑制

2月13日の朝日新聞オピニオン欄、岡田元也・イオン社長のインタビュー「売り場は消えるのか」に、次のような発言があります。

「所得環境は改善せず、企業も賃金への配分を高めていません。これらは消費を抑制している大きな要因では?」という問に。

「もちろん影響はあります。企業にも責任がある。正規、非正規という区分が生んだ格差は大きいです。正社員、終身雇用という仕組みが柔軟性に欠けるからと非正規雇用が導入されましたが、雇用自体が不安定、かつ賃金も抑えられました。将来を担う若い人たちが安定した生活を送る、という根本的な問題が未解決なままです。

また、消費者の生活スタイルが変わっているのに、社会保障など社会のしくみが変わっていません。1人で子育てをする女性への支援は十分でしょうか。離婚しても養育費を受け取っていない女性も少なくない。欧米に比べても恵まれた社会ではないでしょう。そうなると自分で守るしかない。消費より貯蓄、となるのも当然です。」

アメリカで増える絶望死

2月7日の朝日新聞オピニオン欄、ニューヨークタイムズ、ニコラス・クリストフさんの「米国で増える「絶望死」 責任は社会に、投資を人に」が、勉強になりました。詳しくは、原文を読んでいただくとして。

・・・ナップ家の5人の子どもたちは賢く有能だった。しかし、ファーランさんは何年もの薬物とアルコールの乱用で亡くなり、ジーランさんは酒で酔いつぶれている間に家が燃えて亡くなった。ネイザンさんは覚醒剤を精製中に爆死し、ロジェーナさんは薬物使用による肝炎で亡くなった。キーランさんが生き残れたのは、オレゴン州の刑務所に13年間いたおかげでもある。
彼らのような労働者階級の男性と女性は、肌の色を問わず、薬物やアルコール、自殺といった「絶望死」で死ぬ人が増えている。米国の平均寿命がこの100年で初めて3年連続で短縮したのはそのためだ・・・

・・・貧しい黒人が多いフィラデルフィア北部で生まれた新生児の平均寿命は、4マイルしか離れていない、白人が多く住む市中心部の新生児より20年短い。これは一方の赤ちゃんが「弱い性格」だったからではない。
英国では、ブレア元首相のもとで子どもの貧困が半減した。赤ちゃんが突然、自己責任をより示すようになったからではない。政府が責任を果たしたのだ。米国では子どもの貧困を半減させるため、全米科学、工学、医学アカデミーが青写真を描いたが、議会とトランプ大統領は何もしない・・・

・・・ナップ家の人たちが間違いを犯したのはその通りだ。だが彼らは、戦後豊かに生きてきた両親や祖父母よりも賢明さや才能、勤勉さが劣っていたのではない。
変わったのは、いい職を得る機会が減り、人的資本へ投資する公約が少なくなり、依存性のある薬物が蔓延し、取り残された人たちを中傷する無情な社会の声が高まったことだ。労働者は尊厳と希望を失った。自己治療と自己破壊、孤独と絶望の悪循環が、スクールバス6号車を席巻した・・・

・・・よりよい社会の声とはどのようなものか。自己責任だけでなく、子どもたちを支援するような、集団としての社会的責任を認めるものだ。指をさして非難し合うよりも救いの手を差しのべるような、共感と「恩寵の倫理観」に満ちているものだ。国民の大多数が自身の潜在力を生かせていなければ、国もその潜在力を生かし切れていないということを認めるものなのだ・・・

今日のアメリカは、明日の日本です。そうならないように、対応しなければなりません。

犯罪被害者基本法15年

12月1日の読売新聞が、犯罪被害者基本法15年として「事件の傷ケア 早く長く」を大きく取り上げていました。。犯罪被害者給付金支給法ができたのは、その前の1980年でした。
・・・犯罪に巻き込まれた人や遺族ら犯罪被害者の「権利」を明記した犯罪被害者基本法は1日、成立から15年を迎えた。深く傷ついた心身のケアに、加害者側に賠償を請求するための方策……。被害者を取り巻く環境は改善されてきたが、いまだ十分といえない。被害者の現状と課題を考える。
死傷者が年間2万5000人を超える犯罪被害者への支援は、事件直後に始まり、裁判後も続く。その流れと実態とは・・・

まだ、できて15年です。多くの方は、詳しくは知らないと思います。また、この法律の適用がない方がよいのですが。記事と共に図で、支援制度が解説されています。
・まず必要になるのが、心身の傷の治療です。
・事件現場が自宅だと、ホテルなどに一時避難したり、転居する必要があります。
・家事や育児ができなくなることもあり、その際は生活支援が必要です。
・裁判になると、弁護士の支援が必要です。

かつての刑事事件は、加害者を罰することで終わりました。しかし、加害者の社会復帰を支援し、再犯防止をすることが必要です(刑期を終えても、また起こす人がいます。自立できない人も多いのです)。
そして、被害者は、加害者からの賠償以外は、何の手当もありませんでした。
いまから考えると、冷たい社会でした。たぶん、以前は、親族や地域社会で助けることと理解されていたのでしょう。
これらの制度は、前進です。もちろん、このような支援を受けても傷は治りませんが。