「再チャレンジ」カテゴリーアーカイブ

行政-再チャレンジ

増える家庭内暴力

1月13日の読売新聞が「増え続ける家庭内DV、19年度が過去最多で20年度は1・5倍で推移」を伝えていました。

・・・内閣府は12日、2019年度に全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた家庭内暴力(DV)の相談件数が前年度比4795件増で、過去最多の11万9276件だったと発表した。20年度の件数が19年度同期と比べて約1・5倍で推移しているとの途中集計も明らかにした・・・
・・・内閣府は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響で増加したとみている・・・

内閣府の公表資料「配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数等

発達障害を受け入れる社会、二つの方法?

1月8日の朝日新聞オピニオン欄「ほどよい距離感って?」、熊代亨さん(精神科医)の発言から。

・・・街の精神科医として感じるのは、いまなら発達障害などと診断されるような人が、昭和の時代にはあちこちで当たり前に暮らしていた、ということです。
そうした人たちが早い段階からサポートを受けられるようになったのは良いことです。一方で、いまの社会はますます清潔で行儀良く、効率的で、コミュニケーション能力が求められる。それについて行けない人に対処する需要が高まったから、発達障害が「病気」として受け入れられたようにも感じます・・・

・・・現代社会は確かに自由です。家や身分や地域によって仕事や人間関係を強制されないし、交通機関やインターネットの発達で、距離による制約も大幅に解消しました。
そうした社会では、私たちは友人や恋人や知人として「選ばれなければ」ならない。同時に、友人や恋人や知人を「選ばなくては」ならなくなりました。SNSに好ましい投稿を続けるのも、自分の「市場価値」を高めるためだと思います・・・

政治課題、孤独

1月5日の朝日新聞「この声、届いてますか コロナ禍の日本と政治」は、秋山訓子・編集委員の「孤独 チャット越し、あなたの叫び受け止めて」でした。
・・・生きづらさを抱えている。日々苦しい。でも、相談できる人がいない。そんな孤独を、24時間365日のチャット相談が受け止め続けている。
「生きる意味がみつからない。死にたい」「今から路上ライブ活動です。応援してほしくて」
昨年12月の週末、午前0時過ぎ。パソコンの画面に次々と文字が現れてくる。
大空幸星(こうき)さん(22)が返事を打ち込んでいく。「相談は特に深夜が多いです」

慶応大学3年生の大空さんは昨年3月、24時間365日、ネット上のチャットで悩み相談に応じる「あなたのいばしょ」を友人と2人で始めた。初日に40件の相談が。これは大変、とボランティアの募集サイトでカウンセラーを募り始めた。時差を使って24時間対応ができるよう、海外在住の日本人にも呼びかけた。
新型コロナウイルス感染症が日本でも広がり始め、安倍晋三首相(当時)が「一斉休校」を要請した直後。相談は急増した。
「家で虐待を受けているから外に出たいが、学校も図書館も閉まっていて行き場がない」「コロナで仕事がなくなった」
昨年末までに相談を寄せた人は、2万5千人を超えた。対応するカウンセラーも研修中を含めると、米英仏、カンボジアなど世界19カ国に住む800人に膨らんだ。メンバーには、臨床心理士や大学教員ら「プロ」も多数含まれている・・・

全文をお読みください。大空幸星さんは、5日の読売新聞にも取り上げられています。「「共感」孤独な若者救う」。
孤独が、社会そして政治の大きな課題になっています。昨日は、読売新聞の記事を紹介しました。

社会の安心、つながり

読売新聞連載「安心の設計 支え合い あしたへ」1月4日は「住民つなぐ みんなの居場所」でした。

・・・新型コロナウイルスの感染拡大で、人と人の距離をあけることが強く意識されている。しかし、私たちの暮らす社会は、支え、支えられという関係なしには成り立たない。急激な高齢化や単身化でそうした結びつきが弱まっているとされるなか、いかに支え合いを再構築できるかが地域の未来のカギを握っている・・・

団地にできた集会所で、高齢者と子どもが一緒に時間を過ごす様子が紹介されています。
・・・建設から約半世紀が過ぎた茶山台団地(928戸)では、契約者の半数超が現在60歳以上で、独居も多い。急激に高齢化が進み、地域の支え合いの維持が課題となっている。「としょかん」は、団地再生に向け、大阪府住宅供給公社が開設。子育て中の住民らを中心に絵本の読み聞かせ会や健康講座などのイベントを開催し、そこに集う住民同士の「つながり」を増やしてきた。
「としょかん」が住民の新しい居場所として機能するようになると、「一人で夕食を食べるのは寂しい」「買い物に行くのが大変」といったお年寄りの声が聞こえてきた。
そこで約2年前、今度は、団地1階の空き室を「やまわけキッチン」という名の食堂に改装。週4日、小分けにした総菜などを販売し、その場で食事もできるようにした。
「足が弱く、タクシーで駅まで買い物に行かなければならなかった。ここができて本当に助かる」。「キッチン」が入る棟の向かいの棟で一人暮らしをしている女性(85)は笑顔を見せる。昼食と夕食の分の総菜を買いに来て、この食堂を切り盛りしている湯川まゆみさん(41)らとおしゃべりするのが楽しみという。
コロナ下で、住民の居室に弁当を配達するサービスも始めた。常連客が顔を見せなければ様子を見に行ったり、高齢で日常生活に支障が出始めた住民を心配する声が寄せられたりと、「よろず相談所」としても機能しつつある。
湯川さんは「遠くの親戚より近くの他人。きっかけさえあれば困っている人を助けたい、と思っている住民はたくさんいる。住民同士のつなぎ目になり、支え合いの輪を広げていきたい」と話している・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして。安心には、人とのつながりが必要であること。つながりが、支え合いと居場所をつくります。
年金や介護保険制度をつくって、高齢者を支えてきました。しかし、それだけでは、安心は提供できません。そして、このようなつながりは、お金と施設だけではできません。
それを、これからの日本は、どうつくっていくのか。連載「公共を創る」での、私の主張です。

居場所のない若者、SNSが避難先

12月19日の日経新聞夕刊に「居場所なき若者 SNS「避難先」」という記事が載っていました。
・・・神奈川県座間市で9人を殺害した罪に問われた白石隆浩被告(30)は、東京地裁立川支部の裁判員裁判で死刑判決を受けた。公判では、悩みを抱える被害者がツイッターで弱音を吐いたところに被告がつけ込んでいた経緯が明らかになった。幼少期からインターネットが身近な若者にとってSNS(交流サイト)は日常から逃れられる「避難先」になり、トラブルに巻き込まれやすい実態も浮き彫りになった・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして。
家庭でも学校でも落ち着けない、居場所のない若者が、交流サイトに避難先や居場所を求めるのだそうです。交流サイトの多くは匿名なので、弱音や本音を言いやすいのでしょう。しかし、それが犯罪の温床になるのです。

拙稿「公共を創る」第64回では、職場以外に居場所のない中高年男性社員を取り上げましたが、若者もまた居場所を探しているのですね。孤立、孤独の問題です。
本屋で、浅見直輝著『居場所がほしい――不登校生だったボクの今』 (2018年、岩波ジュニア新書)を見つけました。ここにも、居場所の問題があります。